見出し画像

せかいのそばに

8月15日(木)
昨夜、友人の家に泊まったので、朝からそこに友人がいる。2カ月前にも泊まっていて2回目。ぼうっとしながら、どうして結婚したら外泊はいけないんだろう、実家は外泊に入らないのはどうしてなんだろう、あてもなく思う。朝に弱い友人が8時ごろに動き始める(言葉どおり、動き出した)。

順にシャワーを浴びて、近所のパン屋さんに行き、友人が作り置きしていたじゃがいものポタージュと煮卵と4種のパンを半分ずつたべる。スイートバーガー、たこ焼きパン、フランスあんぱん、アップルロール。なんとなく井上涼の「YADOKARI」が聴きたくなり、そのまま井上涼の他のゆかいな動画たちをTVに映しながらふたり勝手なことを言う。

私は仕事に、彼女はご親戚のお見舞いに。きっちり4時間だけ働いたあと、局地的な豪雨に負けじとお粥屋さんに向かうも売り切れ。お盆効果だろうか、ついお盆ということを忘れる。自宅でゆっくり本を読んでいると、父とこどもからLINE電話が届く。「まま おやすみ」なんてかわいくて、デレデレして、よく眠る。

8月16日(金)
週に一度のヨガの日。コルクの金曜日は15時退社と決まっていて、平日夜に2回、金曜日15時過ぎから2回、月に4回ヨガをする(任意参加)。私の初出社の日もコルクのひとたちはヨガをしていて、ちょうど最後のクールダウン(シャバーサナ)で照明も落としていたので、どうしたものかと思ったことがある。13カ月前。

夜、父とこどもと待ち合わせ。とんぼ帰りするつもりだった父をこどもが帰らせず、近所の中華に。今週はよく父と食事を共にする。お盆である。この中華料理屋さんは、一見、日本のどこにでもよくある・安くて・量の多い・おいしい・メニューたっぷり・癖のないお店にみえるのだが、すっとこどっこい、実際は違う。実はこのお店、中華系のお客さんもわざわざ集まる本場系だ。四川料理のメニューも並び、漏れなく癖があっておいしい、目から鱗の名店なのだ。ビール、ピータン、干し豆腐の和え物、小籠包、羊肉の串、豚肉と漬け白菜と春雨の炒め、叉焼炒飯。

8月17日(土)
2週間ぶりのピラティス。相変わらずトークがキレキレで面白い。この人はインストラクター以外でも成功するだろうと思わせる何かがある。

13時、国領駅で友人と待ち合わせ。予約していたのは、ピザのドンブラボー (Don Bravo)。グリーンサラダ、スコーンのようにサクサクの混じったパン、蟹・ねぎ・カラスミのピザ、生ハムビアンコのピザ、トリッパのアラビアータショートパスタ、デザートはイタリアの牛乳プリン。目の前の釜で1枚ずつ焼かれていくピザの香りたるや、炭の魅惑的なアクセントたるや。お店も働く人も落ち着いていて、居心地がよくてゆっくり。国領という街の力もありそう。友人はいつも白・グレー・紺色の服が多いのだけれど、「たまには色を着てみようと買ったの」と言って、ミモザ色のノースリーブワンピースを着ていた。それがいつも清潔で健全で小柄な彼女によく似合っていた。横目で見る彼女と手に掲げるピザのきらめきに見惚れて、いい土曜日のお昼。

芦花公園に移動して、世田谷文学館「原田治 展 「かわいい」の発見」。展示も良かったけれど、文学館のライブラリーに並ぶ書籍と、席の誂えがすてきで仕方なかった。読むための席が教会の椅子もしくは告解部屋のようで、雰囲気が百点なのだ。芦花公園まで足を伸ばせば、この場所で本をゆっくり読む休日を持てるのか、といいことを知った。

終始一貫してぼくが考えた「可愛い」の表現方法は、明るく、屈託が無く、健康的な表情であること。そこに5%ほどの淋しさや切なさを隠し味のように加味するというものでした。

8月18日(日)
前職の人と、お互いこどもを連れて、東向島の大きな公園に足を伸ばす。じゃぶじゃぶ池、遊具、交通公園で遊び倒して、「きょうは あついねえ」と声にも手のひらにも熱を滲ませるこどもと手を繋ぐ。帰り道、がくっと眠りに落ちたこどもを右手に、1週間分の食材を詰めたスーパーの袋を左手に抱いて、「主婦だ」と思う。夜、おくらたたきに梅を和えたら、夏らしくてぱくぱく進んだ。出汁のジュレ寄せを冷蔵庫に作っているので、今週どこかでお素麺を食べよう。

8月19日(月)
対談で「ひとにコップの水をかけられる人」「かけられない人」に会話が及び、印象的だった。夜、このごろ読んでいる漫画、売野機子『MAMA』を読み終える。天使の歌声をもつ少年たちの寄宿学校、クワイア。神に選ばれた子のみ「天使」となり、死を遂げて、神のそばに、という話。カラーで読みたくなるような画と、ひとりひとりの悲しい物語が売野さんらしく、ひっそりと美しい。読み終えて、この漫画の少年たちの存在を好きであろう友人に「ぜひ」と連絡した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?