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データを活用したソリューションで、事業の成功確度を上げる。ヤフーとソウルドアウトがともに取り組むSMB市場の創造

ヤフーとソウルドアウトが2016年1月に資本業務提携を結んで6年が経ちました。「SMB市場の創造」を掲げ歩んできた両社が今、力を入れていきたいこととは。

2015年に地域・中小事業領域を対象とした営業本部をヤフー社内に発足させ、ソウルドアウトとの資本業務提携を進めた福山 広樹 ふくやま ひろき氏と、現在SMB領域の広告事業の統括を担う岡村 篤治 おかむら あつじ氏を迎え、元ヤフーで現ソウルドアウト代表取締役社長CEO兼CCOの荒波との対談の模様をお届けします。

*SMB=Small and Medium Businessの略、「中堅・中小企業」の意味。

地方、中小企業の広告市場を創造してきた両社

資本業務提携から6年。SMB市場に押し寄せるデジタル化の波

荒波:福山さん、岡村さんとは、かれこれ十数年来のお付き合いですね。

まだヤフーさんのセールスパートナーが十数社しかなく、大企業や高額予算をもつ一部業種の企業しかデジタル広告を実施していなかった時代から、同志として、新しい代理店網をつくったり、セルフサーブの仕組みを整備したりしながら、日本の地方、中小企業のデジタル広告の市場をつくってきました。

そして、市場創造というテーマを掲げ、2016年1月にヤフーさんとソウルドアウトの間で資本業務提携をおこなってから6年以上が経ちましたね。

福山:そうですね。当時、地方、中小企業のデジタル化が、日本経済の成長に繋がると考えてはいたものの、ヤフーだけでは思うように進まず、歯がゆい思いをしていたときに意気投合したのがソウルドアウトさんでした。

代理店がもつ強みと、私たちプラットフォームがもつ強みを掛け合わせて市場創造を進めようと、資本業務提携に至りました。プラットフォームが代理店に資本を入れるという前例がない取り組みでした。

荒波:当時はソウルドアウトの3分の1の株式をヤフーさんにもってもらうことになったんですよね。私がまだヤフーさんにいた頃、進めていた話ではありますが……。かなり思い切った決断でしたが、踏み切らなければ、SMB市場は広がっていかないという危機感もありました。

あれから、市場にはどんな変化があったと感じていますか?

福山:コロナ禍で、日本企業を取り巻く環境が非常に大きく変わりましたね。特に地方、中小企業では、デジタル化の遅れが企業活動に大きな影響を及ぼすといった課題が顕在化したと思います。

岡村:広告業界では2020年、テレビCMの広告費をデジタルの広告費が超えました。テレビCMは大手企業の利用が中心でしたが、デジタル広告では中小企業の利用が増え、裾野が広がっている実感もあります。

もう一つ感じているのは、過去にはあまり見られなかった新しい商材・サービスをもつ企業の広告出稿もかなり増えてきているということです。かつ、そういった企業の勢いも感じます。

背景には、DX化の流れの中で新しい業態の企業群が出現したことや、経営層が強い事業拡大意欲をもっている中小・ベンチャー企業では資金調達のしやすい環境が進んだことがあげられるのではと見立てています。

ソウルドアウトがもつ全国の拠点を活かし、企業のDXに伴走してほしい

荒波:外部環境の変化も大きく感じられる昨今、ソウルドアウトに求めることや期待することを教えていただきたいです。

岡村:企業のDXの支援ですね。

デジタル化の波がやってきているとはいえ、特に地方、中小企業では、DXをどう進めればいいのかお悩みの方も多いと思います。デジタルを初めて導入する段階から支援することで、そのあと、デジタルマーケティングを活用して事業を拡大させていくことができます。

パートナー企業の力があってこそ初めて成長できる企業も多いと思います。ソウルドアウトさんの知見を活かして、企業のDXに伴走してほしいです。

荒波:まさに、ソウルドアウトグループのアンドデジタルという会社では、企業のDXを支援しています。支援活動を通じて、一社でも多くの企業がデジタルネイティブな会社に生まれ変わり、デジタルを駆使してプロモーションをしたいと思っていただけるようにしていきたいと考えています。

福山さんはいかがでしょうか?

福山:企業のDX化のうねりがある一方、デジタル広告では「3rd party Cookie」の規制が始まりました。従前どおり広告効果を得ることが難しくなってきている中、その対策として私たちヤフーは、ユーザーのプライバシーを適切に保護しつつ、保有しているビックデータや最新テクノロジーを多くのお客さまが活用できるよう環境整備を進めています。

ソウルドアウトさんは拠点をどんどん広げられていますし、データやテクノロジーの恩恵を全国に届けていってほしいですね。

デジタル広告市場の変化

荒波:福山さんのおっしゃるように、テクノロジーの進化によって、デジタル広告ではプラットフォームの自動化が進んでいます。それに伴ってSMB市場では、自社で広告を運用する企業は増えてきているのでしょうか?

岡村:利用する広告費によって変わってくると思います。少額になるほど自社運用の割合が高まる傾向はあります。出稿金額が大きくなっても自社運用のまま継続する企業ももちろん存在していますが、スケールをするタイミングで代理店さんに入ってもらうというパターンも多々あります。自社のみで広告運用の体制づくりが難しい企業の場合は、その方が運用成果を出しやすいのだと思います。

荒波:そうですね。自社で運用している企業の中では、ノウハウがなく成果が出ないという企業も多いと思います。ソウルドアウトが支援していくことで、長く取引をして効果を実感してもらう、そういった取り組みをヤフーさんと一緒にしていきたいです。

福山:ぜひお願いします。デジタル広告市場の動きというと、この数年間でSNSの台頭によってマーケティングの選択肢が広がったことも大きな変化の一つですね。企業はSNSを使うことで、簡単にマーケティングを実践できるようになりました。

荒波:たしかに、以前のデジタル広告の手法だと、Yahoo! JAPANやGoogleの検索広告が第一でした。今は、広告の前にSNSからやってみる、といった企業もありますよね。

福山:例えば、レストランで集客しようとするとき、SNSから始めるほうがハードルが低いと思います。企業にとって、デジタルマーケティングの選択肢が増えましたね。SNSの利活用が一気に進み、なんらかの形でデジタルを使おうというマインドが醸成されていることも感じます。

荒波:デジタル化が進んではいるものの、地方にいくとまだまだチラシなど紙媒体の力が絶大で、デジタルにスイッチしたいけれど、できずに悩んでいるお客さまが増えている気がします。チラシをデジタルで代替するのではなく併用して、チラシの良さを再発見できるソリューションがあれば、マーケットが広がる気もしますね。

福山:たしかに、消費者はオンラインとオフラインの便利な方を選んで使っています。例えば私も買い物の際、ECで買うものもあれば、店舗で買うものもあります。オンライン・オフラインをわけずに、「マーケティング」としてトータルで手段を考えていくことが必要そうです。

ヤフーが力を入れるデータを活用したソリューション

データを使うことで事業の成功確度が高まる

荒波:ヤフーさんは今、データを活用したソリューションの開発や提供に力を入れていると思います。それはどうしてでしょうか?

岡村:SMB市場に限ったことではないのですが、データに基づいて意思決定をすることで、事業の成功確度が高まるからです。企業が事業を推進していくとき、PDCAを回していく必要があります。データを起点にした提案で企業の課題解決に繋がることに、私たちは手応えを感じています。

福山:データを使ってPDCAを早く回せるようになれば、事業の成功確度は高まります。マーケティングが高度化し複雑化している世の中では、データを使うことが一つの重要な選択肢になるのは間違いないですね。

また、デジタル広告では、「3rd party Cookie」への依存から脱却するために、お客さま自らがデータをマーケティングに活用することで、デジタルの広告効果がさらに最大化していきます。データがもつパワーはとても大きいですし、そのような未来が目の前まで来ていると思います。

15種類のDMSソリューションを無償で提供

荒波:では、データを活用して、ヤフーさんはどういったソリューションを提供しているのでしょうか?

岡村DMS(データマーケティングソリューション)という、私たちがもつ数多くのサービスにおける膨大な行動データに基づいて、15種類のソリューションを提供しています。

荒波:具体的にはどのようなソリューションがありますか?

岡村:例えば「ポテンシャルキーワード」では、アカウントのデータを機会学習のモデルに組み込むことで、まだ配信していないけれどコンバージョン(獲得)に繋がる可能性の高いキーワードを提案します。SMB領域では、検索広告が中心のお客さまが多いので、よく利用されていますね。

荒波:15種類ものソリューションがあるんですね。DMSはいつから提供を開始しているのでしょうか?

福山:2年前にスタートして、2021年から本格的に力を入れ始めました。データは、お客さまに気づきをもたらし、新しいプランニングに採用されているケースが多数出てきています。

私たちのもつデータの恩恵を、企業規模に関わらず日本、全国すべての事業者に届けていきたい。そういった思いから、これら15種類はすべて無料で提供しています。

そして、データに必要なのは、種類、ボリューム、鮮度です。Zホールディングスが提供するデータはこれらを兼ね備えており、マーケティング課題を解決する新しい武器になると考えています。

荒波:素晴らしいですね。最近社内で、「3rd party Cookie」の規制が厳しくなり、リターゲティングができなくなってしまう、ターゲティングの精度が落ちてしまう、といった話を聞きます。その対策としてはどのソリューションを使うといいのでしょうか?

岡村:代表的なのは「リタゲ代替ターゲティング」です。また、SMB領域では「最適セグメント」や「TD最適化」などもよく利用されています。

「リタゲ代替ターゲティング」では、名前のとおり、サイトリターゲティングの代替・補完ができます。Yahoo! JAPANドメインのページから自社サイトに流入したユーザーや、自社の広告をクリックしたユーザーをターゲティングしたり、過去の行動データの分析から特定の行動をする可能性の高いユーザーを抽出してターゲティングしたりします。

「最適セグメント」では、リターゲティングとは別の軸でコンバージョンの拡大を目指せます。これまでコンバージョンやクリックに繋がっていたユーザーの特徴をデータをもとに分析し、ディスプレイ広告のターゲティングに活用します。

「TD最適化」では、検索広告で、獲得効率の良いキーワードを予測できます。検索広告のデータをもとに、CTR(クリック率)やCVR(獲得率)とともにおすすめのキーワードやフレーズを抽出します。

DMSソリューションのポイントはストーリー化して使うこと

荒波:これらDMSのソリューションを中小企業が活用しようとするとき、何がポイントになりますか?

岡村:2点あると考えています。まず15のソリュ―ションを単発ではなく、複数をストーリー化させて使うことが重要です。もう一つは、SMB領域においては業種カテゴリよりも事業フェーズごとの課題によりアプローチを変えることです。

例えば、年に一度だけ特需がある季節商材を扱う企業の例です。それまで繁忙期での獲得目的のみの広告出稿でしたが、新規顧客の伸び悩みという課題に対して、第一想起」と「新規来訪ユーザー分析」のDMSを活用し、新規率の低さとサービス認知率の低さの相関がみえてきました。

そこで、繁忙期前の閑散期から広告出稿をすることでサービス認知アップ施策を図り、「最適セグメント」の活用などにより繁忙期のパフォーマンス最大化を実現する作戦を立て、結果、満足のいく成果を得られました。

どのような課題があり、どのDMSのソリューションを使えばいいのかなど、課題ごとに切り分けて「ストーリー」として型化しており、現在二十数種類あります。

Cookieレス時代に向けた広告配信手法と「データを利活用する仕組み」

荒波:お客さまの課題に応じて、DMSのソリューションをカスタマイズして使うことが肝になるんですね。

福山:また、データを利活用する仕組みの中では、ヤフーの所有する属性データや行動データを利用し、たとえば競合他社のサイトへ来訪したユーザーに対してターゲティングするなど、Cookieに頼らないターゲティングも可能です。

荒波:ソウルドアウトの社員からは、特定サイトへの来訪ユーザーを集計し類似の商品・サービスを検討しているユーザーをターゲティング配信できる点が、お客さまに喜んでいただけていると聞いています。そういったターゲティング配信の導入は現在およそ60社で進めており、今後さらに加速させていきたいです。

ともにマーケットを切り拓いていきたい

外部環境の変化の波を捉えてSMB市場を切り拓く

荒波:それでは最後に、今後ソウルドアウトと一緒に挑戦していきたいことを教えてください。

岡村:世の中には、広くは知られていないけれど、いいものがたくさんあります。私も一人の生活者として、価値のある魅力的な商品・サービスに出会えることに幸せを感じます。既に成長段階にあるマーケットをどう伸ばしていくかを考えることも大事ですが、まだ知られていないものを広く届けていき、生活者の選択肢を広げる役割を担っていきたいです。

荒波:ソウルドアウトの想いとも重なるところがありそうですね。ぜひ一緒にやっていきましょう。

岡村:ありがとうございます。それと現況として、マーケットは急激に変化していると感じています。感染症の拡大や不安定な為替相場、世界各国で起こる争いごとなど、社会の不確実性が高まっていることの影響も受けていると思いますが、このように変わろうとしているタイミングでは、新しい事業の「芽」が出てきます。そういった芽を見逃さないようにしたいです。

また、冒頭にも述べましたが、企業のDXが加速していること、勢いのある企業が新しいサービスを展開していること、こういった変化が今まさにSMB市場で起きています。本当にポテンシャルしかないと感じています。ヤフーとしては、しっかりと支援体制をつくり、ソウルドアウトさんと一緒にマーケットを切り拓いていきたいです。

デジタルの価値を届けていきたい

荒波:本当にそうですよね。SMB市場へのIT投資が進んでいることをよく耳にします。

私がソウルドアウトに来てから、改めてヤフーさんの信頼の厚さを感じていますし、SMB市場の開拓においては、ぜひともお力を貸していただきたいです。

福山さんはいかがでしょうか?

福山:改めて、デジタルの可能性を知っていただく機会を多くつくっていきたいです。今は皆さん事業変革に関してアンテナを張っていると思うんです。だからこそ、オンライン・オフライン問わず伝えられる機会をつくりたい。テレビ会議が普及してきたとはいっても、顔を突き合わせて話さなければ伝わらない人も多いと思います。ヤフーはまだまだ拠点が少ないので、ソウルドアウトさんの拠点の皆さんと連携させてください。

荒波:ありがとうございます。コロナの感染も落ち着き経済も戻り始めているので、対面でのイベントやセミナーを共催で行なっていきたいですね。

ソウルドアウトは4月から博報堂DYグループに入りました。潜在的なお客さまの層が一気に広がったことを感じています。今が力の入れどき。地方では、デジタルに手を付けられていない企業がまだまだいらっしゃるので、ヤフーさんと博報堂DYグループの皆さんと協力して一気に進めていきたいです。


*後編はこちら

【執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】

*そのほかのインタビューはこちらのマガジンをご覧ください!

次回作もお楽しみに!

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