そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第1章 旅立ち編 10】
前話はこちら
ー始まりの村 ドミリア(夜)ー
グリルのアホが村を出て、夜の危険なフィールドに繰り出している
その事にカッとなって、俺まで勢い任せに村を飛び出したら、二秒と持たず全滅するのは火を見るよりも明らかだ
なんと言っても俺は村人、自分の無力さはこれでもかと言うほどわきまえている
死なないためにはそれなりの準備をしないといけない
まずは道具屋に寄って行こう。道具屋は24時間営業だからやっているはずだ
あっのおばちゃん…!
夜も遅いから寝ぼけてたのか?
温めなくていいっつってんのに薬草レンジに放り込みやがった
薬草シナッシナじゃねぇか、使えんのかこれ?
使えなかったらクレームもんだぞ…適当な接客しやがって
まぁいい…目的の物は手に入った
ぐずぐずもしてられないし、もう行こう
―フィールド ドミリア周辺区域―
マサアキ
HP 32
MP 0
LV.2
う~ん…
夜のフィールドというのは暗さも相まってやはり不気味だ
へへへ…
怖すぎて笑けてくるぜ
今もの凄く歌を歌いたい。気分をまぎらわすために
だが安易に声を出せば何処に潜んでいるかわからない魔物に感ずかれる
慎重に行動しなければならない
しかしそうは言ったものの…
こうも辺りが薄暗くてはグリルも見つけられないし身動きも迂闊に取れない
………が
このマサアキ、そこに関してのぬかりはない
そんなときはこの道具屋で購入した松明だ
【マサアキは松明を使った!】
【辺りが少し明るくなった!】
ほぉらこの通り
周りに灯りが一切なくとも木に火を点けただけで十分照明の代わりになる
たいまつは消耗品なので時間が経てば消えてしまうが
10本近く買って来たから当面は大丈夫だろう
そんでもってこれ、聖水だ
これを体に振りかけると一定時間魔物を寄せつけなくなる
あまり強い魔物には効果がないが、ここら一帯の魔物くらいなら凌ぐ効力はあるだろう。そう信じるしかない
【マサアキは聖水を使った!】
よし、これで今打てる手は全て打った
あとは効き目が持続しているうちにグリルを見つけるだけだ
────フィールドに出てから10分近くが経った
依然としてグリルは見つけられていないが、魔物との遭遇回数もゼロ
夜のフィールドの静寂さが異様で、お前は世界にたった一人なのだと突きつけられているような気さえする
薄気味わりぃ…
こんな状況、一刻も早く抜け出さないとこっちの気までおかしくなりそうだ
……賭けだが、少し思い切ったアクションも取ってみるか
あ~~…
【マサアキは辺りを調べた!】
【しかし何も変化は起こらない!】
グリル〜?いたら返事しろ〜?
おーい…!
【マサアキは辺りを調べた!】
【しかし何も変化は起こらない!】
……何ともない、マジか…
今結構な声量を出したような気がしたが
もしかして、俺が過剰に警戒してるだけで魔物なんていないのか?
それとも、聖水の効果が予想以上で魔物どもが手を出したくても出せないとか?
…よし!そうと決まれば!
んんん…!グぅぅゥゥリぃぃィィィィルぅぅゥゥゥ!!?
エンカウント発生!
────────────────
───────────
───────
マサアキ
HP 28
MP 0
LV.2
はぁっ…!はぁっ…!おえ…っ!
は…!話が、ちげぇじゃねぇか…!
とんでもない数の魔物に襲われたぞ…!変な期待を持たせやがって!
何とか…逃げ切れたものの、逃走する際にアイテムをたくさんバラ撒いて来ちまった
あんなにあった松明も残り1本しかない
くそ、大事に使わねぇと
「………おま──…おいら──…」
ん?今のはグリルの声…?
近いぞ、あっちか?
ーフィールド ドミリア周辺区域 エリア2ー
「な…何だやるのかーお前ら?おいらつよいぞー、い…今なら許してやるけど?」
《ギギギギ…グェ…!》
《グァァァァ!》
「な、何言ってんだこいつら?」
いた!グリルだ!
ちっ…あのバカ魔物に囲まれてやがる…!
とりあえず引っ叩く
グリルを助ける ◀︎
エンカウント発生!
〜To be continued〜
スキ、フォローをして更新を催促する ◀︎
魔王を倒しにいく