「KIGEN」第四十二回
「カエデさんは菩薩のような眼差しで、私のしくじりさえも優しく見守って下さいます。でもおじいは厳しいです。まるで鬼の形相。夢にまで出て来そうです」
いちごうは何をするにも真っ向から取り組んだ。畑に獣よけのネットを張る為の杭を打つよう指示された時、ここへ真っ直ぐねとカエデさんが腕を伸ばして示してくれた。いちごうははいと頷き早速杭をえい、えいと等間隔に打っていった。カエデさんが気付いた時には、杭は縦一列に三十本、畑を過ぎて遠く山の麓付近にまで届く勢だった。おじいはいちごうを一喝