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【絵本】「にじいろのさかな」 マーカス・フィスター 谷川俊太郎 訳



「それなのに、にじうおは とても しあわせ。」



「にじいろのさかな」 マーカス・フィスター 谷川俊太郎 訳



とてもきれいな表紙の絵本。
とても深い深いお話。


「にじうお」
という主人公のお魚が住んでいる
海のように、とても深いお話なんです。


しかし


ふか~いお話だけに、賛否両論、
いろんな考え方があるようです。


あなたは、どうお感じになられるでしょうか?

         
          ◇


青く深い遠くの海に、ある1匹の魚が
住んでいました。


海中をさがしても、こんなに美しい魚は
いません。


その魚には、虹のような色とりどりの
うろこがありました。


中でも銀のうろこが、きらきらと
輝いていました。


虹のような色だったので、他の魚たちは、
彼を 「にじうお」 と呼びました。


「おいでよ、にじうお。いっしょに あそぼう!」


にじうおは返事もせずに、うろこをきらきらさせ
ながら、通り過ぎてしまいます。


ある日、青い魚が


「にじうお、まってよ!おねがいだから、
きみの その きらきらうろこを 1まい 
おくれよ。

すごく すてきなんだもの。 

それに、きみには そんなに たくさん あるんだもの。」


にじうおは青い魚に、こう言うのです。


「ぼくの この とくべつな うろこを くれだって?

いったい だれさまの つもりなんだ?」

にじうおは さけんだ。

「とっとと あっちへ いけ!」

びっくりして、あおい さかなは およぎきった。

どう して いいか わからず、
ともだち みんなに
そのはなしを して まわった。

それからは、だれひとり にじうおに 
かかりあおうとは しなく なった。

にじうおが くると、 みんな 
そっぽを むく。

めも くらむような きらきら
うろこも、だれにも ほめて 
もらえなければ、 なんの 
やくにたつのだろう?

にじうおは、うみじゅうで いちばん 
さびしい ひとりぼっちの さかなに 
なって しまった。


「なんのやくにたつのか?」


にじうおは、ひとり思い悩みます。


本当は「誰かの役にたちたい!」


だからかな?


にじうおは、ある日「ひとで」に悩みをうちあけます。


「ぼくは こんなに きれいなのに、 
どうして だれにも すきに なって 
もらえないんだ?」


ひとでは、「おれにはわからないけど、
深いほらあなにいる、たこのばあさん
ならきみを助けてくれるんじゃないか」

と言いました。


にじうおは、たこのばあさんの
ところにいきます。


たこのばあさんは、こう言います。


「きらきらうろこを 1まいずつ、
ほかの さかなに くれて やるのじゃ。

それで おまえは、 いちばん きれいな
さかなでは なくなるが、 どう すれば
しあわせに なれるかが わかるだろう。」


にじうおは、どうも理解できません。


突然


青い魚が、戻ってきました。


「にじうお、たのむから 
おこらないでね。
ちっちゃな うろこ 1まいだけで いいんだ。」


にじうおは、ためらいましたが、
1まいだけならいいかと思い、
青い魚に一番小さなうろこをあげました。


「ありがとう! ほんとに ありがとう!」


と言って青い魚は、はしゃいで自分の
うろこのあいだにくっつけます。


そのとき


にじうおは、不思議な気持ちにおそわれました。


そして


青いさかなが新しいうろこを、
きらきらさせて、海の中を
泳いでいるのを見つめていました。


他の魚たちも、にじうおを取り囲みました。


みんな、きらきらうろこをほしがりました。


にじうおは、みんなにうろこをあげました。


あげればあげるほど、にじうおは
うれしくなり、海中はきらきらしてきました。


にじうおは、他の魚たちといっしょに
いるのが楽しくなってきました。


とうとう


にじうおのうろこは、たったの1まい
だけになってしまいます。


それなのに、にじうおは とても しあわせ

「おいでよ、にじうお。 いっしょに あそぼう!

みんなは よんだ。

「いま いくよ。」

         
           ◇


お話はぜひとも、絵本の絵と文を読んで
感じていただきたいのですが、いかがでしたか?


どうも最後のあたりの、うろこを
もらったかわりに友達になったと
いうところが、賛否両論のようなんですね。


普段の子どもたちのおもちゃの
取り合いのときなど、「いっしょに
分け合って遊べば楽しくなるよ!」
というのが、この絵本の伝えたい
ところなんでしょうが…


僕は物やお金じゃなくて、その人
しか持っていないもの(個性や技術
や才能)をシェアすると、うまくいく
のではないか?
楽しくなってくるのではないか?
キラキラうろこは、その象徴なのかな?
と思いました。


いかがでしょうか?


たくさんの意見があると思いますし、
読む人によって、感じ方がさまざま
な絵本だと思いました。


          ◇


やぎちゃんさん、ありがとうございました。

高見純代さん、ありがとうございました。




【出典】

「にじいろのさかな」 マーカス・フィスター 谷川俊太郎 訳  講談社



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