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~気楽に生きよう~ 仕事を辞めまくっても、なんだか楽しそうな友人J氏の話

「成長」「市場価値」「軸」

社会に出るとこんなワードにたくさん出くわす。

もちろん、何か夢中になれるコトが見つけられて、それを仕事にできたヒトなら良い。

でも、「今日、目の前の仕事を頑張る」ヒトに向けてそんな意識高いワードを言われても、困っちゃうのである。

今回ご紹介するのは、視座の高い意見がはびこる社会で、「自分なりの生き方」を貫き、責任を放棄し、世間体を蹴っ飛ばして、仕事を辞めまくった私の友人の話だ。

今、ちょっとだけ無理して働いているあなたにこそ、読んでほしい。

神職って、辞められるんだね。

今回の主人公、友人J氏は私の学生時代からの友人である。
学生当時、J氏の将来の夢は皇室に入ることだった。

「は?」と思うだろう。

安心してほしい、私も同じ反応をした。

どうにも彼はロイヤルな血筋に憧れていたようで、自分が何か努力をすれば本気で皇室に入れると思っていたのだ。
もちろんその夢は打ち砕かれることになる。女性であれば婚姻によって皇室入りができるかもしれないが、男性だとほぼ不可能なのである。

そんな夢破れた彼が次に目指したのは、神社の神主だった。
「なぜ?」と思うかもしれないが、彼はなにか「神聖」な存在になりたかったようだ。
神主になるために「階位」と呼ばれる専門資格の取得を目指す学科に入学し、4年間ひたすら勉学にいそしんだ。

勉強の甲斐あって、無事階位を取得し、大学を卒業したJ氏は、地方の神社に勤めることになる。

素っ頓狂な夢を持った彼であったが、無事夢を叶えたようで何より、と祝ったのも束の間―――。

なんと彼は神主の仕事を2カ月で辞めたのである。

大手企業でも、辞めちゃうんだね。

神社から学校に寄せられた怒涛のクレームは置いておくとして、私はJ氏に「なぜ夢だった神主の仕事を辞めてしまったのか?」と尋ねた。

すると彼はこともなげにこういうのである。

「暇だったから」

私は、何か恐ろしいものでも見ているような気分になった。というのも、彼は神主を辞めた直後、なぜか誰もが知る超有名企業の営業職へ転職していたのだ。

学歴が良いわけでもない、なんなら前職をすぐにやめている彼がなぜ面接を通ったのかは知る由もないが、とかく彼は一躍有名企業の営業マンとして働くことになる。

「人生で一度も緊張したことがない」。

そう宣う彼は、メキメキと営業としての頭角をあらわしていく。物怖じせず提案する彼に、顧客は強い安心感を覚え、契約にいたるのだとか。

私は、彼から営業として楽しく働いていると聞き、安心したものである。いろいろとあったが、良い企業にも巡り合え、楽しそうに働いているのなら何よりじゃないか、と。

そんな私の安心感を打ち砕くかのように、彼はまたもや仕事を辞めた。

いや、ただ辞めたのなら良い。
次は「俺アイドルを目指すわ」と、言い放ったのだ。

どうしてこうなった!

アイドルは、あきらめない。

営業職を辞めてから、J氏はダンスレッスンに通いつめ、日々オーディションを受けていた。
とはいえ、この時J氏の年齢は20代後半。なかなかにギリギリの年齢だ。

だが、そんな彼を見染めたプロデューサーが現れる。彼は当時有名なアイドルグループの楽曲を多数手がけたプロデューサーで『星の王子様』というアイドルグループを新設するために、オーディションを開催していた。

そのプロデューサーは、オーディションに参加していたJ氏を見て、『星の王子様』ではなく別のグループなら、J氏の才能を活かせると思ったそうだ。

その話をもらったJ氏は、歓喜した。「それはどのようなグループなのか?」と、プロデューサーに問いかける。

「男子便所」

プロデューサーが告げたのは、別で新設予定のグループ名だった。お笑いのコントを主体とした、新感覚グループとのこと。そのグループのリーダーを
J氏に務めてほしいというのだ。

その話に、J氏は憤慨して断ったそうだ。「そんな“ヨゴレ”のような、仕事は受けられない」と。

“どの口がそんなことを言うのか?”と私は思ったが、口には出さないでおいた。

一度は目の前に訪れたチャンスを断ったJ氏であるが、30代になった今でもアイドルになることは諦めていないそうだ。

結局、人事は続けているって

“紆余曲折”というには複雑すぎる人生を歩んだ彼は、現在、ベンチャー企業の人事を行っている。

どうやら、いろいろな人生経験を評価されたらしい。J氏になぜ人事の仕事を選んだのか聞くと、「ファンを作るという意味では、人事もアイドルみたいなもん」と思ったからだそうだ。

アイドルは自分を応援してくれるファンを作るために、歌・ダンス・バラエティ、さまざまな才能を磨いていく。

それは人事も同じで、会社のファンを増やすために、説明会を開いたり、会社の広報をしたり、親しみやすい面接をしたりなど、アプローチをしていく、そんな共通点に心を惹かれたのだそうだ。

考えてみるとJ氏の軌跡は、それはもうぐちゃぐちゃであるが、一貫しているのは「人に好きになってもらいたい」という欲が原動力になっているのかもしれない。

私はJ氏に、“今、人生に悩む人に伝えたいことは?”と問うてみた。

「『辞めたい、逃げたい』という考えが一瞬でも浮かんだら、なんだって辞めてもいい。仕事も恋愛も趣味も、辞めちゃいましょう。今の人生や自分を変えたいと思ったら、前進でも後退でもとにかく動かなくちゃいけない。“我慢し続けること”が大切になることもあるけど、待っていても状況自体は変わらないんです。変えようと思って行動した後、その選択肢を失敗にするか成功にするかは、結局自分次第ですから」

責任や世間体という言葉にとらわれて、私たちはJ氏のように自由に生きることが難しい。
ただ、今一度冷静に考えてみてほしい。
現在嫌々やっていることは、人生の大切な時間を使って行うことなのか?と。

そして、もう少し気楽に考えてみてほしい。
人生はなんとでもなるのだ。
嫌なことから逃げるのも、人生において大切な選択の一つ。
私たちの人生にもJ氏のような、“自分に正直な生き方”を取り入れていくことが必要なのかもしれない。

取材・文:八名川 タク
「楽して稼げる」をテーマに日々ネタを探すライター。
最近サウナにハマり、週一で通い“整う”のがマイブーム。やっぱり整ったあとのオロポは最高だよネ☆

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