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一般精神科病院で精神科医・児童精神科医として働いています。小学生と中学生の2児の母でも…

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一般精神科病院で精神科医・児童精神科医として働いています。小学生と中学生の2児の母でもあります。日々思う事や考える事等を、母親と精神科医という立場から綴っていきます。

最近の記事

頑張り方がわからない

娘は中学受験をします。難関校を志望しているのですが、小6の4月の段階では全く成績が届いていませんでした。塾の宿題はちゃんとやっているのに成績は上がらない。日々YouTubeをみてゲラゲラ笑っている。頑張れないのかな、無理なのかな、とあきらめていましたが、紆余曲折あって塾はやめて夫が勉強を見ることになりました。完全オーダーメイド。かなりの勉強量ですが、意外にも娘は嫌とは言わずにくらいついていく。すると成績がぐんぐん伸びて、小6の7月には難関校を目指せるレベルになりました。頑張れ

    • “いるのね”と見守ってほしい

      「僕らの時代」が好きでよく見ます。 先日、加賀まりこさんが出演されていました。 年老いた母と自閉症の息子が自立への道を模索する「梅切らぬバカ」という映画の番宣で出演されていたのですが、加賀まりこさんご自身も、事実婚された方との間に自閉症のお子さんがおられるとのことでした。 加賀まりこさんによると、そのお子さんと一緒に道を歩いていると、周囲の方々は様々な反応をされるようです。暖かい視線を向ける方もおられれば、怖がられる方まで。それに対しては"仕方がない"とおっしゃっていました。

      • 原田マハさんの『生きる僕ら』

        昨日、原田マハさんの「生きる僕ら」を読み終えました。 2回目だったのですが、それでも涙が止まりませんでした。 なぜそんなに涙が出たのか、うまく言葉で表せませんが、たくさんの想いがあって、それが体に浸透してきて涙が出る感じ。  「生きる僕ら」では、引きこもりになった青年が“自然の田んぼ”で稲作をする中でいろんな人と出会い、いろんな経験をして成長していく物語なのですが、その“自然の田んぼ”の稲作法が、子育てとリンクする。 土の中の虫や微生物達に土を柔らかくしてもらうために土は

        • “親”という字に立ち返ろう

          外来に来ている高校生の女の子。 色々な困り事の中に、ご両親から“お風呂になかなか入ろうとしないから、その事でしょっちゅう喧嘩になる”というものがありました。 その子にまず必要な事は少しでもストレスを減らす事だったので “お風呂に入らなくても死にはしない。今大切なのは少しでもストレスを軽減させる事なので、入るか入らないかはお子さんに任せてください” と助言しました。 ご両親がそれを実行して下さったので、入浴に関する喧嘩はなくなりました。 それ以外にも地道に家族調整等を行い、2ヶ

        頑張り方がわからない

          “愛”とか“正義”

          中学2年生の息子が学校の先生の意見に異論を唱えていました。 国語の授業で“愛”と“正義”が話題となり、先生が「みんなが“愛”や“正義”を持っていたら戦争なんて起きない」と言ったそうです。先生から意見を求められて息子は発言したそうですが、うまく説明できず、伝わらなかったとのこと。 息子の意見は「“愛”とか“正義”があるからこそ、戦争が起きるんじゃないのか」 “愛”があるから守りたくて、“正義”があるから突き通したい。 “愛”とか“正義”がなく、みんなが無関心だったら、それは

          “愛”とか“正義”

          「弱者と強者」って?

          自民党総裁選に立候補する野田聖子氏が、「弱者のために!」と言っていました。 東京事変やペトロールズのギターを担当されている長岡亮介さんが、「正解は作らない。正解を作ると失敗ができてしまう。」と言っていました。 「弱者」があるということは「強者」があって、「正解」あるということは「失敗」がある。 「弱者のために!」と言っている野田聖子氏は「強者」なのでしょうか。仮にそうだとしても、その「強者」である野田氏にも人に助けてもらわなければ困る弱い部分が必ずあるはず。 片や、「

          「弱者と強者」って?

          息子のずる休み

          中学二年生の息子が、とても疲れて帰ってきました。学校で嫌なことがあったそうです。一通り出来事を話し終えたあと、「もう疲れたから明日休むわ。」と言いました。夫も私も、「いいんじゃない」と即了解しました。もともと、キツイ時はいつでも休んでいいと言っていたので。 翌日、息子は以前からやりたかった、統合3DCGソフトBlender(ブレンダー)で初級編の3DCG制作を行い、夕方にはとても元気になっていました。「明日からスッキリ学校に行けそう!」「我が家がキツイ時はいつでも休んでいい

          息子のずる休み

          休校とオンライン授業で変わった娘

          うちの娘は小学校4年生まで学校を楽しめる子ではありませんでした。 たまにズル休みしてたし、学校では本を読んでクラスメイトを寄せ付けない雰囲気を醸し出したり。“一人でいいもん。本の方が面白いもん”って言ってました。 4年生の2月、新型コロナウイルスがやってきて、3月から休校となり、5年生はオンライン授業で始まりました。オンライン授業だと人と接するハードルが下がるのか、本来の娘らしさが出せていて、ユニークな発言をしてクラスの笑いをとったりしていました。最初は「ずっと休みがいい」

          休校とオンライン授業で変わった娘

          疲れても休めない世の中

          今朝、栄養ドリンクのCMを観て、違和感を感じました。 仕事中や家事の最中に疲れて身が入らない、という大人が、栄養ドリンクを飲んだら元気が出て仕事や家事を頑張る、というよくあるタイプのCM。 疲れてて、心と体は休養を求めているのに、栄養ドリンクで鞭打ってまで働かなくちゃいけないのか、、、 そしてそれをとてもいいこと、当たり前のことのように表現したCM。 栄養ドリンクで鞭打って頑張るから結局疲労が回復せず、再び栄養ドリンクを飲んで頑張ってまた飲んで…こんなことやってるから鬱に

          疲れても休めない世の中

          子どもの葛藤

          子どもが何かに迷い悩んでいる時、親はつい、解決策を提案してしまいがちです。時にはそういう手助けも必要かもしれません。でも、こういった親の行動は、葛藤し苦しんでいる我が子を見ていられなくて生じる、親のための行動になっている事もあれば、効率よく物事を解決した方がいいという、親の価値観から生じる事もあります。 葛藤を親に解決してもらって育った子どもは、大人になったらどうなるでしょう。葛藤だらけの社会人生活を乗り越えていけるのでしょうか。 みんな、葛藤しながら、自分なりの落とし所

          子どもの葛藤

          親の背中を見て子は育つ

          先日、中学2年生の息子が言っていました。 「最近、ミクリ(小六の娘)がワーワーグズグズ言ってもお母さん達がギャーギャー言わなくなったからだいぶんいい。」 息子は、ミクリがワーワーグズグズすることより、それに反応して私たち両親がイライラして怒ることの方が嫌だったんですね。別にミクリが煩いのは大した問題ではなかった。 反省。 親が感情を揺さぶられるがまま混乱し、怒ったりキレたりすることが、どれだけ子ども達にとって怖くて嫌な事なのか、息子から教えられました。 見方を変える

          親の背中を見て子は育つ

          こどもとゲーム

          こどものゲームをどう判断していいのか悩む親御さんは多いですよね。 ゲーム依存になったらどうしよう、ゲームばかりしてやるべきことをやらずに落ちぶれていったらどうしよう、等と不安になるのが親心。 かくいう私も、以前はゲームはやらない方がいいものだと考えていました。 息子が小学校4年生までは、ゲームは休日1時間だけ、と決め、とても厳しく守らせていました。 金曜日になると息子が「明日は何時からゲームできる?」 土日も「今日は何時からゲームできる?」 と聞くので、強迫的にゲームをや

          こどもとゲーム

          世間の型にハマることの弊害

          中川翔子さんの『死ぬんじゃねーぞ!!いじめられている君はゼッタイ悪くない』を読みました。 いじめ、学校、先生、友達、親、生きることについて深く考えさせられる本でした。 いじめられている子だけでなく、世の中の学生や先生、親が読むべき本だと思います。 その中で 『つらいことから心を守るために毎日していたことが、未来の夢の種まきになっていました。』 という一文を読み、自分のことを振り返らずにはおれませんでした。 中川翔子さんは学生時代にいじめにあい、その辛さから心を守るために

          世間の型にハマることの弊害

          目的は提示しても、手段は任せるべきなのでは

          先日、中学2年生の息子が宿題に関して怒っていました。 “国語で漢字○百文字書いてくるように”という宿題が出たようで 息子「何で○百文字も書かなきゃいけないんだ。目的は漢字を書けるようになることでしょう?そんなの人それぞれ覚え方が違うのに、おかしいと思う。“覚えてくるように”って宿題を出してテストされるならわかる。」 ごもっとも。 私が小学生中学生の頃も、“○百文字書く”“△回ずつ書いてくる”という宿題はありました。宿題をきちんとしている生徒全員が漢字のテストで満点を取っ

          目的は提示しても、手段は任せるべきなのでは

          子どもは放っておけば勝手に育つ

          これまでの子育てを振り返りながら(まだまだ奮闘中ですが^^;) 「子どもは放っておけば勝手に育つ」って誰が言ったんだ! と思いました。 子育て歴14年、中々大変で、いかに親の関わりが子どもの成長に影響するのかを痛感すると伴に罪悪感と責任感を突きつけられた気がします。 だから、全然放っておくわけにはいかなかったし、放らずに向き合ったから何とか歯車が回るようになった気がするのです。 しかし、待てよ。 とはいえ、私達はこの14年間、子どもを放っていなかったじゃないか。 さっさ

          子どもは放っておけば勝手に育つ

          愛情表現

          数日前、娘のミクリ(仮名)がお風呂に入る時、何の気無しに「ミクリ、このバスタオル好きでしょ?」と洗い立てのそのバスタオルを渡したら、ミクリが何とも言えない、内からこぼれ出る笑顔を見せました。とてつもなく可愛い笑顔。 こども達にはよく「何がいい?」「どれがいい?」「どうしたい?」と聞くようにしています。 “あなたには選択肢があり自分で決める権利がある” ということと “母はあなたの気持ちを尊重したい” ということを伝えたいのと、 “選択する”という人生でとても大切な行動が取れ