高野 ふゆ

趣味で小説、詩を書いてます。 どちらかと言えば女性向け&児童向けです。 色々な…

高野 ふゆ

趣味で小説、詩を書いてます。 どちらかと言えば女性向け&児童向けです。 色々な感想などありましたらお教え下さい。

マガジン

  • 小説「秘書にだって主張はある。」

     いわゆる「お仕事小説」を書きました。令和4年の暮れに一旦は上げたので、舞台はその頃ですが、ファンタジー要素もあります。全二十話。改訂版全71,768文字。  それではどうぞ、、、。

  • 小説「ハトの時間」

    児童向け。 小学生低学年の読み聞かせにどうでしょう?

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小説「秘書にだって主張はある。」プロローグ、第一話(全二十話)

 いわゆる「お仕事小説」を書きました。令和4年の暮れに上げたもので、舞台はその頃ですが、ちょっと異色でファンタジー要素もあります。71,768字 <あらすじ>  令和…

高野 ふゆ
1か月前
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詩「霧雨の宣」

 まるで針のような雨が降る。  やれ、やんだかと思っていれば、気づくとまだ降っている。  もう梅雨も明けようというのに、その寒さに肌が縮む。喫茶店に入って涼みたい…

高野 ふゆ
2日前
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小説「秘書にだって主張はある。」第二十話、エピローグ

 二十 「告白」 1月21日(土)1930 品川 和食いろり  道彦は北海道からわざわざ、個人的に会いにきてくれた。  この店は、羽田空港から電車1本で、品川駅ま…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十九話

 十九 邂逅 1月20日(金)1800 喫茶ラフィン  まずは、先制を取ることが重要だ。  気をつけて、そして真摯に・・・。 「逆に何だか、はじめまして、って感じ…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十八話

 十八 家族 1月20日(金)1000  臨時役員会議から1週間がたった。  先に、議決した施策は着実に実行中であるが、やはり、まだ目に見える成果にはなっていない…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十七話

 十七 決裁  1月13日(金)1450  柊社においては、役員会議は社内最高意思決定会議であり、定例で3ヶ月に1回、年4回開かれるが、特に重要な案件があるとき…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十六話

 十六 帰京  1月13日(金)0630 旭川空港出発ターミナル  旭川空港はまだ夜明け間近で、うっすらと明るい程度だ。  道彦は安全確保のためと言い張り、親切に…

高野 ふゆ
1か月前
21

小説「秘書にだって主張はある。」第十五話

 十五 遭遇 1月13日(金)0000  実は2300頃、ちょっとホテルのバーに行ってカクテルを2杯ほど飲んでいた。  恭子は、今日の出来事を思い出して、そして旅…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十四話

 十四 俯瞰 1月12日(木)1545  就実の丘は、旭川市内から30分ほど車で移動した所にある丘陵地帯だ。  二人は雪原のとある場所に行き着くと、そっとあたりを…

高野 ふゆ
1か月前
17

小説「秘書にだって主張はある。」第十三話

 十三 訪問 1月12日(木)1400  店を出て、車に乗り込むと道彦は急におしゃべりを加速し始めた。  これまでの短いながらの付き合いから、これは、道彦がペース…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十二話

 十二 旭川 1月12日(木)1250  運転が始始まってしばらくして、ふと、恭子は道彦があまりしゃべっていないことに気づいた。  なんとなく、らしくない・・・。…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十一話

 十一 往路  1月12日(木)0600東京本郷アパート  東京は晴れ、しかし・・・。  スマホをタップしニュースを見ると、残念ながら、現在、北海道は移動性低気圧…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第十話

 十 承認  道彦のとの電話を切った直後、周りから見られていないことを確認し、1回だけ、しかしその分、大きく深呼吸をした。  よっし、一つやってみるか。  そう、…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第九話

 九 不穏 1月10日(火)0830 柊社  いつものとおり、始業時間前30分に出社した恭子は、社内の様子が、しきりに気になって落ち着かなかった。  いつもと何か…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第八話

 八 経過 1月6日(金)1600  帰社した恭子は自分のデスクで電話を前にして、しばらくは悶々としていた。  相談役への報告事項を頭の中で整理するためになど、も…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」第七話

 七 軍人 1月6日(金)1230  恭子は、ちょと早目に社を出た。相手は軍人、時間には特に厳しく構えておくべきである。  ちなみに今回、外出の表向き用件は、「総…

高野 ふゆ
1か月前
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小説「秘書にだって主張はある。」プロローグ、第一話(全二十話)

小説「秘書にだって主張はある。」プロローグ、第一話(全二十話)

 いわゆる「お仕事小説」を書きました。令和4年の暮れに上げたもので、舞台はその頃ですが、ちょっと異色でファンタジー要素もあります。71,768字

<あらすじ>
 令和とよく似た、しかし隣国と休戦中という少しだけ違う海生日本の東京で。
 主人公伊藤恭子は、「柊社」の総務部長秘書であり、やりがいを感じている一方で、実は異能力者であることを、周囲にひた隠しにしていた。
 ある時、恭子は相談役と直に面談

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詩「霧雨の宣」

詩「霧雨の宣」

 まるで針のような雨が降る。
 やれ、やんだかと思っていれば、気づくとまだ降っている。
 もう梅雨も明けようというのに、その寒さに肌が縮む。喫茶店に入って涼みたいとも思わない。
 湿気がつよくて肌にまとわりつく。
 よけいに体温を奪われる。
 連休も今日で終わり。
 明日からはうんざりするような日常。
 だが、もうじき季節が変わる。
 さあ、立ち向かわなければならぬ。
 我らへ仇なすもの達に。
 

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小説「秘書にだって主張はある。」第二十話、エピローグ

小説「秘書にだって主張はある。」第二十話、エピローグ

 二十 「告白」

1月21日(土)1930 品川 和食いろり
 道彦は北海道からわざわざ、個人的に会いにきてくれた。
 この店は、羽田空港から電車1本で、品川駅まで直行できて、駅からも近い。
 店内は和風の調度品で統一され、清潔感があふれている。
 通された席も、個室ではなかったものの、テーブルごとに充分間隔があけられていて、会話には全く支障がなかった。
 ここを選んで予約したのは道彦だ。
 ま

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小説「秘書にだって主張はある。」第十九話

小説「秘書にだって主張はある。」第十九話

 十九 邂逅

1月20日(金)1800 喫茶ラフィン
 まずは、先制を取ることが重要だ。
 気をつけて、そして真摯に・・・。
「逆に何だか、はじめまして、って感じがするわ。本当に不思議なものね」
 恭子にしては珍しく、こんな調子で初めから本音でどんどん話すつもりだった。相手はどうだろうか?
「そうね。今までは結局、私の空間転移能力で会ってばかりだったから30秒弱の間で、お話らしいお話もできなかっ

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小説「秘書にだって主張はある。」第十八話

小説「秘書にだって主張はある。」第十八話

 十八 家族

1月20日(金)1000
 臨時役員会議から1週間がたった。
 先に、議決した施策は着実に実行中であるが、やはり、まだ目に見える成果にはなっていない。
 数字に見えるようになるには、あと3ヶ月ほどはかかるだろうか。
 恭子はここしばらくそれとは別のこと、いや根っこの部分は同じだが、あることについて考えていた。
 それは柊聡子のことである。
 仕事に関係する同年代の女性として、更に同

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小説「秘書にだって主張はある。」第十七話

小説「秘書にだって主張はある。」第十七話

 十七 決裁

 1月13日(金)1450
 柊社においては、役員会議は社内最高意思決定会議であり、定例で3ヶ月に1回、年4回開かれるが、特に重要な案件があるときは参加メンバーの部長以上の発案で臨時開催されることもあり、今回もそれにあたる。
 主管は総務部長であり、実際の会議にあたって招集手配、資料準備、記録等は総務部長秘書の恭子の担当となる。
 恭子は担当秘書として準備の途中経過を報告することに

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小説「秘書にだって主張はある。」第十六話

小説「秘書にだって主張はある。」第十六話

 十六 帰京

 1月13日(金)0630 旭川空港出発ターミナル
 旭川空港はまだ夜明け間近で、うっすらと明るい程度だ。
 道彦は安全確保のためと言い張り、親切にも車でここまで送ってくれた。
「ねえ、こんなに急いで帰る必要あるのかい?今日1日もったいないじゃないの」
「もちろん必要に決まってるじゃないですか。軍と話し合い結果もそうですが、昨晩は不測の事態も起きました。私の渡道と無関係とはどうして

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小説「秘書にだって主張はある。」第十五話

小説「秘書にだって主張はある。」第十五話

 十五 遭遇

1月13日(金)0000
 実は2300頃、ちょっとホテルのバーに行ってカクテルを2杯ほど飲んでいた。
 恭子は、今日の出来事を思い出して、そして旅の高揚感もあって眠れそうになかったからだ。旭川で明日立ち寄る場所も、まだ決まっていない。
 そのアルコールがようやく効いてきたのかもしれない。
 ベッドで横になっていた恭子はようやく深夜になって、まどろんできた。明日の予定は明日考えよう

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小説「秘書にだって主張はある。」第十四話

小説「秘書にだって主張はある。」第十四話

 十四 俯瞰

1月12日(木)1545
 就実の丘は、旭川市内から30分ほど車で移動した所にある丘陵地帯だ。
 二人は雪原のとある場所に行き着くと、そっとあたりを見回した。くねくねとうねる丘に、道が続き、木々が点在する。
 本当に誰もいない。そしてなにもなく、ただ一面の雪だ。
 あたりは暗くなってきた。だいぶ斜めになってきた陽光の名残でも、大雪山は、まだはっきり見える。
 とても雄大だ。
 ここ

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小説「秘書にだって主張はある。」第十三話

小説「秘書にだって主張はある。」第十三話

 十三 訪問

1月12日(木)1400
 店を出て、車に乗り込むと道彦は急におしゃべりを加速し始めた。
 これまでの短いながらの付き合いから、これは、道彦がペースを掴んだ時の態度の一つだと気づいた。
「さて、これから北海道統合軍司令部へ向かいます」
「よろしくお願いします」
 車に乗せてもらっていることを、また少々引け目に感じて、恭子は少し小声で返事をした。
「ちなみに案内場所は、さっきと同じで

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小説「秘書にだって主張はある。」第十二話

小説「秘書にだって主張はある。」第十二話

 十二 旭川

1月12日(木)1250
 運転が始始まってしばらくして、ふと、恭子は道彦があまりしゃべっていないことに気づいた。
 なんとなく、らしくない・・・。
 恭子は、もしかしたら運転に集中したいのかと思って、喋りかけなかった。意外だが、あまり上手くないのかもしれないと思った。
 30分ほど、道彦の車で移動すると市街に入った。そして、レストランとかにしては、ちょっと広すぎる駐車場に停めて、

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小説「秘書にだって主張はある。」第十一話

小説「秘書にだって主張はある。」第十一話

 十一 往路

 1月12日(木)0600東京本郷アパート
 東京は晴れ、しかし・・・。
 スマホをタップしニュースを見ると、残念ながら、現在、北海道は移動性低気圧と寒冷前線が通過中で、午前中いっぱいは影響が残るという予報だった。
 手荷物の準備は昨日の夜までに済ませている。小さめのカート一つだけだ。ガッチリ防寒効果のあるコート以外はできる限り軽装のほうがいい。
 恭子は、スマホを取り出し、もう一

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小説「秘書にだって主張はある。」第十話

小説「秘書にだって主張はある。」第十話

 十 承認

 道彦のとの電話を切った直後、周りから見られていないことを確認し、1回だけ、しかしその分、大きく深呼吸をした。
 よっし、一つやってみるか。
 そう、まずは趣旨からだ。
「本件は、我が社の北海道、東北地域における営業活動の間題解決に貢献できる」
 立派な理由だ。太鼓判!まず大丈夫。
 次はもちろん経費。
 スマホを片手に持つ。
 いつも総務部長の出張経費積算をやっているから、恭子にと

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小説「秘書にだって主張はある。」第九話

小説「秘書にだって主張はある。」第九話

 九 不穏

1月10日(火)0830 柊社
 いつものとおり、始業時間前30分に出社した恭子は、社内の様子が、しきりに気になって落ち着かなかった。
 いつもと何かが違う・・・。
 こう言った社内の雰囲気の様なものを肌で感じ取るのも、秘書として必要な資質だと自分では、そう思っている。
 そして、しばらくはそれが何なのかはっきりしなかった。が、しかしようやく、自分自身が社員の視線を受けていることに気

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小説「秘書にだって主張はある。」第八話

小説「秘書にだって主張はある。」第八話

 八 経過

1月6日(金)1600
 帰社した恭子は自分のデスクで電話を前にして、しばらくは悶々としていた。
 相談役への報告事項を頭の中で整理するためになど、もちろん単なる言い訳だと自分でもわかっている。道彦との会話のメモなら、ほら、目の前にあるじゃないか。
 その上、いつもなら意識外にふり払えるはずの総務部ブースの雑音が妙に気になる。
 なぜなの?
 しかし、このまま考えているばかりでは、い

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小説「秘書にだって主張はある。」第七話

小説「秘書にだって主張はある。」第七話

 七 軍人

1月6日(金)1230
 恭子は、ちょと早目に社を出た。相手は軍人、時間には特に厳しく構えておくべきである。
 ちなみに今回、外出の表向き用件は、「総務部のお客様用お菓子の買い出しを兼ねた長めの昼食」にした。
 念のため、直子に、ちょっと遅くなるかもと、フォローをお願いしてきた。見返りはおやつのケーキだ。
 ところで恭子は、往路を歩きながら、ある漠然としたことを考えていた。そう、道彦

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