Saki Sasaki

クリエイター・エージェンシー コルクに勤めています(小説家・平野啓一郎 さん担当/『…

Saki Sasaki

クリエイター・エージェンシー コルクに勤めています(小説家・平野啓一郎 さん担当/『宇宙兄弟』や CORK STOREのMD商品企画)。小説、漫画を読み、食と朝風呂と江國香織さんの文学を大切にしながら、4歳のこどもと33歳の恋人と3人暮らし。

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3人暮らしが甲府暮らしに

11月24日(水) 荷詰めは夕方の便。東京から山梨の引越しは日を跨ぐのだ。甲府駅のまわりはすごくホテルの価格が高くなっていたので、今夜は隣駅の旅館に1泊。21時過ぎに駅に着いたけれど、人がいない駅で、イルミネーションだけがピカピカしている。タクシーもいないねえ、と恋人と話していると、不意に見上げた夜空に星もピカピカ。ここは駅なのに、山奥から眺める空みたい。 11月25日(木) 旅館の大浴場は、7種が源泉掛け流し。こどもでも入られる36℃くらいのぬる湯から42℃のお湯まで。こ

    • 準備はしておいて

      8月27日(金) 私の実家にいるこどもとビデオ電話。こどもはLINEの「顔エフェクト」がマイブームで、そればかり試してケラケラしている。私は、表情やそのエフェクトが変わるたびに「かわいい」「かわいすぎる」とスクショしている。 8月28日(土) ふたりで手を繋いで歩いていたら「いろんないーろ みーつけて!赤いろ!」と突然こどもが言うので、どんどん、ポストやコーン、選挙ポスターの赤色を指さした。次のご指名が黄色だったので、こどもが着ていた黄色、ミニオンズの服を指さしたら世にも幸

      • 夢は こころのなかで見るもの

        9月11日(土) 99円で売られていたポケモンのソフビ人形を、ふたりでそれぞれ選んで買ったら小さなガムが入っている。今日は、こどもが初めてガムを食べた記念日であり、初めてにんにくの皮剥きをお手伝いしてくれた記念日。 9月12日(日) 忙しない平日にスーパーに行く手間を惜しむ私は、日曜日に多めに買い出しをする。大体同行してくれるこどもは無人レジで、背伸びしてバーコード読み取りを手伝ってくれる。最近はとても上手になってきた。 帰り道には、大体、公園でブランコをする。結構押して手

        • 甘い生活

          7月1日(木) 昔、仰向けになった父親に言われて足で身体を踏み、どうしてこれが気持ちいいんだろう?と疑問だったが、29歳、こどもに踏まれて、ついに気持ちよさを知る。恋人とふたり並んで仰向けになって踏まれていたら、終盤は、背中をトントンされて「なんで こんなにやさしいかわかる? ママと◯ちゃんが だいすきだからだよ ずっといっしょにいようね」なんて甘い言葉まで。 7月2日(金) 朝食用のパンを買い忘れていたので、朝からホットケーキをつくる。眠たくて起き上がらないこどもも、「ホ

        3人暮らしが甲府暮らしに

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        • 5日ずつすすむ日記
          15本
        • 江國香織を読む
          2本

        記事

          どきどき するでしょ

          6月26日(土) 私の実家から帰ってきたこどもが、叔父から譲り受けた遊戯王カードを手にしている。普段、目を見張ることの少ない恋人が、「遊戯王カードじゃん」と、十代を思い出す目をする。夜、帰ってきてからも遊戯王カードを並べて遊ぶこどもが「柊くんに ほんとうに勝てると おもっているのか?」と恋人にふっかけている。 6月27日(日) 私が仕事だった間、恋人とこどもは映画に。アンパンマンの60分映画を観てきたようだが、周りのこどもたちは応援しながら観る中、柊はじっと観ていたのだそう

          どきどき するでしょ

          きみが名付ける

          6月21日(月) アニメに出てきた「藤堂」というキャラクターの名前を、こどもが「ドードー」と発音する。藤堂はすごく強くて渋くて、口少ない侍。昔ながらの日本男児だけれど、こどもに発音させると「ドードー」。 マダガスカル沖のモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類。絶滅危惧種というのは同じかもしれない。 6月22日(火) 保育園から帰ると、こどもは物干しハンガーから洗濯ものを外してくれる。そのお手伝いには、ハンガーを分解してつくった「コーン」という謎キャラクターも出てくる。今日は、

          きみが名付ける

          おとなになると

          6月16日(水) こどもが「おとなになると さみしいってことばが いいづらいの? なんで?」と言っている。「さみしい」をどうにかできる歳だから、「さみしい」をどうするかが意思次第、になるからかなあ。 6月17日(木) テーブルの上に置いておいた紅茶が、いつの間にかミルクティーになっている。恋人の仕業。ベッドのヘッドフレームにある棚にさっき置いたお水はすぐに飲み干されている。これはこどもの仕業。 6月18日(金) 「こんなに気楽に生きていていいのかなあ」と恋人が呟いたので、

          おとなになると

          ガトーショコラ

          12月21日(月) 保育園の関係者にコロナウイルス感染者がでて、年内休園に。毎朝「まま きょうはおやすみ?」と確認を寄せてくるこどもに「今日は保育園」と伝えることが必然的に多くなる日々だが、「今週も来週もおやすみ」と伝えると、こどもが嬉しそうに飛び起きる。こどもを多少みながら仕事をするのは大変なことだが、恋人とこども、愛おしいふたりに囲まれて昼間も過ごせるなんて、それも大変なことだ。 12月22日(火) 夕方、買いものをしに商店街に。買いもの前の腹ごしらえに、焼き鳥屋さんで

          ガトーショコラ

          やさしさの違い

          11月18日(水) 誰かを支えることで自分が支えられる人、誰かに支えられることで誰かを支える人がいる、ということを考える。何かを差し出すというプラスのやさしさと、何もしないというキープのやさしさの違いにも似ている。 昼はminionのチョモランマカレー。夜は、20時まで仕事をしてから、恋人と定食を食べて、ベンチでエクレアを食べる。私たちは、そこにあるボールの話をするのにも、どちらかが持っているボールの話をするのにも、本当に相性がいいけれど、ふたりでボールを持ったときに話をす

          やさしさの違い

          ケトルの先の鍋

          前回の日記から1年3カ月が経過していた。 そのあいだに、こどもは3歳になって、私は28歳になって、新型コロナウイルスとマスクが日常のものになって、お茶を淹れる頻度が増えて、離婚をするための話し合いがあって、離婚をして、自分とこどもだけの籍を手に入れて、やたらと好きな32歳の恋人ができて、3人暮らしが始まった。 読み返せば以前の25日分の日記も面白いもので、また続くまで5日ごとに書いてみよう。と玄米茶を片手碗に、今朝もやわらかい決意をする。 11月13日 (金) 朝起きて

          ケトルの先の鍋

          父には味がある

          父と海外旅行に行ったのは小学生のときが最後だ。旅行によく行く家庭で、世間と休みをずらしてよく海外に国内に旅に出かけた。そんな旅のあるとき「もう俺は海外旅行に参加しない」と父は宣言した。宣言を全うする人で、海外旅行は母と兄と3人で行くものになった。父が参加しなくなった旅行は3人で行くものになり、3人で行くものになった旅行は友人と2人や3人や4人で、母と2人で、時に1人で行くものになった。 それなのに、高校生でも大学生でもなくなった今、キャセイパシフィック航空の機内に父と私が並

          父には味がある

          スーパー銭湯の近くに住みたい

          どこの銭湯にも「赤鬼」がいる。鬼は赤い顔をして、水を出したままにするこども、お風呂を走り回るこども、うるさくするこども、そんなこどもたちを次世代の教育のために怒る。今の世の中は不安な方向に向かっているような気がしてならない。だからこそ、今の時代にスーパー銭湯を始めました。 というような、メッセージが壁に記された銭湯に入った。最近は銭湯好きだと公言する人が増えてきて、プチブーム到来を感じる中でのこのメッセージ性とブームになる背景の合致はあるのか、すごくあるのか、それともないの

          スーパー銭湯の近くに住みたい

          帯の江國香織を読む

          長田弘『食卓一期一会』(ハルキ文庫 2007年11月) この詩を読んだときの 驚きと幸福感、 詩のなかに流れる 時間の全き完璧さ。 エイミー・ベンダー『わがままなやつら』(角川書店 2008年2月) エイミー・ベンダーの小説世界は、野の花のように荒々しい。 このような物語は、ほかでは味わうことができない。 それはつまりこういうことだ。 味わいたければ、野にでなければ。 ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』(新潮社 2010年8月) 読んでいて一編ずつ虚をつか

          帯の江國香織を読む

          江國香織を読む(作品一覧)

          - 小説 - 短編集『つめたいよるに』(理論社 1989年8月 / 【サイズ変更】理論社 1991年7月 / 新潮文庫 1996年5月) つめたいよるに / デューク / 夏の少し前 / 僕はジャングルに住みたい / 桃子 / 草之丞の話 / 鬼ばばあ / 夜の子どもたち / いつか、ずっと昔 / スイート・ラバーズ 短編集『こうばしい日々』(あかね書房 1990年10月 / 新潮文庫 1995年5月) 短編集『綿菓子』(理論社 1991年2月 / 【新装版】理論社

          江國香織を読む(作品一覧)

          ミナペルホネン

          8月20日(火) コルクで仕事、ヨガをしてから、こどもを迎えに行く。こどもが歩きたがらないので、「お菓子ひとつだけ買おうか」と声をかけると、走り始める。アンパンマンのぺろぺろチョコに決めたはいいものの、キャラクターで悩んで、「まま えらんでいいよ?」と甘えてくるのがかわいい。パッと奥から取ったら、あかちゃんまん。いいのを引いた。 8月21日(水) せっかくの午前休だけれど、こどもの「ままと いくの」がかわいく、保育園まで送る。自分のこどもに限らず、朝のこどもたちと挨拶したり

          ミナペルホネン

          せかいのそばに

          8月15日(木) 昨夜、友人の家に泊まったので、朝からそこに友人がいる。2カ月前にも泊まっていて2回目。ぼうっとしながら、どうして結婚したら外泊はいけないんだろう、実家は外泊に入らないのはどうしてなんだろう、あてもなく思う。朝に弱い友人が8時ごろに動き始める(言葉どおり、動き出した)。 順にシャワーを浴びて、近所のパン屋さんに行き、友人が作り置きしていたじゃがいものポタージュと煮卵と4種のパンを半分ずつたべる。スイートバーガー、たこ焼きパン、フランスあんぱん、アップルロール

          せかいのそばに