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20231229「降り積もる、透明な手紙」

透明な手紙を
幾つも貰って
増え過ぎないそれを
ずっと持っている
積み重なって
合わさって
適当に選んでも
当たりが出てしまう
口についたものが
意味があってもなくても
音で何かを示し
示すように声を上げる
ただ真似ただけでも
その奥の方では
見えない形として
残っている
似せた違う音を聴き
ことばを発し
読むことさえできるようになる

いつかそれが破られるように
重ねられたそれらは
蓄えられつつ破棄されるだろう
要らないものは忘れて
要るものならば残しているだろう
似たような文言
背景を抱えて
広大な現象のひとつだけを
汲み取ろうと
そのひとことを探している
どれもが当てはまらないのは
一個一個が全て違うのだから
仕方ない
わたしのように
あなたのように
それぞれがそれぞれで
抱えているそれを
皆が分け与えて
わたしたちになるのだろう

破れないそれを反故にして
あるいは残ってしまうものが
あなたのこと
できることなら紡ぎ
編み出された関係を
そこここに宿し
薄っすらした地上に
張り付く物ごと
抽象した嘘までも
そこに居てもいいと
誰かが言う
わたしの本当も
きっと違っても
あなたはそれを
笑ってるだろう
降って来る雪までも
染み込んで
身体のどこかで
醸成される封筒を抱えている

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