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百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

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小説「百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。」についての記事をまとめたマガジンです。 (最終更新日:2021/08/22)
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【小説】百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。|目録

【小説】百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。|目録

作品概要1.あらすじ

 佐々木小太郎は女性同士の恋愛作品──いわゆる“百合”が好きだった。愛していたといってもいいかもしれない。

 だからもし生まれ変われるとしたら百合カップルを眺めるモブになりたい、いやいっそ空気でもいい。トラックに轢かれ、死にゆく中そんなことを思っていたら、(自称)女神によって「本来の寿命よりも早く死んでしまった」ことを告げられ、望む世界でもう一度「やりなおせる」ことが告げ

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【小説】幕間Ⅵ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】幕間Ⅵ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編視察

「へぇ……ここかぁ、“思い出の公園”っていうのは」

 正直言って最初の印象は「地味」だった。まあでも、そんなもんだよね、思い出って。何の変哲もない公園とか、お店が、そこで体験したこと次第でいくらでもその趣を変えるんだ。そう、思い出の場所になったり、

トラウマの場所になったり、ね。

「にしても不思議なもんだなぁ……途中で設定弄ったせいなのかな?それにしてもこんなに綺麗

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【小説】Ⅹ.幼き日々と、淡い思い出|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】Ⅹ.幼き日々と、淡い思い出|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編54.季節限定メニューもあるらしい。

「へぇ……これがそうなんだ……」

 美咲が感心しながらテーブルの上に乗っている品を写真に収める。そこには二人でシェアする前提で注文したミニシロ○ワールがあった。

 そう。

 俺ら二人は今、コ○ダ喫茶店にいる。分からない人に補足をしておくと、コメ○喫茶店は名古屋に端を発する喫茶店チェーンで、ネット上では「ボリュームがやばい」という評価を

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【小説】Ⅸ.幼馴染と変則デート|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】Ⅸ.幼馴染と変則デート|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編45.いわゆるイメチェンってやつ。

「服を選ぶのに付き合って欲しい?」

「そう。駄目かしら?」

 週末の休み時間。美咲に呼び出された俺はそんな相談を受けていた。

「えっと……また、なんで私に?」

「えっと、ね。普段は誰かと一緒にってことはないんだけど、たまには気分でも変えようかなって」

 なるほど。

 要するに「自分以外のセンスで選ばれた服が着たい」ということだ。考

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【小説】Ⅷ.笹木華、大ピンチ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】Ⅷ.笹木華、大ピンチ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編44.伏線回収ってこういうこと。

 突然だけど皆は背水の陣っていう言葉を知っているだろうか。川を背にして陣取ることで退路を断って戦ったことから生じた言葉で、後に引けない状態に追い込むことで、覚悟を決めて戦うみたいな意味合いがある言葉だ。

もっとも、実際にその意味で使われることはそこまで無いような気がしている。じゃあ実際にどういった使われ方をするのかって?それを説明するのは凄く

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【小説】幕間Ⅴ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】幕間Ⅴ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編失敗

「ふーーーーーーーーん…………」

 気に入らない。

 なんであの展開から上手く行っちゃうのよ。まああの子にとっては上手くいったわけではないかもしれないけど。

 私の想定した形とは大分違う感じになっちゃった。

 自分が原因で言い争いが始まっちゃって。それが全部自分のせいだって責めて、そこから崩れていくバッドエンド。そういう想定だったのにな。

 そのために写真だって

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【小説】Ⅶ.その後の美術部室|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】Ⅶ.その後の美術部室|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編43.こんなはずじゃなかったのに。

「…………あの」

「なに、笹木さん。あ、もしかして、私の膝枕じゃ駄目だった?」

「いや、そういうわけじゃないですけど……」

「そう?それならいいんだけど……」

 場所は美術部室。

 参加者は俺と、育巳と碧の三人。

 三人の配置としては、育巳が俺を膝枕(なぜか備え付けられている布団を敷いて、その上に座った上でという徹底ぶりだ)し、奥

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【小説】幕間Ⅲ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

【小説】幕間Ⅲ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。

当記事について本編初恋

 お隣同士だから、仲良くしてあげてね。

 ちょっとだけお兄さんなんだから、しっかりね。

 最初に会った時、大人たちはそんなことを言っていたけど、正直彼女は俺よりずっと大人だった。ずっと色んなことを知っていた。そして、ずっと成長していた。

 そんな俺よりもずっと凄い彼女は、いつも俺のことを助けてくれた。

「××。ここ、分かんないんだけど」

「分からない?ここはね。

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