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味覚会議


甘味「えー、それでは第5回味覚会議を始める。今日の議題は旨味の役割についてだ。それでは旨味君」
旨味「はい。えー、私旨味ですが、皆様と比べて味覚としての認知をされていないように思います。そこで、これぞ旨味、と言った食べ物を定義して、旨味の魅力をしっかり伝えていきたいのですが」
酸味「前に何度も言ったと思うんだけど、そんな食べ物ないって!」
塩味「そうだぞ。厳しいことを言うようだが、旨味というのは我々を引き立たせるのが1番の役割。何を出しゃばった事を」
旨味「しかし、味覚の五大要素として我々が定義されている以上、同列として私にも主張する権利はあるはずだ!」
甘味「今まで、陰の立役者として旨味君は私達のサポートをしてくれた。だからこそ、どうだろうみんな考えてみないか?」
苦味「考えてはいるんだけど無いよね」
塩味「食べ物を定義する必要はないのでは?君のミリョクはふんわりとした風味だろ」
旨味「塩味!君は良いよな!塩と言う君そのものを表す調味料が存在するんだから!僕なんか、グルメレポーターがコメントに困った時に使われる位で、実際どんな味なのか伝わらないんだぞ!」
酸味「食材の旨味だろ?君は多様性があるという意味でそれで良いじゃないか!前も言ったぞ!」
旨味「だからこそハッキリしないんです。旨味が食べたい、と思った時食べる物って何ですか?」
苦味「うう…それは…」
甘味「まぁまぁ、前向きに進めようじゃないか」
塩味「これから引き出して行こうぜ、旨味だけに」

甘味は終始甘やかしていた。
酸味は口酸っぱく何度も同じ事を言った。
塩味は塩っぱい事を言っていた。
苦味は苦虫を噛み潰したように悩んでいた。
旨味はやはり、みんなの意見を引き出していた。

#おいしいはたのしい

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