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※この物語はフィクションです。登場する人物、団体等は、実在のものと一切関係ありません。 …
一章 「起源」 二〇二一年二月某日。現場マンションの住人に話を聞いた。 「夜遅くにす…
奏がレモネードの入ったグラスをそろそろ傾け過ぎるという頃合いで、渉が声を掛けた。数度名…
ガレージの研究所には、奏専用の真新しいパソコンがある。実はこの歳にして既に二代目だ。初…
「じゃあその当たったものって何?何処に行ったの」 渉はそこなんだよなあと呟きながら腕を…
この心臓を取り付け完了すれば、鼓動が聞こえるようになる。脳の中枢部分と連動を始め、AI…
二章 「夢の欠片」 どいつもこいつも立派にマスコミ気取りじゃないか。 誰かの立ち上げた特設サイトへ次々と寄せられる情報を斜め読みしながら、三河は低音の響く溜め息を地面へ落とした。隣では同じサイトを閲覧しながら感心の唸り声を発している。 「どの位信憑性があるのか怪しいもんだな。殆ど各自の憶測含んだ言いたい放題じゃないか」 「ほんとですねえ、でも中々穿った意見もありますし、こういう場所にこそ真実が埋もれているものですから、地道に探しましょう」 「ああ目が痛い、俺は足で稼
「最初に見つかった隕石、確かにそれなり大きなサイズですけど、大気圏突入時、幾つかに割れて…
洗い上がった洗濯物をカゴに入れて物干し台へ向かおうとする智恵美を呼び止めて、奏は後ろへ…
「奏、この不定期にぱたぱたと鳴る音はなんでしょうか、ほらまた鳴った」 奏は周囲に耳を澄…
「いいじゃん奏!その調子じゃん?」 フレンドリーを参考にしたつもりだった。いちごうは上…
学生たちが軒並み夏休みに突入した七月下旬、リビングで渉は大相撲中継を見ていた。一場所十…
「私の動力源だとは重々承知の上で訴えているんだけど、充電の度に辛いんだよ」 「ど、どう云…
「口開けて見せて」 いちごうはお安い御用とばかり、あ、と素直に大きな口を開けて見せる。顎関節は人型、歯並びも舌も偽物だが人と遜色ない。総じて音声の発しやすい環境が整えられている。 「ううん」 俄かに桃色っぽく見えるのは、光の加減が影響しているだろうか。単純な目視では正確な事は分からなかった。だが結局、丸一日観察続けてもいちごうに水分補給による不具合は起こらなかった。 いちごうは毎日水を飲むようになった。しかし充電は必須で、以前の通りプラグを繋いで行わなければなら