【小説】幕間Ⅴ|百合カップルを眺めるモブになりたかっただけなのに。
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本編
失敗
「ふーーーーーーーーん…………」
気に入らない。
なんであの展開から上手く行っちゃうのよ。まああの子にとっては上手くいったわけではないかもしれないけど。
私の想定した形とは大分違う感じになっちゃった。
自分が原因で言い争いが始まっちゃって。それが全部自分のせいだって責めて、そこから崩れていくバッドエンド。そういう想定だったのにな。
そのために写真だって白黒にしたし、色鉛筆の順番だって変えた。綺麗に整頓されている状態なら、色覚に異常があっても色を塗ることくらいは出来るって算段もぐちゃぐちゃにしてやった。
なのに。
「つまんなーい」
まあでも、正直なところ、嫌な予感はしてた。
私だってあの子にばっかりかまけてるわけにはいかないから、細かいことはチェックできない。だから、あの恵まれた子があの子に色々と話したのは気になっていたけど、放置してた。きっと色々入れ知恵したんだろうなぁ。こざかしい。
「まぁいいや。一回失敗したらまた違う手を考えるだけだしね♡」
よっと。
立ち上がって、伸びをする。教わったゲーミングチェアとやらもなかなかいいけど、もっといいものを手に入れたいって気もする。だって私は一番なんだから。
「よっ……と」
手元にあった矢を壁の“目標”に向かって投げる。
命中。
これはあの子の世界ではダーツっていう遊びらしい。気が付いたら百発百中。正直そんなに面白いとは思わないけど、気分転換にはなるから、やってる。ただ、的が円形を組み合わせのだと、ちょっと面白みがない。だから、オリジナルで作った。これならモチベーションもあがるからね。
「また新しいのに変えないとなぁ……」
壁にかかった“的”をはがす。そこには、
「今度写真撮らせてね、“神泉アテナ”ちゃん」
いつか倒すべき相手の姿があった。
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