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【絵本】「ぼくを探しに」 シェル・シルヴァスタイン 倉橋由美子 訳


「何かが足りない
  それでぼくは楽しくない
  足りないかけらを探しに行く」



「ぼくを探しに」 シェル・シルヴァスタイン 倉橋由美子 訳




今、なにかしら不安を抱えているあなたへ

自分に自信がないとか
前に進むのが怖いとか
人に合わせるのがしんどいとか


そんな風に少しでも思いがよぎったら
この絵本「ぼくを探しに」を手に取ってみてください。


        ◇


何かが足りないと感じている ”ぼく”


だから


足りない ”かけら” を探しに
ころがりつづけます。


ころがりながら
ぼくは歌う

ぼくはかけらを探してる
足りないかけらを探してる
ラッタッタ さあ行くぞ
足りないかけらを探しにね


かんかん照りの日や
涼しい雨や
凍えそうな雪の日や
ぽかぽか暖かい日


ぼくは、ころがりつづけるのです


でも


ぼくは、速くころがれません
ぼくの体は欠けているから


だから


ゆっくり、ゆっくり、ころがります


みみずとお話ししたり
お花の良い香りを嗅いでみたり
かぶと虫を追いかけたり
かぶと虫に追いこされたり


海を渡り
山を登り
山を下り


ぼくは、ころがりつづけます


すると


「三角のかけらがあった!」
でも小さかった


「また、かけらががあった!」
今度は、大きかったり
尖りすぎていたり


ぴったりのかけらは落ちていません

ぴったりのかけらがあっても
しっかりとはめてなかったので
落としてしまったり
きつくくわえると
こわれてしまったり


うまくいきません


でも、ぼくはころがり、進みます


ありのままの、かけらをさがし求め


ついに


ジャストサイズ! ピッタリのかけらをみつけました。


はまったぞ
ぴったりだ

やった!ばんざい!


ぼくは、どんどんスピードをあげて
前よりも、ずっとずっと速くころがっていく


速くころがる ころがる

景色が流れていく

こんなことははじめてだ




あれっ?


でも


なんかちがう?




みみずとお話することができないし
花の香りも嗅ぐことができないし
ちょうちょに止まってもらうことも
うたうことも


・・・・・・できない


「なるほどつまりそういうわけだったのか」



ぼくは、かけらをそっと取りはずします


そして


ゆっくりころがりながら


うたいます

ぼくはかけらを探してる
足りないかけらを探してる

ラッタッタ さあ行くぞ

足りないかけらを探しにね


        ◇


かけらなんて見つからなくてもいいじゃない


不自由になるくらいなら


完璧じゃなくったていいんじゃない


自分らしさを失うくらいなら


ゆっくり、ゆっくり、いろんなものを


見つけたり、感じたりして


ころがって行けたら

それが


幸せなのかもしれませんよ




【出典】

「ぼくを探しに」 シェル・シルヴァスタイン 倉橋由美子 訳


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