「KIGEN」第十一回
「いいじゃん奏!その調子じゃん?」
フレンドリーを参考にしたつもりだった。いちごうは上出来のつもりだった。奏は戸惑った顔をした。学校で同級生に対しても、語尾を持ち上げる疑問形の会話はやった事が無い。奏は大抵、僕はこう思うよ。という口調に終始している。そもそも会話はあまり得意ではなく、言葉の始めは詰まりやすい。お、おはよう。あ、あのさ、ぼ、ぼ、僕はこう考えます―小学生の内に治らなかったものは、中学に上がってもそのままだった。次から次と湧いて来る疑問は心の内に留め置いて、後か