植野

文章を理路整然と並べる練習。

植野

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最近の記事

今日を振り返り、虹を溶かす。

6/23(金)の日記が消えていた。そのことに気がついたのは、1年分の日記帳を読み返していた12/28(木)だった。6/23のスペースは確かに存在していた。6/22の3行の記録と、6/24の6行の記録の間が、たしかな空白になっている。行にしておよそ50くらい。 私はそこに何を記録したのだろうか。膨大な記録である。しかし、記憶をたどってみても考えは空回りを続けるばかりで、実像をうまく掴めなかった。午睡の夢を思い出している時のような。それは大事な部分だけがすとんと頭の中から抜け落ち

    • 膝を引くようになった(横田アカリに対する一考)

      横田アカリという人物に関して、僕は一定の興味みたいなものを常に抱き続けていた。彼女は新入社員として、春のひんやりと爽やかな風と共に会社にやって来て、暗澹とした寒さの続く2月に去っていった。そこだけ見れば、特に珍しくもない。新入社員が希望を持って入社し、絶望と共に退職するのは、どこの会社でも3年に1度はあることだ。 僕達の職場は、爽やかな風とは真逆の、薄暗く湿った雰囲気だった。仕事も終日事務処理で、右から来た仕事を的確に左に投げることができれば、誰でもうまく回していくことができ

      • よりしろを持たない

        イエロー・ストレイン国際空港には、様々な人たちが日々行き交っている。 例えば左利きで少し神経質なピアニストや、昔左翼セクトの副リーダをやっていたおじさんや、死ぬことが急に怖くなった少年。そこにいるのは人間だけじゃない。方輪のねこや、首の短いキリン、言語哲学者のゾウ。 それらのすべては、お互いに興味を示すことはない。縦に長い空港の中には忙しなく動く者もいれば、ゆっくりと動く者もいる。時間の進み方はそれぞれ違っていた。しかし、彼らはどこにも行こうとはしない。少し歩けば、どこへでも

        • 貴方が居なくても生きていけるようにしなければいけないでしょ?

          どうしようもなく頭が痛かった。頭痛薬を飲んでも、その痛みは消えない。まるで音飛びしたレコードみたいに、痛みは不規則にやってくる。私はそれが去っていくのをじっと待つしかない。獲物を狙う狼のように、硬く、もっと硬く。その時をじっと待った。 彼に好きな人ができたと言われた時、ああそうかと思った。私たちの関係は、その時には取り返しのつかないくらいに壊れてしまっていて、あとはもう、残りカスみたいなそれをつまんでゴミ箱に放り込んでしまうだけで良かった。 「君はずるいね」と彼は言った。

        今日を振り返り、虹を溶かす。

          あそこがひとつ飛んでる

          「12、13、15。ほら、あそこがひとつ飛んでる」潮崎はガレージの上の数字を、一つ一つ指さしながらそう言った。 「本当だ」 「ほら、15のガレージが他のよりちょっと広いだろ?あそこに昔14があったんだよ」潮崎は生き生きとそう話した。 「改築されて14が消えたってことか」 「ああ。こういうのってなんか面白くないか?」 「そうか?意外とつまんないこと考えてるんだな。潮崎って」僕は微笑んだ。 潮崎は僕が14歳、つまり中学2年の時に転校してきた。切れ長の目に、切り立った山

          あそこがひとつ飛んでる

          ずいぶんと変な頼み方をするのね

          「ウォッカに粉砂糖を入れたのを、2杯」男はバーテンダーに目もくれず、カシの木のテーブルを見ながらそう頼んだ。恐ろしく長いテーブルだ。店の端から端まで、一直線に伸びている。そこに継ぎ目はなかった。とてつもなく大きな木を切り出して、職人はこのテーブルを作ったに違いない。その労力を想像するとぞっとした。 「ずいぶんと、変な頼み方をするのね」前から彼には、少し興味があった。彼は私がここへ通うようになってから、毎日やって来ては、ウォッカに粉砂糖を入れた奇妙な酒を2杯飲む。それ以外は何

          ずいぶんと変な頼み方をするのね

          マイコ

          線分とは人生であり、直線とは希望であると誰かが言った。至言だと、男はそう思いながらコーヒーを飲む。酷く薄い。 男はテレビのダイヤルを回した。しかし、その直方体は雑音を吐き出すだけだった。俺の人生はこのダイヤルだ。と男は思った。両端のない線分。始まりと終わりは同じところにある。 隣の部屋から、包丁がまな板にあたる音が、規則正しくやってくる。音だけで、料理をやりなれているのが分かる。男はテレビのコンセントを引っこ抜いて、その音に耳を傾けた。 黒髪の、日系の女。名前はマイコと言

          Twitterに書くのもあれなのでね

          久々にアレの日かも。 近況中継パワフルプロ野球、略してパワプロ。 人が死んだ時、「〇〇が死亡、85歳だった」みたいな感じで書くのめっちゃ変じゃない?変やろ。年齢とかマジでどうでもええやんな。「〇〇が死亡、いい人だった」とかにせえて。アホが。 ベイビーわるきゅーれって映画見て、おもろかったけどキモかった。ニュージャンル。おもろキモい。 何がキモいかと言うと、擦り寄られてる感な。令和の奴らってこんなん好きなんでしょ?ホラ、どうぞ、あるある詰め込んどきました。切り抜いてバズら

          Twitterに書くのもあれなのでね

          プレバト夢小説 最終回【感動】【.jpg】

          あのさ、間違ってさ、喉じゃない、なんか奥っ側の穴みたいなのに唾が入ることあるじゃん? あれ、やばくね? 肺、痛くね? てか俳句、読みたくね? 俳句に優しいギャル「いや俳句は読めし爆笑」 じゃ、イッチョヨンデミッカ!! 浜名湖に くじらの死体を ながすとき 嘘夏井先生「いい俳句です。全体的に青い雰囲気を作り上げている叙景詩ですが、死体という一語が非常に良いアクセントになっている。流す”とシロナガスクジラの“ナガス”を掛け言葉にしているのも印象的ですね。でも、湖に死

          プレバト夢小説 最終回【感動】【.jpg】

          中学生に戻ったらやることリスト

          ・受験のことで悩む (志望校下げるのかどうかみたいな話を、親としたい) ・鼻のニキビに悩む (学校行くのにマスクするかどうか迷ったりとか、えっぐいスクラブ洗顔使うとかしたい) ・ハニーワークスの絵を模写する (んで、諦めたい) ・小5の時に作った龍のナップサックを捨てる (後日俺のゴミ箱を見た親が「まだ使えるから」と言って買い物とかに使っている) ・ヤンキーと塾でちょっとだけ仲良くなる (学校で話しかけて微妙な空気になりたい。あんなに楽しく話してたじゃん、、、) ・

          中学生に戻ったらやることリスト

          ポートタワーを根ごと引っこ抜くために、周りの土を掘っているねんな。

          日記を書くぜ!!!!オラっ!!!! あーーーーーーーー!!!!金閣寺読んだけどまた意味わかんなかったーーーーーー!!!!ごめんなさい!(まあ、謝って済む問題やないな) この前、友達がウチに来て、一緒に絵を描いたりピザパーティーをした。いらない服をあげたらステッカーをくれた。ラッキー!デニムにもペイントしてくれるらしい。 職場に1人嫌いな人がいて、でも俺は多分その人を孤立させる方法を知っている。全くね。好きな先輩が社員のこと〇〇選手って言うのほんまに好き。 youtub

          ポートタワーを根ごと引っこ抜くために、周りの土を掘っているねんな。

          今からでも間に合う!!バレンタインにチョコをもらう方法3選

          2月14日、バレンタインデー。それは、女子が男子に手作りのお菓子をプレゼントし、気持ちを伝える日。バレンタインという行事にかこつけて、自分の気持ちを赤裸々に吐露することが許される、1年で唯一の日。まさに青春です。しかし、光あるところには必ず影がある。火神大我の後ろに黒子テツヤがいるように。ある者は好きだった女の子が別の男にチョコを渡しているのを目撃してしまう。ある者は1つもチョコをもらえずに、涙で枕を濡らしています。多くの男子にとって、バレンタインデーは戦いの場。そこで敗れた

          今からでも間に合う!!バレンタインにチョコをもらう方法3選

          【短編小説】カラス、軽快なステップ。

          決行の時間は、刻一刻と迫っていた。俺は獣のように鼻息を荒げ、大通りを歩いていた。焦りと不安が神経を不快に撫でつける。呼吸は乱れ、頭の血管にいつも以上の血液が流れているのを感じる。「落ち着け、落ち着くんだ。深呼吸をしよう!」大声でそう言うと、前を歩いていた女が早歩きになった。 息を深く吸って吐いた。マスクにぶつかった息は行く当てを失い、眼鏡を曇らせる。気がついた時には、眼鏡を勢いよく顔から取り、コンクリートの地面にぶん投げていた。俺は視界を明瞭にするために眼鏡を買ったのだ。もう

          【短編小説】カラス、軽快なステップ。

          日記。熱の時に見る夢。

          新年早々インフルエンザになってしまって、39度くらいの高熱で2日間くらい寝込んでいた。インフルエンザになったのは4年ぶりくらいで、4年前は受験の日に発症してそのままテストを受けに行った記憶がある。英語の文章中に出てきた object の意味が全く思い出せなくて、ずーっと眺めていたら object が拡大と縮小を繰り返しはじめ、さすがにやばいと思って保健室に行ったのを覚えている。ベッドで寝ている時に、objectの意味を思い出した。 4年間の学生生活で完璧にインフルエンザの辛さ

          日記。熱の時に見る夢。

          日記。醤油でびしゃびしゃの寿司。

          雑多にアニメの話やら音楽の話をしたいなと思い、書いています。 最近リコリス・リコイルとリゼロを見た。リコリコは本当に良かった。全体的に良かったんだけど、やっぱり特筆すべきは最終話の1話か2話前の、主人公2人の別れのシーン。円形の広場で、ちさとは階段を登る道へ、たきなは普通の道へ、それぞれ正反対の方向に向かうのを上から見下ろすシーン。 ホンマ、最高やね。あれを見た時、2人の完全な別れを示唆しているんじゃないか?というハラハラがあった。結果的にハッピーな終わり方だったので、俺の

          日記。醤油でびしゃびしゃの寿司。

          日記。四捨五入するならすべて4以下で切り捨てられるような毎日。

          久しぶりに日記でも書こうかなと思って、あれこれと思索を巡らせていたけれど、今週は本当にクソみたいな週でして、本当に何もしなかった。というか、今週に限らず俺の毎日なんてものは基本的にルーティン化されていて、朝起きてインスタを見て、屁をこいてインスタを見て、ユーチューブショートを見て、閉じてまたインスタを開く。飽きたら屁をこいて本を読んで、なんか文章を書いて消して屁をこく。そうすると気づけば一日が終わっている。歌詞タイムなら、「屁をこく」に※をつけて、下に繰り返しと書けばそれだけ

          日記。四捨五入するならすべて4以下で切り捨てられるような毎日。