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長編小説「KIGEN」

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「AI×隕石×大相撲」 三つの歯車が噛み合ったとき、世界に新しい風が吹きました。 それは一つの命だったのか。それとももっと他に、相応しいものが、言葉が、あるのだろうか― 小学校5…
ようこそいち書房へ。長編小説はお手元へとって御自分のペースでお読み頂きたく思います。
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#AIとやってみた

新連載「KIGEN」第一回

※この物語はフィクションです。登場する人物、団体等は、実在のものと一切関係ありません。 …

いち
1年前
172

「KIGEN」第二十六回

 手探りながらも着々と準備が進められた健康診断を前に、奏はいちごうを慮り声を掛けた。いち…

いち
1年前
50

「KIGEN」第二十八回

 急に改まった医者は大人たちへ力強い目を向けた。いかなる検査をするにしても、未成年の彼等…

いち
11か月前
58

「KIGEN」第三十七回

 翌朝、早くから蝉が地上を席巻して、青く開けた空には太陽が上っていた。古都吹家の庭先で、…

いち
11か月前
57

「KIGEN」第三十九回

「単純に言えば誘拐、ですよね。けれど、あれ程高名で世間的にも立場のある人間が、そんな大そ…

いち
10か月前
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「KIGEN」第四十一回

 必死に取り縋る矢留世を振り払い、源三郎は客間を去って家の奥へ消えてしまった。縁側で微か…

いち
10か月前
62

「KIGEN」第四十二回

「カエデさんは菩薩のような眼差しで、私のしくじりさえも優しく見守って下さいます。でもおじいは厳しいです。まるで鬼の形相。夢にまで出て来そうです」  いちごうは何をするにも真っ向から取り組んだ。畑に獣よけのネットを張る為の杭を打つよう指示された時、ここへ真っ直ぐねとカエデさんが腕を伸ばして示してくれた。いちごうははいと頷き早速杭をえい、えいと等間隔に打っていった。カエデさんが気付いた時には、杭は縦一列に三十本、畑を過ぎて遠く山の麓付近にまで届く勢だった。おじいはいちごうを一喝

「KIGEN」第四十三回

 大学生だったアイリーが研修の一環で日本を訪れ、その時人事交流の拠点で身の回りの世話をし…

いち
10か月前
57

「KIGEN」第四十四回

 いちごうへは生物学を根拠に自分の性別を示した奏だが、それも実は説得力に欠けると思う。つ…

いち
10か月前
67

「KIGEN」第四十五回

 年が明けて、日は流れ、世間には今年も桜が舞い人々を楽しませた。二人は順調に学年を上がり…

いち
10か月前
62

「KIGEN」第四十八回

「ええ、仰る事はよく分かりますがその・・・力士はみな人間です。当然ですが。ですから、生身…

いち
10か月前
56

「KIGEN」第四十九回

「おじいは横綱にまで登り詰めた立派な方です。そんな冗談で私をからかわないで下さいよ」 「…

いち
10か月前
56

「KIGEN」第五十回

 親方から部屋を引き継ぎ垣内部屋の垣内親方を襲名する。そうと決まった矢先、垣内親方が体調…

いち
10か月前
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「KIGEN」第五十一回

「喧嘩両成敗だ。処分は妥当だった。だが俺自身が角界に残る事を許さなかった。人を喜ばせるためにあった手で、人を傷つけたんだからな。相撲道に反する行為だ。許される訳が無い――もう古い話だ」  いちごうは頭の中であらゆる言葉を想像した。胸の内に沢山の言葉を浮かばせた。だがどれも簡単に出て行かなかった。全て語ってくれた源三郎に届けたい言葉はこんなものじゃないと、自身の中に在る言葉の箱をいくら漁ってもまだ見つからなかった。全く、AIであるのを忘却しているとしか思えなかった。自分の知能