マガジンのカバー画像

日々のエッセイ

226
2019年から湖畔暮らし。自然、家族、ヤギ、トリ、仕事、そして考え事の日々。
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

限りあるものの味

限りあるものの味

クリスマスディナーは夫と近所のお寿司屋さんへ行った。歩いて5分。

田舎だから、うちから徒歩圏内に行ける場所がほとんどないなかで、なぜかお寿司屋さんが一軒あり重宝している。とは言え、お寿司はそんなにしょっちゅう食べる物でもないし、お祝い事や来客がある時にしか使わない。

築地で修行を積まれたという腕のいいご主人がお寿司を握ってくれて、いつもとても美味しい。シャリは上品なサイズで、ネタのチョイスも好

もっとみる
沈黙の美学

沈黙の美学

最近憧れの女性ができた。うちの飼いヤギ、アンディだ。

先日アンディがものすごく格好良くて、なんだか惚れ惚れしてしまった瞬間があった。それからというもの、アンディの美しさについて考えている。そして、これはヤギに限った美しさではなく、人間にも通用するのでは?と思っている。

何があったか簡単に状況を説明してみる。

***

それは冬晴れの日の夕方のことだった。エサに夢中になる双子のもう一匹をおいて

もっとみる
興味の変遷

興味の変遷

これまでの人生、興味のある事柄はその都度変化してきたと思う。

スピードはゆっくりだけど、間違いなく変化してきた。身を置く環境や関わる人に影響されて「面白い」「深掘りたい」と感じることは徐々に変わった。

アメリカで生まれて、海辺で育って、義務教育を受けて、大学に行って、会社員になって、結婚して、いま湖畔で暮らしている。文字で書いてしまえば、人生の概要なんてたった50文字で説明出来てしまうことに驚

もっとみる
体を変えて見えた虹

体を変えて見えた虹

自分の性格を変えたいとか、気持ちを強く持ちたいとか、そう感じたときに敢えて「体」からアプローチするのっていいのでは、と思う。

というのは、最近筋トレを始めて、自分自身でなんとなく変化を感じることがあるからだ。

私は「冬」という季節がとことん苦手。対して夫は冬が得意。こんな感じで人によって苦手な季節や環境はさまざまで、一年のなかでエンジンのかかる時とガス欠の時が、交互にやってくるものだと思う。

もっとみる
町での出会い

町での出会い

湖畔へ引越してきて、約1年ちょっと。私たち夫婦が暮らし始めた後に、新しくできたお店がちょこちょこ出てくるようになった。

最近では、自宅から車でたった10分のところにコインランドリーができた。

そこは普通のコインランドリーと違って、カフェが併設されている。管理人さんがランドリーを見回りつつ、ドリンクや軽食を提供する仕組みのよう。

都内では流行りの「ランドリーカフェ」というヤツらしい。夫はすぐに

もっとみる
秘密の時間

秘密の時間

「おはようー」

毎朝ヤギたちに声をかける。冬の間は陽が昇るのが遅いから、大体9時頃に挨拶しに行く。

夜の間に下痢はしていないか?吐いていないか?ちゃんと元気に朝を迎えているか?いつも心配な気持ちで彼らの小屋を訪問する。今のところ、元気がなかった日は一日もなくて、なんて健康な子たちなのだ!と感心している。

私なんてしょっちゅうお腹を下すのに……。おとといも激しく下してOS1のお世話になった。

もっとみる
希望制の冬眠

希望制の冬眠

遂にやってきてしまった、苦手な冬。

本音を言えば苦手どころじゃなく、苦痛。ほんとうに苦しいし、痛いし、非常に困る。気温が低いと体の中心がギュッと縮こまって、動きたくなくなる。厚着をしたり、暖房に頼っても、手先が冷たくてキンキンする。

夫は「暑いより寒い方が断然いいよね」と、秋口からどんどんやる気スイッチが入っていくそう。私は真逆。真夏が一年のなかで最もエネルギッシュだし、生きていて楽しい。冬の

もっとみる
土に触れて

土に触れて

最近はほぼ毎夕、ヤギの夜の食事のため、青草(雑草)を採ってあげている。

もう本格的に寒くなって、雑草も元気がなくなってきた。庭が茶色い。それでも少しは生えているところがあって、コンテナと一輪車を持ってその場所へ向かう。

ヤギは意外とセレブで、土が付着した葉は好まない。

なんでも土には、寄生虫や体に害のある微生物が付いていることが多いらしく、それを本能的に避けているのだとか。なんと賢い……と感

もっとみる