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クーリエジャポンの記事から考察

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日本が国境を閉ざし続ければ「純然たる発明」になるおそれがある【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.232】

日本が国境を閉ざし続ければ「純然たる発明」になるおそれがある【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.232】

日本が世界の視界から消え、忘れ去られるおそれがある。世界との主要連絡路がいまだに断たれているからだ。

コロナ前は何千万人という観光客が毎年、日本を訪れ、そこで出会った人々や文化や食を褒めちぎる土産話と共に帰国していた。

だが、コロナ禍で門戸がピシャリと閉じられる前に来日できたのはわずか400万人だった。五輪は2021年に開催されたが、国内の観客すらなしだった。

日本は何を待っているのか?日本

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「反体制の象徴」だったリーバイスの“ロシア撤退”は何を意味するのか? 【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.228】

「反体制の象徴」だったリーバイスの“ロシア撤退”は何を意味するのか? 【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.228】

1959年、モスクワでアメリカ博覧会が開催されたとき、米国副大統領が当時のソビエト連邦首相ニキータ・フルシチョフに見せびらかすために、ペプシ・コーラ、ポラロイドカメラ、ダッジのコンバーチブル・カーが展示された。

だが、もっとも反響を呼んだのは、リーバイ・ストラウス社のコーナーだった。ジーンズを履いた米国人が、モスクワの人々に向けてカウボーイ・ソングを披露したのだった。同社のジーンズは展示されてい

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「日本人の給料はこれからも上がりそうにない」と英経済紙が考える理由【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.227】

「日本人の給料はこれからも上がりそうにない」と英経済紙が考える理由【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.227】

日本企業はこの30年、あらゆる手段を使って商品価格を据え置いてきた。

そのせいで「インフレの可能性はゼロ」という考え方が国民のあいだにも根づき、企業側も、OECD加盟諸国で最も低い平均賃上げ率を何の恥じらいもなく労働者に押しつけた。

労働力人口が減少し、飲食店の従業員からエンジニアに至る幅広い分野で人材が不足しているにもかかわらず、各部門の労働組合もその状況に異を唱えなかった。

だが突然、風

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「マック」も「シャネル」もないロシアに備えるモスクワ市民たちの悲哀【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.226】

「マック」も「シャネル」もないロシアに備えるモスクワ市民たちの悲哀【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.226】

3月8日の夕方、モスクワ市内の「マクドナルド」の店の外にできた長蛇の列には、この皮肉な状況を認識している市民たちも並んでいた。同チェーンがロシアにある850近い店舗を一時閉業すると発表した直後のことだ。

1990年、モスクワのプーシキン広場にマクドナルド第1号店がオープンしたとき、何千人もの列ができた。あのゴールデンアーチの到来は、国の内でも外でも、冷戦の終わりを告げる確かなしるしとして受け止め

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「男嫌いは出ていけ!」 韓国の若い男性のあいだに巻き起こる「反フェミニスト」運動【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.225】

「男嫌いは出ていけ!」 韓国の若い男性のあいだに巻き起こる「反フェミニスト」運動【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.225】

「男嫌いは出ていけ!」

若い男性たちはそう叫ぶ。

「フェミニズムは精神障害だ!」

反フェミニストを掲げる男性活動家たちはわずかでもフェミニズムを察知すると、ことごとく標的にする。彼らは「男嫌いを吹聴している」と大学の女性講師を非難し、授業を中止に追い込んだ。さらに、東京オリンピックで3つの金ダルを獲得したアーチェリー韓国代表選手アン・サンの短髪を誹謗中傷した。

フェミニストは「社会悪」

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「富士山を動かすにはどうします?」 米テック大手の面接で“ド変化球”がきたときの打ち返し方【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.224】

「富士山を動かすにはどうします?」 米テック大手の面接で“ド変化球”がきたときの打ち返し方【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.224】

面接が成功するかどうかは、こうした変わり種の質問への対処の仕方にかかっている。あなたはパニックに陥るだろうか、それとも冷静に考えて答えられるだろうか?

ド変化球な質問が飛んできたときにライバルたちと差をつけるにはどうすればいいか。4つのポイントを見ていこう。

1. 不意打ちを予想しておく少なくとも1つはトンデモ質問が飛んでくることを予想しておこう。予測不能なこの時代、臨機応変に対応できる社員を

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「スーパーうんち」を飲み込むだけで健康に! ここまで来た“糞便移植”の未来【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.218】

「スーパーうんち」を飲み込むだけで健康に! ここまで来た“糞便移植”の未来【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.218】

良いうんちのドナー(提供者)はなかなか見つからないため、伝説の一角獣に例えて「ユニコーン」と呼ばれることもある。

ヒトの腸内細菌の集団「マイクロバイオーム」が健康に与える影響は、従来の想像をはるかに超えるものであることが、最新の科学で明らかにされている。

マイクロバイオーム内の遺伝物質の集合体は、数え切れないほどの機能を果たしており、私たちの気分や免疫、心身の健康に影響を及ぼしているのだ。また

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新曲が売れないのはなぜ? 米国の音楽市場の70%を占めるのは「古い曲」だった【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.217】

新曲が売れないのはなぜ? 米国の音楽市場の70%を占めるのは「古い曲」だった【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.217】

現在、「アメリカの音楽市場の70%を古い曲が占めている」と、音楽・カルチャーライターのテッド・ジョイアが米誌「アトランティック」に寄稿している。

すべての音楽ストリーミングにおいて、最も人気のある200曲のうち、新曲(過去18ヶ月以内にリリースされた曲)が占める割合は、なんと5%未満。少なくとも3年前は「10%はあった」と、同氏は述べている。

一体なぜ、新曲は売れなくなってしまったのか。

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ユーザの動きがリアルに現れるFacebookメタバースで「取得した生体情報」が広告主に売られる懸念【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.213】

ユーザの動きがリアルに現れるFacebookメタバースで「取得した生体情報」が広告主に売られる懸念【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.213】

1月18日、マイクロソフトは、アメリカトップのゲームソフト開発・販売のアクティビジョン・ブリザードを690億ドル規模で買収すると発表し、話題を呼んだ。

同社をはじめとするテクノロジー大手は、メタバースなど新技術への投資と開発を急速に進めている。なかでもフェイスブックを運営するメタ社は、さらにメタバースの開発に集中的に注力し、今後10年間で年間100億ドルを費やすと明言している。

英誌「エコノミ

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よくいる“チャラ男”のよくあるデート愚行がトップニュースになり“公開処刑”されるまで【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.212】

よくいる“チャラ男”のよくあるデート愚行がトップニュースになり“公開処刑”されるまで【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.212】

電話にも出なければ、メールの返信も一向にない──。進行していた恋愛が、ある日突然「一方的に連絡を絶たれる」ことで強制終了をむかえる。

オンライン・デーティングが広がるにつれ、この「ゴースティング」の頻度は増えた。何らかの理由で会ったり話したりするのが億劫になると、ただ連絡を絶って逃げる。そんな愚行が横行している。

そんななか、同じゴースティングの常習犯から被害を受けた女性たちが、ひょんなことか

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運動不足より、友達不足のほうが危険─「友達の数」があなたの寿命と健康に与える“深刻な影響”【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.210】

運動不足より、友達不足のほうが危険─「友達の数」があなたの寿命と健康に与える“深刻な影響”【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.210】

ダンバーの新著『なぜ私たちは友だちを作るのか:進化心理学から考える人類にとって一番重要な関係』には、非常に興味深い発見がちりばめられている。また、全体を貫くテーマとして、社会的な繋がりと個人の生活の質、健康、さらには寿命との関係が考察されている。

本書でダンバーは、ブリガムヤング大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校が10年前に行った調査結果を引用する。調査メンバーを一部同じくする別の研究では

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「欧米大学を卒業しても就職できない」いま中国で急速に“海外留学離れ”が加速している【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.208】

「欧米大学を卒業しても就職できない」いま中国で急速に“海外留学離れ”が加速している【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.208】

「海外大学卒業」というブランドが、中国国内での就職で意味をなさなくなってきている。

教育省の統計によると、2019年に留学した中国人の総数は70万3500人だった。2019年から2020年度には、イギリスだけで新たに10万人以上の学生が送り出され、前年の20%増を記録していたことが、イギリスに拠点を置く高等教育統計庁の調べでわかっている。

比較的裕福な家柄の学生にとって、イギリスは相変わらず人

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「リアルわらしべ長者」が、1本のヘアピンから“一軒家”を手に入れるまで【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.207】

「リアルわらしべ長者」が、1本のヘアピンから“一軒家”を手に入れるまで【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.207】

血と汗と涙のにじむような1年半の努力の末、デミ・スキッパーはたった1本のヘアピンから物々交換を重ね、家を手に入れることに成功した。

彼女がこのプロジェクトを始めたのは、2006年に赤いクリップ1つから物々交換を重ね、最終的に一軒家を手に入れたカイル・マクドナルドに影響を受けてのことだった。

29歳のスキッパーは、テネシー州ナッシュビル近郊の小さな家の鍵を渡された。住宅ローンも手数料も発生しない

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英「エコノミスト」誌が厳選「2022年に実用化が期待される22の新たなテクノロジー」【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.204】

英「エコノミスト」誌が厳選「2022年に実用化が期待される22の新たなテクノロジー」【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.204】

新型コロナウイルス・ワクチンが驚異的な速さで開発され普及したことは、科学技術には世界を変える力があることを再認識させるものだった。テクノロジー業界で言われているように、一夜にして成功を収めるには、何年もかかる。

では、次はどんな新技術が飛び出してくるのだろう? 

太陽ジオエンジニアリング
世界が暑くなりすぎているのなら、日陰を作ってあげたらどうだろう? 

火山が高層大気に放出する塵や灰は、冷

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