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『境界性パーソナリティ障がい』とは?🍀治療とセルフケア🍀

境界性パーソナリティ障がい(BPD)とは、

・感情の不安定さ
・自己イメージの不安
・対人関係の困難
・自己認識の不安定さ
・過食や自傷行為のような自己破壊的行動
・強い恐れや不安

などを特徴とする精神疾患です。
一人ひとりの症状は異なりますが、不安定な感情と自己イメージが生活に大きな影響を及ぼし、対人関係が脅かされることがあります。

今回は、以下の文献を参考にしながら、『境界性パーソナリティ障がい』について、一緒に学んでいきましょう✏︎

【参考文献】


境界性パーソナリティ障がいの原語

よくわかる境界性パーソナリティ障害より

境界性パーソナリティ障がい(BDP)の原語は英語で『ボーダーライン・パーソナリティ・ディスオーダー』(Borderline Personality Disorder)です。

上図のように、境界性パーソナリティ障がいは、
他の多くの精神障がいと重なり(関連)がある
とわかってきました。境界性パーソナリティ障がいという診断名ではなく、
『ボーダーラインの特徴をもつ人(Borderline Person)』
という言葉を使う研究者もいます。

しかし、人の一面だけを見て『あの人はボーダーラインじゃない?』と安直に使いレッテルを貼るのは、その人のイメージを悪くするだけでなく、病気に対する誤解を広めることにも繋がるので、避けなければなりません。

また、『パーソナリティ』という言葉から、
「人格は治るものではない」と考えられることがあるかも知れませんが、そんなことはありません。

実際に、地道な努力によって、治療し回復された方も多くいます🍀

治療には、心理療法や薬物療法が用いられ、早期の診断と適切な支援が重要です。


主な症状(DSM–5より)

主な症状は、感情・行動が不安定なために、対人関係がうまくいかないことです。本人だけではなく、周囲の人も苦労することがあります。
以下に、DSMー5による境界性パーソナリティ障がいの主な症状を紹介します。

 〈対人関係の障がい〉
・不安定な対人関係
・自己同一性障がい
・慢性的な空虚感
・ストレスによる妄想、解離

 〈行動コントロールの障がい〉
・2つ以上の領域で衝動性
・自殺企図やそのおびやかし行動

 〈感情コントロールの障がい〉
・感情が不安定
・不適切な怒り
・見捨てられることを回避


治療方法

境界性パーソナリティ障がいは、時間はかかりますが、治療によって回復する病気です。境界性パーソナリティ障がいの患者は20代で最も多く、30代半ばごろからは改善が見られることが多いとされています。

本人や周りの人が、感情や行動のコントロールの難しさに気づけたら、早期の治療をすることが、早期の改善に繋がります。
以下に代表的な治療方法を紹介します。



🍀精神療法(心理的側面から)

薬物や物理的な手段によらず、言葉などを用いて認知・行動に心理的に働きかける治療法です。治療の目的によって、様々な方法があります。

・個人精神療法
→治療者(医師や心理士など)と患者が一対一の面接で行います。治療者が患者の話に耳を傾け、相談相手になって不安や悩みを軽くする助言や指導を通して、現実への適応能力を高めることを目指します。
例) 認知療法  対人関係療法   精神分析的精神療法 etc…

・集団精神療法
→治療者に対し患者が2名以上の集団で行います。患者相互の働きかけを利用して、回復のための学習体験を積み重ねることを目指します。



🍀薬物療法(生物学的側面から)

服薬することにより、脳内神経伝達物質(後述)の作用を変化させることによって脳の働きを改善し、不安や抑うつ、衝動的行動といった精神症状の改善を目指します。また、合併する他の精神疾患の症状改善にも効果的です。

💊主な精神科薬
〈抗うつ薬〉 抑うつ症状の改善、衝動性や感情の不安定さを抑制
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
 例) パキシル デプロメール ジョイゾロフト
・三環系抗うつ薬
 例) アナフラニール トリプタノール

〈気分調整薬〉 双極性障がいの躁状態を改善、衝動性や感情の不安定さを抑制 
・気分調整薬
 例)リーマス
・抗てんかん薬
 例)デパケン バレリン デグレトール テレスミン

〈非定型抗精神病薬〉統合失調症の治療薬。衝動性や攻撃性、逸脱行動を改善
・セロトニン・ドーパミン拮抗薬(DSA)
例)リスパダール ルーラン ロナセン セロクエル 
・ドーパミン系安定剤
例)エビリファイ
・多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)
例)ジプレキサ

🧠脳内神経伝達物質
〈セロトニン〉

精神を安定させます。不足すると、うつや不安、不眠、パニック発作などを起こしやすく、攻撃性・衝動性が増すと考えられています。

〈ドーパミン〉
行動のやる気を起こすはたらきをします。減少すると活動性が鈍くなり、物覚えが悪くなったり、無気力になったりします。逆に増えすぎると、幻覚が怒ったり、過剰な運動をコントロールできなくなったりします。

〈ノルアドレナリン〉
ストレスを感じた時に放出される物質で、交感神経を刺激し、精神を覚醒・興奮させる働きがあります。ホルモンとして分泌され、心拍数や血圧を上げ、ストレスに対する戦闘態勢をつくります。

〈GABA(ギャバ)〉
γ-アミノ酪酸というアミノ酸の一つで、神経(痙攣や不安など)を鎮静させるはたらきをします。



🍀生活指導、家族へのサポート・はたらきかけ(社会的側面から)

生活環境の調整や社会復帰に向けた訓練を行います。

〈家族療法、家族へのサポート、介入〉
家族関係の問題が本人の症状に関わっている場合、家族全体に働きかけ問題の改善を図ります。

〈デイケア・作業所の利用〉
症状が安定し、社会復帰を目指す患者に、集団活動やレクリエーション(デイケア)簡易な作業による就労訓練(作業所)などのリハビリテーション活動により、社会に適応する力をつけます。

〈生活指導〉
生活上の悩み事や負担に対して指導・助言や調整を行い、療養体制を整えます。




最後に

境界性パーソナリティ障がいは誤解が多いと感じます。

『障がい』という言葉から、治るものではない?
『パーソナリティ』という言葉から、人格・個性の問題?

これらの誤解を少しでも取り除き、自分や他人のせいにせずに病気と向き合い、早期の治療をされ早期に改善される方が増えることを望んでいます。


最後までお読みいただき、ありがとうございました✨

いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます。
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この記事を読まれた方が、
少しでも『 境界性パーソナリティ障がいとその治療方法』について理解を深めていただき、少しでもお役に立てれば嬉しいです🌈

今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします✨

【参考文献】



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