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Dr.ムックの2分で学ぶ解剖学

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2023年1月の記事一覧

【肩甲挙筋・前鋸筋・菱形筋】肩甲骨内側縁につく筋シート

【肩甲挙筋・前鋸筋・菱形筋】肩甲骨内側縁につく筋シート

肩甲骨まわりの筋、「肩甲挙筋」「菱形筋」「前鋸筋」を見ていきます。

ヒトの身体の肩甲骨は上肢の近位部を形成しています。
これは下肢の近位部の骨盤、寛骨と比較してみますと、その違いは明瞭です。

寛骨、骨盤に関しては、背骨である仙骨と関節し固定されています。

一方で、肩関節を形成する肩甲骨は背骨とはくっついていないんですね。
自由なんです。
これが人の上肢の自由な運動を可能にしている要因の一つで

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【冠状血管】心臓を栄養!どこから出てどこへ行く?

【冠状血管】心臓を栄養!どこから出てどこへ行く?

心臓の冠状動脈・静脈の解剖について、基本的なところを解説してみます。

冠状血管(動脈・静脈)はこのように心臓の周りを取り巻いている血管ですね。

このように心臓の全周にわたって、その表面を取り巻いています。

まず冠状動脈、赤く描かれている方から見ていきます。
冠状動脈のポイントは、『どこから出ているか』。

冠状動脈は大動脈の基部から出ています。
左の冠状動脈と右の冠状動脈があります。

左の

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【咀嚼筋①】咬筋と側頭筋を体表から触れてみよ!

【咀嚼筋①】咬筋と側頭筋を体表から触れてみよ!

咀嚼筋の解剖について、解説してみます。

咀嚼筋は顎を動かす筋肉です。
いくつあるのか、どこにあるのか、ご存知でしょうか。

咀嚼筋は、体表から触れることができる筋が2つ、体表から触れられない筋が2つ、合計4つの筋からなります。
今回は、体表から触れることができる咬筋と側頭筋を見ていきたいと思います。

皆さん、ご自身の顎の付け根のあたりを触りながら歯をググッと噛みしめていただくと、ここの筋腹が動

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【腎臓の動脈と静脈】腎静脈には左右差がある!

【腎臓の動脈と静脈】腎静脈には左右差がある!

腎臓の動脈と静脈の解剖学的特徴を解説してみます。

腎臓は、腹部のかなり背中側に、左右両側にある臓器です。
この腎臓の血管はどこに出入りしているのか。

腎臓は、腹部大動脈から血液を受けます。
腹部大動脈の横から左右に腎動脈が出て、腎臓に入ります。

血管が腎臓に入るところは腎門といわれ、ほぼ一箇所にまとまっているんですね。
腎臓以外にも、肝臓や脾臓、肺など、このように血管の出入り場所が一箇所にま

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【肺の形】前から見えるのほぼ〇〇!

【肺の形】前から見えるのほぼ〇〇!

肺の形について、肺葉の解剖を中心に解説してみます。

肺は、胸郭の中に左右に1つずつ存在します。

胸膜によって作られる胸腔という空間の中に位置しており、臓側胸膜に包まれています。

上から降りてくる気管が左右の気管支に分かれ、その先に存在するのが肺です。
肺は、右肺は3葉に、左肺は2葉に分かれます。

簡単な左肺から見ていきますと、左肺は
上葉と下葉の2葉に分かれます。
注目していただきたいのは

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︎ 【大腿筋膜張筋】腸脛靱帯って何者!?

︎ 【大腿筋膜張筋】腸脛靱帯って何者!?

大腿筋膜張筋の解剖について解説してみます。

大腿筋膜張筋は大腿の外側に位置しています。
起始停止を見てみましょう。

大腿筋膜張筋は、腸骨稜の外側面から起始して、下行していき、腸脛靱帯に停止します。

停止は腸脛靱帯に付着しますので、大腿筋膜張筋は腸脛靱帯に働く筋ということになります。

そして、この腸脛靱帯は下行していき、脛骨の上部に付着します。
なので、大腿筋膜張筋は腸脛靱帯に働いて、伸展位

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【肝臓の形①】いろんな方向から見てみよう!

【肝臓の形①】いろんな方向から見てみよう!

肝臓の解剖について、基本的なところを解説してみます。

肝臓は右上腹部にあり、その上部の大部分を肋骨に囲まれています。
肝臓は肋骨の直下にある、というのが特徴の一つです。

では、肝臓とその周辺の臓器だけを取り出して見てみましょう。
まずは肝臓を正面から見たものです。
肝臓は、その上方を全体的に横隔膜に覆われています。
ドーム状の骨格筋の構造物である横隔膜に上面を覆われているわけです。

横隔膜を

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【心臓の弁の枚数】僧帽弁だけ2枚なのはなぜ?

【心臓の弁の枚数】僧帽弁だけ2枚なのはなぜ?

心臓の弁の解剖のうち、弁の枚数に着目して解説してみます。

まず、心臓の弁の位置を確認してみましょう。

心臓には4つの弁があります。

特徴的なのは、この4つの弁がほぼ同一平面状に配列しているということ。

こんな風に右心房と左心房を取り除くと、こんな感じで4つの弁が一平面上にほぼ配列しているのがわかります。

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【迷走神経】いったいどこまで行くの!?

【迷走神経】いったいどこまで行くの!?

迷走神経(脳神経10番)の解剖について解説してみます。

まず、脳の下の面を見てみます。
迷走神経は延髄の外側から起こります。

脳神経は、頭蓋骨の孔を通って、頭蓋の外に出て行きます。
では迷走神経はどこの孔を通るのか。

今度は頭蓋底を上から見てみます。
こちらが迷走神経。隣にある静脈は内頸静脈です。
このように、内頸静脈と一緒に、頸静脈孔という孔を通って、頭蓋の外に出ます。

また、ちょうどこ

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【腸腰筋】言わずと知れたインナーマッスル!

【腸腰筋】言わずと知れたインナーマッスル!

腸腰筋の解剖について解説してみます。
腸腰筋というのは、大腰筋、小腰筋、そして腸骨筋を合わせた名称になります。

まず大腰筋から見ていきたいと思います。
大腰筋は第12胸椎と腰椎から広く起始して、身体の深いところを通って、骨盤内を通り、鼠径靱帯の下をくぐって、大腿骨の小転子に停止します。

そして、大腰筋の表面を走っている小さな筋、小腰筋が見られることがあります。
小腰筋はおよそ6割の人は欠損しま

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【骨盤底筋の解剖】二足歩行動物の宿命!

【骨盤底筋の解剖】二足歩行動物の宿命!

骨盤底筋の解剖について解説してみます。

骨盤の下の方、骨盤の出口は、排泄や生殖のためのものの出入りを伴います。
例えば、便がお腹の中から骨盤の出口を通って出て行く。
そのために、骨の構造としては骨盤の出口には何もありません。
骨は無く、塞がっていないんですね。
なので、そこからものが出て行くことができるわけです。

しかし、二足歩行動物であるヒトの場合は、腹部臓器の重さなど、重力がすべてこの骨盤

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【鎖骨下静脈】中心静脈カテーテルと言えばココ!押さえるべきポイント3つ!

【鎖骨下静脈】中心静脈カテーテルと言えばココ!押さえるべきポイント3つ!

鎖骨下静脈は、臨床的には中心静脈カテーテル(CV)を留置するときによく用いられる静脈です。
中心静脈カテーテルを入れる観点から重要なポイントを3つ見ていきます。

ポイント①
『鎖骨下静脈は鎖骨に覆われる=鎖骨の下にある』
そのままですね。だから鎖骨下静脈。
なのでCVを入れる時はちょうど鎖骨の下にカテーテルを入れてくるような形になります。

ポイント②
『鎖骨下静脈は左右で走行が違う』
鎖骨下静

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【腹腔動脈の枝】原理原則を押さえよう!

【腹腔動脈の枝】原理原則を押さえよう!

上部消化管を栄養する腹腔動脈の枝は、いろんなところに向かってかなり複雑です。
「ちょっと複雑すぎてもう見たくないです(>_<)」
という方、分かります。
でも大丈夫。
原理原則さえ押さえれば、この枝分かれを理解することができるんです。

原理原則は、『右の終点肝臓、左の終点脾臓、遠回りが必要な胃、どこからでも行ける膵臓』です。
あとは基本的に近いところから枝が入っていきます。

では、見ていきまし

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【筋膜とは】超基本から専門知識までわかる10分間! 解剖学者が筋膜について解説してみた

【筋膜とは】超基本から専門知識までわかる10分間! 解剖学者が筋膜について解説してみた

筋膜について解説してみたいと思います。
筋膜とは、何か。

解剖学の教科書にある記載を見てみましょう。

『筋膜は器官やさまざまな構造物の間に存在する結合組織で、それらの構造物を支持するとともに、互いを隔てあるいは連結している。脂肪を含み器官などが動きやすくするとともに、血管や神経の通路にもなっている。』

ポイントは、筋膜がどこにあるかということ。
器官や様々な構造物の間を埋めているような場所に

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