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#88「言葉の持つ力の大きさ、それはときに世界を変える」【読書感想】

「言葉の持つ力の大きさ、それはときに世界を変える」

僕は言葉の持つ力の大きさを信じています。
そんな中で、言葉の持つ力を強く感じる作品に出会えました。

それは、原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』です。



読んだきっかけ

僕は言葉に触れるのが好きで、言葉の持つ力を信じています。
あらすじを見て、そんな僕にピッタリな作品だと思い手に取りました。

このような方にオススメの本です

  • 言葉に触れるのが好き

  • 言葉の持つ力を感じられる作品を読みたい

  • あらすじにあるスピーチライターという仕事が気になった

  • 新たな挑戦をしたいが、その一歩を踏み切れず悩んでいる

あらすじ

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。

徳間書店より

感想

  • 1つ1つのスピーチの言葉に心が動かされ、まっすぐな気持ちにさせてくれた

  • 言葉が鋭利になっている今の時代だからこそ大切にしたい作品


「言葉の持つ力の大きさ、それはときに世界を変える」
それを強く実感できる作品でした。

場面ごとに出てくる1つ1つのスピーチの言葉には、伝えたいことが端的に伝わっていて、まるで血が通っているような感じさえします。心が動かされ、まっすぐな気持ちにさせてくれました。

スピーチライターという仕事を通じて、日常においても参考にしたいことがありました。
特に印象に残ったのが、話すより聞くことが大切であること、状況によって言葉をかけるタイミングを変えることです。

そして、冒頭にあるスピーチの極意、その十。
僕は読み終えるまで守れなかったな。


言葉は魔物でもあります。使い方次第で人を励ましも傷つけもする。
言葉が鋭利になっている今の時代だからこそ大切にしたい作品だと思いました。

そして、今年読んだ本の中でNo.1といえるフレーズに出会いました。
それが以下のフレーズです。

困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。

『本日は、お日柄もよく』

一瞬にして心を掴まれました。
自分自身が、誰かが困難に直面したとき、この言葉をかけてあげられるようになりたい。
この先もずっと胸に刻んでおきたいです。

また、新たな挑戦や何かを変えたいと思った時に、そっと背中を押してくれるような物語となっています。
そういった時もきっと、言葉が持つ力が発揮される瞬間なのでしょう。
人生の岐路に立たされたとき、読み返したいですね。

それにしても久美さん、かっこいい……

印象的なフレーズ

一枚一枚に、自分の思いを書きつける。とっておくもよし、日々眺めるのもよし。必要なくなれば、破っても燃やしてもいい。死ぬまでずっと、心にしまっておいてもいい。
でも、誰かの目に、耳に触れれば、なおいいだろう。誰かに伝えられれば、なおすばらしいだろう。思いを共有できることもあるかもしれない。心と心を、響き合わせることもできるかもしれない。

『本日は、お日柄もよく』

小さな世界、大きな世界があるだろう。私の世界なんて、微々たるものだ。けれど、世界に向かって語りかけることで、それぞれの世界が変わったのだ。

『本日は、お日柄もよく』

言葉っていうのは、魔物だ。人を傷つけも、励ましもする。本やネットを目で追うよりも、話せばなおのこと、生きた力をみなぎらせる。この魔物をどう操るか。それは、話す人次第なのだ。

『本日は、お日柄もよく』

「黙って聞く、という行為は、その人のことを決して否定せずに受け止める、ということなの。お年寄りになると話がくどくなったり、同じことを繰り返してしまったりするでしょう。話したくても、うとまれてしまうのね。何も求めているわけじゃない、ただ話したいだけなのにね」

『本日は、お日柄もよく』

安定した仕事で幸せになるのもいい。けれど、人を感動させ、幸せにする仕事に就けるのはもっといい、って。

『本日は、お日柄もよく』

困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。

どうだい?そんなに難しいことじゃないだろ?だって人間は、そういうふうにできているんだ。
とまらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばかり向いているわけにもいかない。歩き出すために足があるんだよ。

『本日は、お日柄もよく』

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