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〈季節の短歌〉なみうつきもち 夏・札幌/石狩
春夏秋冬、それぞれ異なる街の風景を詠んだ連作短歌をお届けします。
季節と街に波打つ気持ちを、31音の響きに込めて。
(著者/人子一人)
「凪の灯台」収録短歌一覧
白楊樹(トーポリ)の綿毛に初夏の陽は注ぎ都会の庭に出づる白浜
水無月の翠(みどり)の海に浮いている黄色いブイのようなたんぽぽ
昼時のバスターミナルに腰掛けて浜行き便を待ってたあなた
潮風が葦原吹けば沿岸の風車もずらりぐるりと回る
釣り
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第7便「たとえ見えなくても、優しさは消えない」
第7便「たとえ見えなくても、優しさは消えない」2024年7月4日
村田奈穂さま
こんにちは。東海地方もようやく梅雨に入って、蒸し暑くなってきました。日頃通勤している名古屋は本当に暑くて、もういい加減にしてくれと思うほどです。この先まだ気温が上がると思うとうんざりします。
五十鈴川にかかる宇治橋のことを聞いて、久しぶりに伊勢神宮に行きたくなりました。まだ一度しか行ったことがありませんが、その時は
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第6便「見ること、ともに在ること」
第6便「見ること、ともに在ること」2024年6月15日
今枝孝之さま
こんにちは。あっという間に、夏ですね。
5月末から6月初旬にかけての季節が一番好きです。緑が最も美しく見える時期だと思います。海ではなくて川の話ですが、この季節に伊勢神宮内宮の参道にかかる宇治橋から五十鈴川を望む光景は最高です。静かで、落ち着いていて、明るい。この世界の一部であることが、うれしくなるような景色です。
5月に
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第5便「誰かに向き合うことが怖くても」
第5便「誰かに向き合うことが怖くても」2024年5月19日
村田奈穂さま
こんにちは。初夏の陽気どころか、夏日を観測する日が増えるほどになりました。なんだか日本の気候から春と秋がちょっとずつ消えていっているんじゃないかと、そんな気持ちにさえなってしまいます。
暑い時期と寒い時期しかなくて、その間をつなぐうるわしい季節がなくなっていってしまうと、あらゆるところで余白というものが消えていっている現
海辺の「野心」 … issue03刊行にあたって
おもいきり、自分らしい文学がしたい。
そのためには、僕の情緒をつくりあげた、海を舞台に雑誌をやりたい。
そんな思いがあって、この本をやっているのかな、と最近は考えています。
自分のこととはいえ、自分の考えていることの本質に迫るって、時間かかるしむずかしいですよね。
車に乗ってる時って、他のことできないからだいたい一緒に乗ってる人と喋ってますよね。海が見えてきたりしたら、「うわー海だね!」「ね!
〈季節の短歌〉なみうつきもち 春・キルギス/ウズベキスタン
春夏秋冬、それぞれ異なる街の風景を詠んだ連作短歌をお届けします。
季節と街に波打つ気持ちを、31音の響きに込めて。
(著者/人子一人)
「時空の十字路」収録短歌一覧
白波が山にぶつかるその麓 三月の雪、首都に残って
ビシュケクに海はなくてもスシはありペテルから飛ぶピンクサーモン
柘榴の実割れば魚卵(イクラ)のようであり聞けば多産のシンボルと言う
雪が降る海の向こうの同胞が故郷に建てた小さなモス
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第4便「わたしを見つめかえす『鏡』」
第4便「わたしを見つめかえす『鏡』」2024年4月8日
今枝孝之さま
こんにちは。春先はオセロをひっくり返すような気候の変化でしたね。
嵐が過ぎ去ったと思ったら、一気に春がやってきて、桜も満開になったのに気づかないまま散り始めました。
この書簡が発表されるころには、すでに初夏の気配も漂っているかもしれませんね。それほどにも、季節の進み方ははやくなっているような気がします。
前回のお便り、
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第3便「孤独さを海にうかべて」
第3便「孤独さを海にうかべて」2024年3月9日
村田奈穂さま
こんにちは。先日は素敵なお便りをありがとうございました。
第2便にして「もうこの企画、終わってもいいんじゃないか?」と思ってしまうくらい、完璧に、僕の胸の真ん中に矢が刺さるお手紙でした。
僕の中に答えはあったんだと。本を作る上での僕の思いが——つまるところ思想が弱く、自己中心的で何の役に立たないものなのではないかという悩みへの答
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第2便 「あなたの中にきっと答えはある」
第2便 あなたの中にきっと答えはある2024年2月10日
今枝さん、こんにちは。お便り、どうもありがとうございます。
だれかから手紙をいただくというのは、大変嬉しいことですね。
これから一年間、今枝さんからどのような言葉が聞けるのか、楽しみに待ちたいと思います。また、私からの言葉も、あなたにとってよき贈り物となるよう願います。
円頓寺商店街で行われたイベント「本のさんぽみち」でお会いしてから、
〈季節の短歌〉なみうつきもち 冬・荻窪
春夏秋冬、それぞれ異なる街の風景を詠んだ連作短歌をお届けします。
季節と街に波打つ気持ちを、31音の響きに込めて。
(責任編集・今枝)
「魚影」収録短歌一覧
正月の待合室のモニターにどこかの国の太陽と波
どこ生まれ歯医者育ちの熱帯魚 メンテに来てくれる水槽屋
ハリセンボンが今日も窮屈そうであるタウンセブンとルミネの隙間
漁も海も知らずに踊らされていたソーラン節をこの校庭で
煙の輪つくれば君が「シ
〈往復書簡〉私から、波を起こす 第1便 「社会と文学はつながるのか?」
愛知県常滑市を拠点に海の文芸誌『SLOW WAVES』を編集している今枝孝之と、三重県津市で書店・日々詩書肆室の室長を務める村田奈穂。
本を「作る」側と本を「届ける」側とで、本をめぐる思索の交流を、往復書簡の形で1年間行います。
常滑市と津市は、伊勢湾を隔てて(ほぼ)向かい合う街。おなじ海を間に挟む街は、言葉も風景も異なります。本をめぐる考えはどう異なり、どう重なり合っていくのか。伊勢湾に投げ込ま
スマホでも、波の音を持ち歩く。【statement】
2024年1月1日、ウェブマガジン「SLOW WAVES sailboat」をはじめます。
年2回の紙媒体に加えて、もっとたくさんの文章をお届けしたいと思うようになりました。
そして、ウェブの海に文章を流すことで、もっとたくさんの方の目にSLOW WAVESが触れる機会を作りたいという気持ちも、大きくなってきました。
note上で連載を行い、書籍に還元していく場所にします。
「遅い波」をうたい