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20240121「雨の中を走る」

雨の中を走るのは
何がそうさせ
何を動かすのだろう
冷たいだろうに
それでいて
身体は熱を帯びる
流れる風景を置いて
その角を曲がる
似たような街並み
別の道を選べば
その日常を落とし
少しだけ速度を緩める
時間をかけて
ロスの無いように
それでいて
別の感覚を乗じて
右と左を交差させ
雨垂れの線を
皆が受ける

潰れた欠片を
もう一度踏み倒し
地面は硬さを強化させるのか
あるいは微塵に砕いているのか
少しずつ洗い流し
養分を含ませ
下へ下へと下る
へのへのもへじの文字遊戯
崩れた顔も
何だかわたしみたいだけれど
冷たい雨なのだからと
強張ってしまう
放散の熱を蓄え
いざや歩幅を延ばす
遠心までの距離を測り
コンパスはその先を指し示す
曲がった針を再鍛造して
足取りの練磨
空白の不在

そうでないことも
抱えていることも
鼓動を滾らせ
どこへでも行けるのだと
そう思い込ませている
走れば遠く
歩けばそのまた先へ
その道を進み
偶さか途切れていても
何度でも往来するのなら
それはまた強度を得られるだろう
わたしだけでは渡れないから
方々を誘って
見知らぬ景色を見に行こう
泥濘で遅くなっても
日差しが与えられるのなら
ほんの少しは確かさを得られる
また次も雨だとしても
いつものように靴紐を結ぶ

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