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〈季節の短歌〉なみうつきもち 冬・荻窪

春夏秋冬、それぞれ異なる街の風景を詠んだ連作短歌をお届けします。
季節と街に波打つ気持ちを、31音の響きに込めて。
(責任編集・今枝)



写真:荻窪ユアボウルを見上げて

「魚影」収録短歌一覧
正月の待合室のモニターにどこかの国の太陽と波
どこ生まれ歯医者育ちの熱帯魚 メンテに来てくれる水槽屋
ハリセンボンが今日も窮屈そうであるタウンセブンとルミネの隙間
漁も海も知らずに踊らされていたソーラン節をこの校庭で
煙の輪つくれば君が「シロイルカ」と笑う暮れの邪宗門にて
午後10時 死んだ魚の目の人が半額の寿司買う西友の地下
風と共に去りぬ 小銭は投げ込まれ無人のレジに立つ波の音
終電がブルーライトに照らされて揺れる魚影はどこへ向かうの


著者:人子一人(ひとこ・ひとり)
2000年、東京都生まれ。日本経済新聞、毎日新聞歌壇などに掲載。連作に「新宿海底」(SLOW WAVES issue01)、「遠泳」(SLOW WAVES issue02)。


SLOW WAVES 海の文芸誌
https://lit.link/namiuchigiwapublishing


初回アップ日:2024年1月21日(日)
責任編集:今枝孝之


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