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20240122「墨黒のことば」

墨黒のことばを
レ点で返し
再起する勢いで
食み出てしまい
そのままでいいとして
薄衣に写す
拡大されたそれらは
疎らになるが
その隙間があるから
余地に上乗せし
所々を塞ぐ
和紙の縦横さで絡まり
その奥の留まりを持って
事象を保持する
漆を添付し
裏返る透け感で
コピーされた
余白を以て
軸を示す

もしくは
抽象の組み合わせで
櫓を組み
幕を張る
少しぐらいの雨ならば
凌げるだろう
小さな陣地でも
風に吹き飛ばされるかもしれない
揺れるランプを目に焼き付けて
その延焼した火傷を
墨になるまで暖をとる
何度も書いては
その道に記される暗号と矜恃
それでいて不甲斐なく夜に泣く
どれだけのそれらを集めたら
願いは叶うのだろうか
崩れたレンガを片付け
炉を組んで
そこに灯火を得る

吊り下がった傘が揺れ
楕円の円弧を暫し眺め
一旦落ち着くまで
その軌跡で行きつ戻りつ
百八の雨を揃える
塗された黒を斜めに書き写し
雨垂れの様子を
各々が問う
これしかできないとしても
数滴を絞り
柔らかに擦る
往復の途中
前後の後先
含んだ黒を背景として
再度現れる各々のことば
拾って紡ぎ膨大な呟きで
持ち切れないのに収斂を引く
軌跡を撫でて
余白に佇む

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