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長編小説「KIGEN」

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「AI×隕石×大相撲」 三つの歯車が噛み合ったとき、世界に新しい風が吹きました。 それは一つの命だったのか。それとももっと他に、相応しいものが、言葉が、あるのだろうか― 小学校5…
ようこそいち書房へ。長編小説はお手元へとって御自分のペースでお読み頂きたく思います。
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#ロボット

新連載「KIGEN」第一回

※この物語はフィクションです。登場する人物、団体等は、実在のものと一切関係ありません。 …

いち
1年前
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「KIGEN」第四回

 ガレージの研究所には、奏専用の真新しいパソコンがある。実はこの歳にして既に二代目だ。初…

いち
1年前
63

「KIGEN」第五回

「じゃあその当たったものって何?何処に行ったの」  渉はそこなんだよなあと呟きながら腕を…

いち
1年前
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「KIGEN」第六回

 この心臓を取り付け完了すれば、鼓動が聞こえるようになる。脳の中枢部分と連動を始め、AI…

いち
1年前
68

「KIGEN」第九回

 洗い上がった洗濯物をカゴに入れて物干し台へ向かおうとする智恵美を呼び止めて、奏は後ろへ…

いち
1年前
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「KIGEN」第十回

「奏、この不定期にぱたぱたと鳴る音はなんでしょうか、ほらまた鳴った」  奏は周囲に耳を澄…

いち
1年前
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「KIGEN」第十一回

「いいじゃん奏!その調子じゃん?」  フレンドリーを参考にしたつもりだった。いちごうは上出来のつもりだった。奏は戸惑った顔をした。学校で同級生に対しても、語尾を持ち上げる疑問形の会話はやった事が無い。奏は大抵、僕はこう思うよ。という口調に終始している。そもそも会話はあまり得意ではなく、言葉の始めは詰まりやすい。お、おはよう。あ、あのさ、ぼ、ぼ、僕はこう考えます―小学生の内に治らなかったものは、中学に上がってもそのままだった。次から次と湧いて来る疑問は心の内に留め置いて、後か

「KIGEN」第十二回

 学生たちが軒並み夏休みに突入した七月下旬、リビングで渉は大相撲中継を見ていた。一場所十…

いち
1年前
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「KIGEN」第十三回

「私の動力源だとは重々承知の上で訴えているんだけど、充電の度に辛いんだよ」 「ど、どう云…

いち
1年前
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「KIGEN」第十四回

「口開けて見せて」  いちごうはお安い御用とばかり、あ、と素直に大きな口を開けて見せる。…

いち
1年前
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「KIGEN」第十五回

「いちごう、そんなに体ごと動かなくても曲がれるんだって」 「だって体が勝手に動くんだもん…

いち
1年前
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「KIGEN」第十八回

「えっ、ちょっと、三河さん!まだ台詞考え中ですって」 「ぐだぐだ考えたってつまらんだろう…

いち
1年前
53

「KIGEN」第十九回

 いちごうの不調の原因ははっきりしないままで、現状のいちごうにどの程度の検査が可能か、ロ…

いち
1年前
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「KIGEN」第二十五回

四章 「結託」  チームリーダーの矢留世から報告を受けた本部は騒然となった。単純明快なミッションとして隕石の調査、回収を担っていたチームから、いきなりAIロボットの話が、それも前例のない、人体と同じ機能を備えつつあるらしいロボットの報告が上げられたのだから無理もなかった。だが矢留世が報告の為に揃えた書面の束は詳細かつ丁寧に出来上がっており、製作者も共同で該当のロボットを調査する意思があるという。人類にとり未知なる研究となるのは必定で、その上決断までに時間をかけられない状況だ