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モロッコで知るタジン鍋の底力

数年前、モロッコスタイルのタジン鍋やタジン料理のブームがあったのは今となっては懐かしい話。ほぼ無水で野菜の蒸し料理ができたり、見た目にもお洒落なタジン鍋は当時、画期的で流行に敏感な方は購入した人も多いと思いますが、今やかさ張る重い鍋としてキッチンの片隅に眠っているのではないでしょうか。

そんなタジン鍋で作る”タジン”料理は、モロッコに近いフランスでは人気も高く、最近では健康ブームによる影響で、ニューヨークの意識高い系の人々にもタジンの人気が高まっているという。タジンは蒸し料理が基本なので、素材本来の美味しさを味わえる、またスパイスとの組み合わせによって無限に楽しめる料理なのだ。

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タジンはモロッコの砂漠で暮らす民族ベルベル人が、水を極力使わない調理法として生み出されたもの。じっくりコトコトと時間をかけて調理されるタジンは、素材の味を最大限に引き出されている。また味付けも、クミン、ジンジャーパウダー、ウコン、ターメリック、パプリカなどのスパイスや、そして豊富にあるパセリやパクチーなどのを加えられていて、さっぱりといただけるのだ。タジンには、チキン、魚、牛肉、ラムといったメインの素材もよく煮込まれていて、それらにはデーツやプルーンなども一緒に煮込まれ、肉汁、野菜、スパイスが混じり合ってなんとも言えない風味を味わうことができる。

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現地では、この大きなタジン鍋を囲み、ホブス(丸くて平たい)などのパンをしみ出した旨味爆発の汁につけたり、具材をのっけて食べられている。タジン鍋は日本の土鍋と作りも似ているし、みんなで鍋を突っつくスタイルも日本の鍋に似ている。ただ、毎日食べても飽きない感覚は、日本でいうお味噌汁的存在だと感じた。

日本でも土鍋でご飯を炊いたりするけれど、土鍋を毎日使うのは結構手間もかかる。実際にモロッコのキッチンでも、圧力鍋で時短で調理して、レストランで出す時は、それをタジン鍋に入れて提供するといったこともあるようだ。タジン鍋はやっぱり、あの背の高い三角の蓋がなくっちゃね。開けた時のワオーっていう演出も美味しさの一つなのだから。

モロッコを旅して毎日、多い時には1日3食タジンを食べた。最初は幾ら何でも飽きてくるのではと思ったのに、全く飽きが来ないのだ。それはこの食材とスパイスの無限の組み合わせだと感じている。野菜もたくさん摂取できるので体調も壊すことなく帰国することができた。海外に行くと、和食派の私は大抵、和食が恋しくなるのに、モロッコでは全くそれがなく、むしろ帰国してからタジンロスになってしまったくらいだ。

日本では残念ながら、モロッコ料理を食べられる場所がまだまだ少ない。最近では中東料理が人気が出てきていたり、スパイス使いが注目されているので、また”タジン”がブームにならないかと密かに願っている。

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