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Dr.ムックの2分で学ぶ解剖学

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【椎骨の基本構造】前で支えて後ろで守る!

【椎骨の基本構造】前で支えて後ろで守る!

椎骨の基本構造を見ていきましょう。

人の体のまさに軸をつくっている脊柱。
これを構成するのが33個の椎骨です。
ここでは、第六胸椎を例にとって椎骨の基本構造を確認していきましょう。

椎骨をこうやって見てみると、前側と後ろ側で大きく形が異なっているのがわかると思います。
椎骨の基本構造、そのポイントは『前で支えて後ろで守る』です。

まず前側を見てみますが、この前側の部分というのは、こういうふう

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【十字靱帯】交叉するのはなぜ?

【十字靱帯】交叉するのはなぜ?

膝関節の十字靭帯(前十字靭帯と後十字靭帯)の解剖を解説します。

まずこちら膝関節で大腿骨を半透明して見ていきます。

こちらが前十字靭帯です。
前十字靭帯、上の方は大腿骨の課間窩の外側壁に付着しています。
下の方は脛骨の課間領域の前方に付着しています。

横から見てみますと、このように靱帯が張っているので、脛骨が前方の方にシフトしてしまう前方偏位を防ぐ働きがあります。
ここでしっかりと突っ張るわ

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【小殿筋と中殿筋】間に分け入り支配する神経は?

【小殿筋と中殿筋】間に分け入り支配する神経は?

小殿筋と中殿筋の解剖を解説してみます。
小殿筋と中殿筋は、殿部の比較的浅層にある筋です。

大殿筋を取り除くとその下に中殿筋、さらにその下に小殿筋を確認できます。
小殿筋も中殿筋も、形は扇形をしています。
それぞれ起始停止を見ていきましょう。

小殿筋は、腸骨の拡張した部分、腸骨翼の上外側面から起始します。
このように起始した小殿筋の筋線維は下外側方向へ収束し、大転子前外側面の幅広い線状の面に停止

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【肺間膜】呼吸運動にはゆとりが必要!?

【肺間膜】呼吸運動にはゆとりが必要!?

肺間膜の解剖について解説します。

肺の縦郭側を向いた内側の面、縦隔面といわれる面を見てみます。

ここに肺門がありますね。
そして、そこから胸膜のヒダが下方にのびています。
これを肺間膜といいます。

解剖学で『間膜』というと、上皮性の漿膜の二重膜のことを指します。
このヒダの部分では、胸膜が二重になっていますよね。
だから『肺間膜』。
このように、肺間膜は胸膜の垂れ下がりです。
例えるなら、着

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【固有背筋】これこそ真の(深の)背筋である!

【固有背筋】これこそ真の(深の)背筋である!

固有背筋の解剖について、その概要を解説してみます。

固有背筋は、その名の通り、背中の領域、背部に固有な筋たちです。
どういうことか。

実は、この辺りの背部の浅い層の筋というのは、本来背中の筋ではなくて、腕の筋、上肢の筋なんですね。

で、より深いところ、深部にあるこれらの筋こそが、背部オリジナルの筋、固有背筋なんです。
もともと上肢の筋である、例えば広背筋や菱形筋などが脊髄神経の前枝に支配され

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【胃の静脈】Henleの胃結腸静脈幹をご存知?

【胃の静脈】Henleの胃結腸静脈幹をご存知?

胃の静脈の解剖について、解説してみます。

まず大事なポイントの一つは、『胃の静脈はすべて門脈に還流する』ということですね。
胃の”動脈”が、小弯側と大弯側、そして右左で2×2の4本ありますが、”静脈”についても同じです。
小弯側、大弯側、右、左で4本あります。

まずは、右胃静脈から見てみましょう。
右胃静脈はこのように走って門脈に入ります。

今度は、左胃静脈を見てみましょう。
左胃静脈は、腹

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【肩甲挙筋・前鋸筋・菱形筋】肩甲骨内側縁につく筋シート

【肩甲挙筋・前鋸筋・菱形筋】肩甲骨内側縁につく筋シート

肩甲骨まわりの筋、「肩甲挙筋」「菱形筋」「前鋸筋」を見ていきます。

ヒトの身体の肩甲骨は上肢の近位部を形成しています。
これは下肢の近位部の骨盤、寛骨と比較してみますと、その違いは明瞭です。

寛骨、骨盤に関しては、背骨である仙骨と関節し固定されています。

一方で、肩関節を形成する肩甲骨は背骨とはくっついていないんですね。
自由なんです。
これが人の上肢の自由な運動を可能にしている要因の一つで

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【冠状血管】心臓を栄養!どこから出てどこへ行く?

【冠状血管】心臓を栄養!どこから出てどこへ行く?

心臓の冠状動脈・静脈の解剖について、基本的なところを解説してみます。

冠状血管(動脈・静脈)はこのように心臓の周りを取り巻いている血管ですね。

このように心臓の全周にわたって、その表面を取り巻いています。

まず冠状動脈、赤く描かれている方から見ていきます。
冠状動脈のポイントは、『どこから出ているか』。

冠状動脈は大動脈の基部から出ています。
左の冠状動脈と右の冠状動脈があります。

左の

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【咀嚼筋①】咬筋と側頭筋を体表から触れてみよ!

【咀嚼筋①】咬筋と側頭筋を体表から触れてみよ!

咀嚼筋の解剖について、解説してみます。

咀嚼筋は顎を動かす筋肉です。
いくつあるのか、どこにあるのか、ご存知でしょうか。

咀嚼筋は、体表から触れることができる筋が2つ、体表から触れられない筋が2つ、合計4つの筋からなります。
今回は、体表から触れることができる咬筋と側頭筋を見ていきたいと思います。

皆さん、ご自身の顎の付け根のあたりを触りながら歯をググッと噛みしめていただくと、ここの筋腹が動

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【腎臓の動脈と静脈】腎静脈には左右差がある!

【腎臓の動脈と静脈】腎静脈には左右差がある!

腎臓の動脈と静脈の解剖学的特徴を解説してみます。

腎臓は、腹部のかなり背中側に、左右両側にある臓器です。
この腎臓の血管はどこに出入りしているのか。

腎臓は、腹部大動脈から血液を受けます。
腹部大動脈の横から左右に腎動脈が出て、腎臓に入ります。

血管が腎臓に入るところは腎門といわれ、ほぼ一箇所にまとまっているんですね。
腎臓以外にも、肝臓や脾臓、肺など、このように血管の出入り場所が一箇所にま

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【肺の形】前から見えるのほぼ〇〇!

【肺の形】前から見えるのほぼ〇〇!

肺の形について、肺葉の解剖を中心に解説してみます。

肺は、胸郭の中に左右に1つずつ存在します。

胸膜によって作られる胸腔という空間の中に位置しており、臓側胸膜に包まれています。

上から降りてくる気管が左右の気管支に分かれ、その先に存在するのが肺です。
肺は、右肺は3葉に、左肺は2葉に分かれます。

簡単な左肺から見ていきますと、左肺は
上葉と下葉の2葉に分かれます。
注目していただきたいのは

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︎ 【大腿筋膜張筋】腸脛靱帯って何者!?

︎ 【大腿筋膜張筋】腸脛靱帯って何者!?

大腿筋膜張筋の解剖について解説してみます。

大腿筋膜張筋は大腿の外側に位置しています。
起始停止を見てみましょう。

大腿筋膜張筋は、腸骨稜の外側面から起始して、下行していき、腸脛靱帯に停止します。

停止は腸脛靱帯に付着しますので、大腿筋膜張筋は腸脛靱帯に働く筋ということになります。

そして、この腸脛靱帯は下行していき、脛骨の上部に付着します。
なので、大腿筋膜張筋は腸脛靱帯に働いて、伸展位

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【肝臓の形①】いろんな方向から見てみよう!

【肝臓の形①】いろんな方向から見てみよう!

肝臓の解剖について、基本的なところを解説してみます。

肝臓は右上腹部にあり、その上部の大部分を肋骨に囲まれています。
肝臓は肋骨の直下にある、というのが特徴の一つです。

では、肝臓とその周辺の臓器だけを取り出して見てみましょう。
まずは肝臓を正面から見たものです。
肝臓は、その上方を全体的に横隔膜に覆われています。
ドーム状の骨格筋の構造物である横隔膜に上面を覆われているわけです。

横隔膜を

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【心臓の弁の枚数】僧帽弁だけ2枚なのはなぜ?

【心臓の弁の枚数】僧帽弁だけ2枚なのはなぜ?

心臓の弁の解剖のうち、弁の枚数に着目して解説してみます。

まず、心臓の弁の位置を確認してみましょう。

心臓には4つの弁があります。

特徴的なのは、この4つの弁がほぼ同一平面状に配列しているということ。

こんな風に右心房と左心房を取り除くと、こんな感じで4つの弁が一平面上にほぼ配列しているのがわかります。

そして、その位置関係は、右側にあるのが三尖弁、左側にあるのが僧帽弁、そして大動脈弁が

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