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5日ずつすすむ日記

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3人暮らしが甲府暮らしに

11月24日(水) 荷詰めは夕方の便。東京から山梨の引越しは日を跨ぐのだ。甲府駅のまわりはすごくホテルの価格が高くなっていたので、今夜は隣駅の旅館に1泊。21時過ぎに駅に着いたけれど、人がいない駅で、イルミネーションだけがピカピカしている。タクシーもいないねえ、と恋人と話していると、不意に見上げた夜空に星もピカピカ。ここは駅なのに、山奥から眺める空みたい。 11月25日(木) 旅館の大浴場は、7種が源泉掛け流し。こどもでも入られる36℃くらいのぬる湯から42℃のお湯まで。こ

準備はしておいて

8月27日(金) 私の実家にいるこどもとビデオ電話。こどもはLINEの「顔エフェクト」がマイブームで、そればかり試してケラケラしている。私は、表情やそのエフェクトが変わるたびに「かわいい」「かわいすぎる」とスクショしている。 8月28日(土) ふたりで手を繋いで歩いていたら「いろんないーろ みーつけて!赤いろ!」と突然こどもが言うので、どんどん、ポストやコーン、選挙ポスターの赤色を指さした。次のご指名が黄色だったので、こどもが着ていた黄色、ミニオンズの服を指さしたら世にも幸

夢は こころのなかで見るもの

9月11日(土) 99円で売られていたポケモンのソフビ人形を、ふたりでそれぞれ選んで買ったら小さなガムが入っている。今日は、こどもが初めてガムを食べた記念日であり、初めてにんにくの皮剥きをお手伝いしてくれた記念日。 9月12日(日) 忙しない平日にスーパーに行く手間を惜しむ私は、日曜日に多めに買い出しをする。大体同行してくれるこどもは無人レジで、背伸びしてバーコード読み取りを手伝ってくれる。最近はとても上手になってきた。 帰り道には、大体、公園でブランコをする。結構押して手

甘い生活

7月1日(木) 昔、仰向けになった父親に言われて足で身体を踏み、どうしてこれが気持ちいいんだろう?と疑問だったが、29歳、こどもに踏まれて、ついに気持ちよさを知る。恋人とふたり並んで仰向けになって踏まれていたら、終盤は、背中をトントンされて「なんで こんなにやさしいかわかる? ママと◯ちゃんが だいすきだからだよ ずっといっしょにいようね」なんて甘い言葉まで。 7月2日(金) 朝食用のパンを買い忘れていたので、朝からホットケーキをつくる。眠たくて起き上がらないこどもも、「ホ

どきどき するでしょ

6月26日(土) 私の実家から帰ってきたこどもが、叔父から譲り受けた遊戯王カードを手にしている。普段、目を見張ることの少ない恋人が、「遊戯王カードじゃん」と、十代を思い出す目をする。夜、帰ってきてからも遊戯王カードを並べて遊ぶこどもが「柊くんに ほんとうに勝てると おもっているのか?」と恋人にふっかけている。 6月27日(日) 私が仕事だった間、恋人とこどもは映画に。アンパンマンの60分映画を観てきたようだが、周りのこどもたちは応援しながら観る中、柊はじっと観ていたのだそう

きみが名付ける

6月21日(月) アニメに出てきた「藤堂」というキャラクターの名前を、こどもが「ドードー」と発音する。藤堂はすごく強くて渋くて、口少ない侍。昔ながらの日本男児だけれど、こどもに発音させると「ドードー」。 マダガスカル沖のモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類。絶滅危惧種というのは同じかもしれない。 6月22日(火) 保育園から帰ると、こどもは物干しハンガーから洗濯ものを外してくれる。そのお手伝いには、ハンガーを分解してつくった「コーン」という謎キャラクターも出てくる。今日は、

おとなになると

6月16日(水) こどもが「おとなになると さみしいってことばが いいづらいの? なんで?」と言っている。「さみしい」をどうにかできる歳だから、「さみしい」をどうするかが意思次第、になるからかなあ。 6月17日(木) テーブルの上に置いておいた紅茶が、いつの間にかミルクティーになっている。恋人の仕業。ベッドのヘッドフレームにある棚にさっき置いたお水はすぐに飲み干されている。これはこどもの仕業。 6月18日(金) 「こんなに気楽に生きていていいのかなあ」と恋人が呟いたので、

ガトーショコラ

12月21日(月) 保育園の関係者にコロナウイルス感染者がでて、年内休園に。毎朝「まま きょうはおやすみ?」と確認を寄せてくるこどもに「今日は保育園」と伝えることが必然的に多くなる日々だが、「今週も来週もおやすみ」と伝えると、こどもが嬉しそうに飛び起きる。こどもを多少みながら仕事をするのは大変なことだが、恋人とこども、愛おしいふたりに囲まれて昼間も過ごせるなんて、それも大変なことだ。 12月22日(火) 夕方、買いものをしに商店街に。買いもの前の腹ごしらえに、焼き鳥屋さんで

やさしさの違い

11月18日(水) 誰かを支えることで自分が支えられる人、誰かに支えられることで誰かを支える人がいる、ということを考える。何かを差し出すというプラスのやさしさと、何もしないというキープのやさしさの違いにも似ている。 昼はminionのチョモランマカレー。夜は、20時まで仕事をしてから、恋人と定食を食べて、ベンチでエクレアを食べる。私たちは、そこにあるボールの話をするのにも、どちらかが持っているボールの話をするのにも、本当に相性がいいけれど、ふたりでボールを持ったときに話をす

ケトルの先の鍋

前回の日記から1年3カ月が経過していた。 そのあいだに、こどもは3歳になって、私は28歳になって、新型コロナウイルスとマスクが日常のものになって、お茶を淹れる頻度が増えて、離婚をするための話し合いがあって、離婚をして、自分とこどもだけの籍を手に入れて、やたらと好きな32歳の恋人ができて、3人暮らしが始まった。 読み返せば以前の25日分の日記も面白いもので、また続くまで5日ごとに書いてみよう。と玄米茶を片手碗に、今朝もやわらかい決意をする。 11月13日 (金) 朝起きて

ミナペルホネン

8月20日(火) コルクで仕事、ヨガをしてから、こどもを迎えに行く。こどもが歩きたがらないので、「お菓子ひとつだけ買おうか」と声をかけると、走り始める。アンパンマンのぺろぺろチョコに決めたはいいものの、キャラクターで悩んで、「まま えらんでいいよ?」と甘えてくるのがかわいい。パッと奥から取ったら、あかちゃんまん。いいのを引いた。 8月21日(水) せっかくの午前休だけれど、こどもの「ままと いくの」がかわいく、保育園まで送る。自分のこどもに限らず、朝のこどもたちと挨拶したり

せかいのそばに

8月15日(木) 昨夜、友人の家に泊まったので、朝からそこに友人がいる。2カ月前にも泊まっていて2回目。ぼうっとしながら、どうして結婚したら外泊はいけないんだろう、実家は外泊に入らないのはどうしてなんだろう、あてもなく思う。朝に弱い友人が8時ごろに動き始める(言葉どおり、動き出した)。 順にシャワーを浴びて、近所のパン屋さんに行き、友人が作り置きしていたじゃがいものポタージュと煮卵と4種のパンを半分ずつたべる。スイートバーガー、たこ焼きパン、フランスあんぱん、アップルロール

梨ジュースの冷

8月10日(土) こどもと水遊びをしてから、神保町に。めざすは、韓国小説の翻訳を多く手掛ける出版社クオン(CUON)が同階で営むブックカフェ「チェッコリ」。 クオンが出版する ”新しい韓国の文学“ は、韓国現代文学の翻訳シリーズ。現在19まで出ている。選書にもそそるものが多いのはもちろん、一色ベタのベースにさっと置かれるイラストで出来上がる装丁がまた美しい。まだ2冊しか読んでいないけれど、期待を寄せて2冊を購入。 いま読んでいるのは『13 アンダー、サンダー、テンダー』。

月にみえる街灯

8月5日(月) インタビューに立ち会った際、いち読者として話しを聞いてみると、自分の好みがよくわかる。小説の物語性や息遣いのようなヴォイス、繊細な文体や華麗な比喩ももちろん好きだが、なぜその小説を書いたのか、書けたのか、小説家の口から聞くのが好きだ。 そして、ひとつの小説のことをじっくり聞くのも好きだが、小説という面白いメディアをまるごと繰り出して、小説とは何で、何に深いのか、小説を読むとはどういうことか、小説を好むとはどういうことか意見を聞き、自身でも考えて沼に嵌るのが好