20240624「ガラスの枕」
ガラスの枕で
眠ったなら
北極や南極の夢を凍らせて
たぷんと溶けて
冷たさの中で
熱を冷まさせる
熱気を抜けて
誘われない会合を置いて来て
気球に乗って
反対側から反対側へ
縦断する
暑さを焦がし
水分を蒸発させて
凍土はいつかの時間を留め
知らせてないそれらを
また夢の中で浮上させる
ぐにゃりと溶けて
再生を繰り返し
粉々になった欠片を
ぐるぐる回す
どれもが透明な訳はない
くぐもった白さを得て
その厚みの分くらいは
濁ってもいい
見透かされた過ちさえ
指で弾いて
その音階を響かせる
どれもが獰猛
焼かれた皮膚に
汗が吹き出し
姿形を形容し
何某として現れる
視界を防ぎ
滑らかな視線で
もう一度眼を明ける
虹の段差を通り抜け
見えなかった意味さえ
豊穣へと促している
されど落として
罅割れて
更に砕けてしまうのは
きっとわたしのせいなのだろう
とりつく島もなく
揺られながら
そのさめざめしい
航海に浮かぶ
そして空気の不透明さには
水蒸気が煙っている
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