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予言の自己成就×SDGs=コロナ禍から学ぶべきことの中で、最も大切だと思うこと 〜 SDGs・探究への招待 #022~

《今日のSDGs 考えるヒント》:社会を守るのはだれ?〜人は望んだことを実現する〜

 唐突ですが、みなさん、予言ってありますよね。予言とはいったい何かという問いに対して、人文科学の世界ではこのように解釈しています。

「予言は実現していくものである」

 「予言の自己成就」と言われています。世界中には数えきれないほどの宗教団体がありますが、その中の一部の宗教団体は、時として何百人も集団自殺したり、テロ活動を行ってきました。そしてこれらの団体はあらゆる宗教に共通するある思想をドグマ化させて過激な形で実践していました。どんな思想だと思いますか?

 それは「終末思想」です。
 「終末思想」というのは、「世界は一度終末を迎えて人類は滅ぶけれど、その後に神の救済が行われ、その宗教を信仰している者たちが神に選ばれた者として生き残り、理想的な新世界を築くであろう」という思想です。つまり、その宗教が目指す理想世界の前提として、今の世界が一度終わるということがある、それを「予言」として掲げるのです。ただ、終末思想自体はイスラム教もキリスト教も仏教もユダヤ教もほぼ全てと言ってもいいぐらいの宗教がとなえています。

 問題は、その予言を実現するために一部の過激な人たちが、世界の終末を目的化してしまうということです。だから本気でテロに走り、集団で殺し合いすら行うことがあります。

 宗教がどうこうという気は全くありません。人間に哲学や文学や芸術が必要なのと同様に、宗教は欠かせないものなのだろうと理解しています。

 なぜこんな話をしたのかというと、人間は、望んでいなかったはずなのに、自分の行いや信念を正しいと信じた瞬間に、その望んでいないことを実現するために行動しているときがあるということを知ってほしかったからです。

 コロナ禍での自粛期間中、巷では、マスクに続いて米、パン、冷凍食品なども売り切れました。紙やペット用のシートまで売り切れ続出でした。果てはアルコール度数の高いお酒も売り上げが伸びたそうです。もちろんやけになって効率よく酔っ払うためじゃないです。アルコールだけに消毒に効くんじゃないか、という考えらしいです。あと、何でしたっけ、ぬるま湯を飲むと新型コロナに効く? 大笑いしましたが、これはネタでもマンガでもなく、大人たちが大真面目にとっていた行動です。

 パニックになるのは誰も望んでいない。不安な毎日は送りたくない。その結果とった行動が逆にパニックを産み出し、社会不安を引き起こしているのです。

 社会システムの崩壊は、新型コロナウイルスによってではなく、崩壊を望まないはずの人々の行動によって起こります。

 経済・経営学部系に進むと、大学の授業で一番最初に教わることは、「経済は信用で成り立っている」ということです。本当はいくらでも景気が良くなって豊かになれる条件がそろっていても、その社会全体が不安に包まれていたら、不景気どころか経済は停滞、果ては破綻します。
 結局私たちの毎日の社会生活を左右しているのは、上等なシステムでもなく、強大な軍事力でもなく、日常の人の気持ち、気分、意識なんですね。

 レジリエンス?
 住み良い街づくり?

 タフな感受性を持たない集団は、どんなにハイテクなインフラや設備を整えても、どんなに素晴らしい理念を掲げても、あっという間に滅ぶか、外圧に隷属するか、どこからも相手にされなくなるか、ぐらいしか道はありません。

 コロナ禍での私たちの社会状況はどうだったでしょうか?あらためてふりかえってみると。。。

 ですからみなさん、豊かでタフな感受性を、若い今のうちに磨きましょう。こんなご時世だからこそ、自分自身に最高にポジティブな「予言」を与え、とりあえず10年がかりで実現しましょう。

《キィワード》: 調べてみよう
#三大宗教 #ドグマ #教条主義 #原理主義 #正義 #終末思想 #ハルマゲドン #経済と信用 #貨幣と信用 #予言

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