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20240906「記憶のささやき」

暗闇を手探りして
ぺたぺたと跡を付けて
その造形を象っている
黒さの中で見えないまでも
その感触で
わたしを拵える
内部のことは知り得ないが
皮膚を通し
感覚の先へと
わたしを移す
囲まれた多項目の面を撫でて
その稜線をなぞる
どれもがなだらかではないし
誰もが皆、是と言うこともない
動作の連結をもって
その接続を続けている
応答は途切れ途切れだとしても

返って姿形を見えなくなっても
別の感覚を誂え
錯覚の調査に出している
わたしを切り離し
どこへでも遠退いて
それでもまた戻って来るのなら
その潜伏や報酬を抱えて
わたしを肥やし
不必要なものはもう、さよなら
たぶん忘れたのだとして
面影の淡いを垂らし
ごつごつのがつがつの
環境面を更に浚う
柔らかな切先で
殺めるのはいつものこと
方々を探し
食物連鎖の過程を轟かす

咆哮に似た空洞を鳴らし
声なき声さえ
遠く深く沈む
一点さえあればいいのに
思念のなだらかさで
再度生き延びることを願う
誰彼のその眼差しの交差
すれ違う行き先のずれ
何を着てもいいはずだが
何も着ていないようなもの
沈潜の微睡みの中で
別の夢を見ている
怖かった時
楽しかった時
もう憶えていない記憶のささやき
転がっては暫し膝を抱え
またその先へと進む

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