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暗い過去があったって良いじゃない?

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噛みあわない会話と、ある過去について
辻村深月
講談社

トラウマがある方にオススメ

 購入後直ぐに読破して、もう一度読んでみようと思い手にした。自分の闇を見せてしまうのだが、過去に「コイツのせいで人生が180度悪い方向に転んだ」「コイツだけは一生許さない」「アイツは死んでしまえば良いのに」という経験があり、その前段階としてのトラウマがある方には是非読んで頂いて、そのあるあるを共感してみたい。ただ逆に、そのトラウマや嫌なことをフラッシュバックさせてしまう恐れあり。その点は注意されたい。

以下、ネタバレ注意!

 4つのエピソードから一冊が構成されている。ここからはネタバレとなります。

①ナベちゃんのヨメ


 誰も友達以上恋人未満、いや友達とも言えず空気のような存在であったサークル仲間の男性。仲間は彼の結婚に際し彼の彼女への突拍子もない行動に対して嫌悪感を抱く。けれども、そもそも彼の幸せを願っている仲間はいたのだろうか。彼のこと、果たしてどう考えていたんだろう。

②パッとしない子


 国民的人気となった男性アイドル。彼の弟の担任だったという女性教師。番組撮影で母校に凱旋するも、その教師に対して「どのツラ下げて教え子として挨拶してんの?」と。僕にも弟にも、悪評を漏らすばかりだったのに急に恩師ぶりやがって。

③ママ・はは


 教師となって引っ越しの準備をしていると、同じ女の友人である子の成人式の時の写真を見つける。その写真の晴れ着には、とあるエピソードがあった。その子は、幼きときのことを回想し、何でも抑圧的だった母のことについて語る。

④早穂とゆかり


 編集者の早穂と、学習塾経営で成功している実業家・ゆかり。早穂を踏み台にして、スクールカーストの上層部に居た早穂は、今度はビジネスというフィールドで踏み台にされることに。

ほらね、言ったとおりでしょ?

 この4話。自分にも、かわいそうな側として該当するなと思った人は、この本を読んで嫌な気分になったはず。でも、そんな嫌な気持ちのままで良いんです。それだけあなたは抑圧されて生きてきたんだから。このように、人生の大どんでん返しってきっとあるよ。

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