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20240109「走る椅子」

椅子を持って
とぼとぼ歩く
すれ違う人たちは
訝しげに見て来るが
それにももう慣れた
どこに行こうと勝手だから
行きたい方へと進む
いろんな人たちと進み
反対方向へと進む人も多い
斜めに来る時もあるから
足が引っかかって
転げそうになるが
椅子があるから
そうそう倒れはしない
そして感じがいい景色があれば
そこに座って
コーヒーをも飲む
昨日作ったお菓子もいただき
少しほっとする

疲れたら休んでいい
そう納得させて
変な所であっても
椅子に座り
それを眺める
誰もがじろじろ見るが
わたしもこっちから見つめている
邪魔かもしれないが
疲れてしまったのなら
そうして
誰彼の視線が交錯しつつ
交わらない会話の目視
言いたげでありつつ
無言の空間に足音が響き
何かを考えつつ感じている
四つ足の三本足の一本足
支えきれない荷重の思いは
それぞれが抱えていて
交差点でランプが点滅している

わたしはここに居て
あなたは去って行く
どこに行っても構わないのなら
帰ることもなく
旅を続ければいい
練習した往来を持って
良さげな一区画を占有して
わたしたちは存在している
誰もここには同時に居られないが
抱えた誰かを背にして
火急の訓練
その実本番に出くわせば
勝手に身体が動くように
願いを募らせ奔走する
ずいぶんと椅子で休んだから
元気な分だけ働けるだろう
誰かが必要で
誰もがその出番を待っている
いやもう既に抱えて走ってる
走っている

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