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20240820「黒の圏域」

黒い壁を
何層にも重ね
微細な差異で
光の反射を得る
同じような区切りであっても
違う意味合いを与え
その時々の材質の効果で
わたしを落として
再度拾うのだろう
気づけないくらいに駄目だが
その罠を掻い潜り
目醒めきれないくらいには
薄目を遠くへと置いている
触れる肌の暖かさはないが
疾うに遅れて来るのは
あなたの声の響き
現前性の空気を放つ

成立しない意味までも
心なしか
危ういとしても
未だ大丈夫
崩壊の亀裂は
更に増えるのは確か
進捗の蟠りを投げつけ
跳ね返るのは自分への投擲
越えられないラインを
とぼとぼと拾いながら
また躓くのだが
その困難さえ
わたしを強くするのだろう
時に振り向き
わずかな螺子を斬り
微かな発条を圧縮している
圏域の充満で濃度を増す

一旦閉じても
また開けたらいい
力弱くそっと
恐る恐るだが
触れた感触の透明さで
気づかないうちに呼吸している
時に弱く
そして強く
漆黒の狭間に潜り
息継ぎを躊躇わず
泳法を身につける
溺れないくらいに
水を飲み込みながら
満ち引きの波間を
揺蕩っておこう
仰向きに脱力して
星が出るのを待っている

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