高野 ふゆ

趣味で小説を書いてます。 カテゴリーは、どちらかと言えば女性向け&児童向けです…

高野 ふゆ

趣味で小説を書いてます。 カテゴリーは、どちらかと言えば女性向け&児童向けです。 色々な感想などありましたら教えて下さい。 よろしくお願いします。

マガジン

  • 小説「秘書にだって主張はある。」

     いわゆる「お仕事小説」を書いてみました。令和4年の暮れに一旦は上げたので、舞台はその頃ですが、ファンタジー要素もあります。全二十話。改訂版全71,768文字。  それではどうぞ、、、。

  • 小説「ハトの時間」

    児童向け。 小学生低学年の読み聞かせにどうでしょう?

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小説「秘書にだって主張はある。」プロローグ、第一話(全二十話)

 いわゆる「お仕事小説」を書きました。令和4年の暮れに上げたもので、舞台はその頃ですが、ファンタジー要素もあります。71,768字 <あらすじ>  令和とよく似た、しかし隣国と休戦中という少しだけ違う海生日本の東京で。  主人公伊藤恭子は、「柊社」の総務部長秘書であり、やりがいを感じている一方で、実は異能力者であることを、周囲にひた隠しにしていた。  ある時、恭子は相談役と直に面談し、社運に関わる重い案件について報告することとなり次第にその渦中に巻き込まれてゆく。  その過

    • 小説「秘書にだって主張はある。」第二十話、エピローグ

       二十 「告白」 1月21日(土)1930 品川 和食いろり  道彦は北海道からわざわざ、個人的に会いにきてくれた。  この店は、羽田空港から電車1本で、品川駅まで直行できて、駅からも近い。  店内は和風の調度品で統一され、清潔感があふれている。  通された席も、個室ではなかったものの、テーブルごとに充分間隔があけられていて、会話には全く支障がなかった。  ここを選んで予約したのは道彦だ  まあ、おそらくはネット予約なんだろうけれど嬉しかった。  席に座って料理を頂きつつ、

      • 小説「秘書にだって主張はある。」第十九話

         十九 邂逅 1月20日(金)1800 喫茶ラフィン  まずは、先制を取ることが重要だ。  気をつけて、そして真摯に・・・。 「逆に何だか、はじめまして、って感じがするわ。本当に不思議なものね」  恭子にしては珍しく、こんな調子で初めから本音でどんどん話すつもりだった。相手はどうだろうか? 「そうね。今までは結局、私の空間転移能力で会ってばかりだったから30秒弱の間で、お話らしいお話もできなかったし」  あくまでも雰囲気だけの感じではあったが、聡子も同じく、本音のようであっ

        • 小説「秘書にだって主張はある。」第十八話

           十八 家族 1月20日(金)1000  臨時役員会議から1週間がたった。  先に、議決した施策は着実に実行中であるが、やはり、まだ目に見える成果にはなっていない。  数字に見えるようになるには、あと3ヶ月ほどはかかるだろうか。  恭子はここしばらくそれとは別のこと、いや根っこの部分は同じだが、あることについて考えていた。  それは柊聡子のことである。  仕事に関係する同年代の女性として、更に同じ能力者として、彼女についての興味は尽きなかった。  それだけに、自分と彼女につ

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        小説「秘書にだって主張はある。」プロローグ、第一話(全二十話)

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        • 小説「秘書にだって主張はある。」
          24本
        • 小説「ハトの時間」
          2本

        記事

          小説「秘書にだって主張はある。」第十七話

           十七 決裁  1月13日(金)1450  柊社においては、役員会議は社内最高意思決定会議であり、定例で3ヶ月に1回、年4回開かれるが、特に重要な案件があるときは参加メンバーの部長以上の発案で臨時開催されることもあり、今回もそれにあたる。  主管は総務部長であり、実際の会議にあたって招集手配、資料準備、記録等は総務部長秘書の恭子の担当となる。  恭子は担当秘書として準備の途中経過を報告することにした。 「部長。1500役員会議の開会について、参加メンバーの召集は各秘書を通じ

          小説「秘書にだって主張はある。」第十七話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十六話

           十六 帰京  1月13日(金)0630 旭川空港出発ターミナル  旭川空港はまだ夜明け間近で、うっすらと明るい程度だ。  道彦は安全確保のためと言い張り、親切にも車でここまで送ってくれた。 「ねえ、こんなに急いで帰る必要あるのかい?今日1日もったいないじゃないの」 「もちろん必要に決まってるじゃないですか。軍と話し合い結果もそうですが、昨晩は不測の事態も起きました。私の渡道と無関係とはどうしても思えません。手持ちの情報を早く上司に報告しなくては・・・」 「月曜日に報告では

          小説「秘書にだって主張はある。」第十六話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十五話

           十五 遭遇 1月13日(金)0000  実は2300頃、ちょっとホテルのバーに行ってカクテルを2杯ほど飲んでいた。  恭子は、今日の出来事を思い出して、そして旅の高揚感もあって眠れそうになかったからだ。旭川で明日立ち寄る場所も、まだ決まっていない。  そのアルコールがようやく効いてきたのかもしれない。  ベッドで横になっていた恭子はようやく深夜になって、まどろんできた。明日の予定は明日考えようか、なんてウトウトしていた・・・。  その時。  かすかに残っていた意識に、コツ

          小説「秘書にだって主張はある。」第十五話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十四話

           十四 俯瞰 1月12日(木)1545  就実の丘は、旭川市内から30分ほど車で移動した所にある丘陵地帯だ。  二人は雪原のとある場所に行き着くと、そっとあたりを見回した。くねくねとうねる丘に、道が続き、木々が点在する。  本当に誰もいない。そしてなにもなく、ただ一面の雪だ。  あたりは暗くなってきた。だいぶ斜めになってきた陽光の名残でも、大雪山は、まだはっきり見える。  とても雄大だ。  ここを選んだのには、ただ懐かしかっただけじゃなく、別の理由もあった。  二人の他に誰

          小説「秘書にだって主張はある。」第十四話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十三話

           十三 訪問 1月12日(木)1400  店を出て、車に乗り込むと道彦は急におしゃべりを加速し始めた。  これまでの短いながらの付き合いから、これは、道彦がペースを掴んだ時の態度の一つだと気づいた。 「さて、これから北海道統合軍司令部へ向かいます」 「よろしくお願いします」  車に乗せてもらっていることを、また少々引け目に感じて、恭子は少し小声で返事をした。 「ちなみに案内場所は、さっきと同じで、旧常磐公園の敷地内になります」 「え、どういうこと・・・」  もしかして、から

          小説「秘書にだって主張はある。」第十三話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十二話

           十二 旭川 1月12日(木)1250  運転が始始まってしばらくして、ふと、恭子は道彦があまりしゃべっていないことに気づいた。  なんとなく、らしくない・・・。  恭子は、もしかしたら運転に集中したいのかと思って、喋りかけなかった。意外だが、あまり上手くないのかもしれないと思った。  30分ほど、道彦の車で移動すると市街に入った。そして、レストランとかにしては、ちょっと広すぎる駐車場に停めて、恭子を降ろした。 「お腹が空いているかもしれないけれどごめんね。後回しにして、来

          小説「秘書にだって主張はある。」第十二話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十一話

           十一 往路  1月12日(木)0600東京本郷アパート  東京は晴れ、しかし・・・。  スマホをタップしニュースを見ると、残念ながら、現在、北海道は移動性低気圧と寒冷前線が通過中で、午前中いっぱいは影響が残るという予報だった。  手荷物の準備は昨日の夜までに済ませている。小さめのカート一つだけだ。ガッチリ防寒効果のあるコート以外はできる限り軽装のほうがいい。  恭子は、スマホを取り出し、もう一度航空機案内を確認したが、欠航ではないようなので、天候回復を祈りながら自宅アパー

          小説「秘書にだって主張はある。」第十一話

          小説「秘書にだって主張はある。」第十話

           十 承認  道彦のとの電話を切った直後、周りから見られていないことを確認し、1回だけ、しかしその分、大きく深呼吸をした。  よっし、一つやってみるか。  そう、まずは趣旨からだ。 「本件は、我が社の北海道、東北地域における営業活動の間題解決に貢献できる」  立派な理由だ。太鼓判!まず大丈夫。  次はもちろん経費。  スマホを片手に持つ。  いつも総務部長の出張経費積算をやっているから、恭子にとっては慣れたものだ。楽々と計上して進ぜよう。  全日程は2泊3日である。  宿泊

          小説「秘書にだって主張はある。」第十話

          小説「秘書にだって主張はある。」第九話

           九 不穏 1月10日(火)0830 柊社  いつものとおり、始業時間前30分に出社した恭子は、社内の様子が、しきりに気になって落ち着かなかった。  いつもと何かが違う・・・。  こう言った社内の雰囲気の様なものを肌で感じ取るのも、秘書として必要な資質だと自分では、そう思っている。  そして、しばらくはそれが何なのかはっきりしなかった。が、しかしようやく、自分自身が社員の視線を受けていることに気がついた。  なぜ、自分に注目しているのか?本人達に聞くわけにもいかず、どうしよ

          小説「秘書にだって主張はある。」第九話

          小説「秘書にだって主張はある。」第八話

           八 経過 1月6日(金)1600  帰社した恭子は自分のデスクで電話を前にして、しばらくは悶々としていた。  相談役への報告事項を頭の中で整理するためになど、もちろん単なる言い訳だと自分でもわかっている。道彦との会話のメモなら、ほら、目の前にあるじゃないか。  その上、いつもなら意識外にふり払えるはずの総務部ブースの雑音が妙に気になる。  なぜなの?  しかし、このまま考えているばかりでは、いつまで経っても終わらないので、気合いを入れなおして、電話番号を入力する。  電話

          小説「秘書にだって主張はある。」第八話

          小説「秘書にだって主張はある。」第七話

           七 軍人 1月6日(金)1230  恭子は、ちょと早目に社を出た。相手は軍人、時間には特に厳しく構えておくべきである。  ちなみに今回、外出の表向き用件は、「総務部のお客様用お菓子の買い出しを兼ねた長めの昼食」にした。  念のため、直子に、ちょっと遅くなるかもと、フォローをお願いしてきた。見返りはおやつのケーキだ。  ところで恭子は、往路を歩きながら、ある漠然としたことを考えていた。そう、道彦も能力者である可能性は、考えられないのだろうか。  30万人に1人という可能性の

          小説「秘書にだって主張はある。」第七話

          小説「秘書にだって主張はある。」第六話

           六 予約 1月5日(木)1500  それでもやはり、恭子は電話機を前にしてしばらく躊躇していた。  どうにもやはり、軍というものに敷居の高さを感じるのだ。だが相談役の指示だ。やらずばなるまい・・・。  意を決して、受話器を取り、相談役から預かった電話番号を入力する。  コールは3回で出た。 「あの、私は、東京都神田にあります柊社の伊藤と申します。柊道彦様の電話でございますか?」 「ああ、そうです。柊道彦と言います。伊藤恭子さんですね」  すでに、相談役から連絡を受け取って

          小説「秘書にだって主張はある。」第六話