- 運営しているクリエイター
#ショートショート
【短め短編小説】『A Brush(ア・ブラッシュ)一触れ☆Episode 1 私の場合』《A bit painful but Heart-warmingなお話》(3455字)
英語で”a brush”は、「一触れ」……ちょっと触れることという意味がある。
そして、私の元彼、竜崎蓮は、この一触れに纏わる不思議な体質のおかげで大変な人生を送っている。蓮と私が別れたのも、その体質が原因だ。
でも私は、蓮と別れることにはなったけれど、その特殊な体質のおかげで救われた。
蓮と私が出会ったのは、私達が大学4年の夏だった。
私は涙で顔をぐちゃぐちゃにして、清水公園の噴水の
【短め短編小説】『山桜』《Bright & Hopefulなお話》(2121字)
「何時ぐらいに帰ってくるの?」
玄関で登山靴を履いていると、背後で母の声がした。
「今日は近場だから早いと思う。昼過ぎには帰るよ」
「そう、気をつけてね」
パジャマ姿の母は、そう言うと寝室に戻っていった。
月に1度か2度、気が向いたら俺は山に出掛ける。行くときは独りだ。普段は近場の1,000メートルほどの山、休みが取れれば1、2泊で日本アルプスにも出掛ける。
初めて山に行ったのは3年前の3