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20231121「ひとりの文集」

心音を響かせ
間々に巡らせて
静かに呼吸する
うまい訳でもなく
それなしでは生きられない
止めようにも止まらないし
そうしていつものように
忘れている
いつからかの
いつかのことを案じつつ
交々の交換をしている
呼ばれたの
呼ばれなかったの
最新のわたしたちは
既に遅れつつ
周回を追い越し
或いは周回に追いつけない
離れつつ近くなるから
秒針の隙間に意味を与えている

いつのことか
気づくのだろうか
知らされない暗示と
見出せない明示をも
交互に吐き出し
たわいもない小さな出来事を口にする
そんなこともあったの
こんなこともあったけれど
どうでもいいようで
憶えている物ごとの些細な感傷さえ
わたしごととして
あなたに話そう
挿話のあれこれを引き出して
紡がれるひととき
へーほーそーと相槌して
叩かれる楔の増し締め
そしてほんとに些細なこと
物語の頁に記されたのなら
もう一度読み返してみよう

どれもが零れるけれど
耳にした声の気持ち
乗せて空気を震わせ
短文を集め
ひとりの文集を書いている
思い出せるのなら
時々は開こう
手を合わせたり
声に出して唄ったり
擬えた物真似でもいい
呼んだのなら
それを言葉にして送ろう
届かない何ものかまで
遠く近くへ
わたしのどこかに仕舞ってあって
あなたのそれにも既にあるもの
お互いの含みの違いで
奏でられるのは
わたしたちの輪唱の連続でもある

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