“親”という字に立ち返ろう

外来に来ている高校生の女の子。
色々な困り事の中に、ご両親から“お風呂になかなか入ろうとしないから、その事でしょっちゅう喧嘩になる”というものがありました。
その子にまず必要な事は少しでもストレスを減らす事だったので
“お風呂に入らなくても死にはしない。今大切なのは少しでもストレスを軽減させる事なので、入るか入らないかはお子さんに任せてください”
と助言しました。
ご両親がそれを実行して下さったので、入浴に関する喧嘩はなくなりました。
それ以外にも地道に家族調整等を行い、2ヶ月程経過した頃、女の子の方から
「爪を磨いていて、いつの間にか時間が経っていて驚く事がある。やめなくちゃ、と思ってもやめられない。それでお風呂に入る時間が遅くなってきついから、どうにかしたいです。」
と相談してきたのです。

ご両親と喧嘩をしている時は、入浴時間が遅くなる事は自分の問題ではなく、ご両親の問題だったのですが、ご両親が口出ししなくなって任される事で、自分の問題となり、解決したい、という前向きな思いが生じたのでした。

両親の都合や価値観を押し付けることを辞めて、色んなことを任せることで、子供はちゃんと自分の問題と向き合って解決しようとするもんなんだな、と実感した出来事でした。

“親”という字はよくできています。
木の上に立って見守る。
木の上に立ってたらすぐには手出しできないけど、上で見守っているから、いざという時には下に降りて手を差し伸べる事はできる。
つまり、そうしろって事ですよね。すぐに手を出したり口だししたりするんじゃなくて、まずは見守れ、と。
親こそ忍耐が必要ですね。

#児童精神科医 #母 #子育て #親 #見守る #任せる #忍耐

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?