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治川の詩集

37
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#創作

透命人間

透命人間

黒い服着て街を歩いて
   影に隠れて光を覗いた
眩しすぎる此の先の道は
   白く染まって何も見えない

石につまずき心は散った
   ひらりひらりと彷徨う体
取り戻したく手を伸ばすけれど
   嘲笑いながら飛んでった

ひゅるる
   ひゅる
     ひゅるりら
ひゅるる
   ひゅる
     ひゅるりら

白いシャツ着てビルを見上げて
   時計眺めて其の刻を待った

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深夜一時

深夜一時

どれが本当の私か
なんて分からぬまま 大人になって
これが本当の私だ
なんて言い切れぬまま 今に至る

ずっと考えてきたことなんて
いつかは解決するなんて
悩んできたもんバカみたいに
わかったもんなんかありゃしません

深夜一時 街は寝静まって
夜更けと夜明けの狭間
何かに怯えて 空を睨む

どれが本当の姿か
なんて分からぬまま 大人になって
これが本当の姿だ
なんて言い切れぬまま この先も

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変心

変心

どうでもいいことばっかこだわって
肝心なことには知らん顔
傷つくことが怖いから ちょっとの勇気も捨てました

寂しがり屋のフリをして 他人の気を引いてみるけど
誰1人とも釣れず
泣く鳴く無く

明日の今頃はこの体を脱ぎ捨てて
マトモな夢をみる目玉が欲しいのです

見た目ばかりにこだわって
肝心な中身はもぬけの殻
愛し方を知らないので ちょっとの希望も捨てました

思い切って踏み出した足は空を切っ

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青年

青年

どうしようもない夜に
思い浮かんだのは君だった

過ぎた時間は戻らないのに
僕の手元には何もない

今まで生きた印が
今までやってきた印が

何一つ見えてこない
絶望と 焦燥と 諦念の

そんな夜に
思い浮かんだのは君だった

君のことはよく知らない
君が誰なのか思い出せない

ずっとそばにいたような
そんな気がする たった一人の君を

忘れてしまいたいと思った
消してしまいたいと思った

でも、

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栗ご飯

栗ご飯

今日の晩御飯は栗ご飯
ほくほく あつあつの 栗ご飯

まだまだ都会は暑いけど
ツクツクボウシの鳴く声が
夏の終わりを告げている

今日の晩御飯は栗ご飯
ほくほく あつあつの 栗ご飯

白いお米を染め上げて
黄色の宝石で飾り付け

すぐに街中も染めていき
また季節が変わるでしょう

今日の晩御飯は栗ご飯
ほくほく あつあつの 栗ご飯

次はいつ食べれるかな

飴玉

飴玉

手の中に飴玉が一つ
昨日の帰りに買ったもの

電車の中で女の子が
お母さんにねだっていたもの

手の中に飴玉が一つ
私には簡単に手に入るもの

昨日出会った女の子は
嬉しそうに食べていた

手の中に飴玉が一つ
口に放って食べてみる

あの子が食べた飴玉は
もっと甘い香りがしていたのに

あの子が食べた飴玉と
いったい何が違うんだろう

口に広がるレモンの飴は
どこか懐かしい味がした

生き延ばし

生き延ばし

何をやってるんだろう 
何がしたいんだろう

わからない わからない 
わからない意味を捜し求めた

いつだって不公平で 終われは単純で
でもまた忘れた頃にひょっこりと 
憎いあいつが頭を出す

自分ってなんだろう 
他人ってなんだろう

埋まらない 埋まらない 
埋まらない距離を測り続けた

いつだって傲慢で
傷つくって分かってるのに
寂しい悲しい独りぼっちは
繋がりを求めて手を伸ばす

だから

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シキ

春夏秋冬
行先 暗い未来
産まれた木曜
雨が降る 潔めよ

左右 北 西 東
太陽 月が昇る
夢醒め よく似た景色
嫌い 嫌い 嫌いな顔

遠くへ たったったったったら
君はもういないのかい?
遠くへ たったったったったら
僕はまだ此処にいるよ

冬秋夏春
花枯れ 夕暮れ
ふかした煙が
ゆら ゆら 消えていく

遠くへ たったったったったら
君はもういったのかい?
遠くへ たったったったったら

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燈

足元に在ったのは
やさしくて
暖かい
眩しすぎるほどの
燈。

ボストンバック片手の
今の私では
到底叶わない
焦がれるほどの
燈。

他人を裏切り
自分を信じれず
一体これから何処へ行こう

足元に在ったのは
やさしくて
暖かい
眩しすぎるほどの
燈。

いつか私も 
あの燈の一つになれたらいいなと

ボストンバックを持ち直し
別れを告げた

燈。

使い残し

使い残し

使い残した夜が明けても
きっとあの日は戻らないわ

使い古した時計の針が
今宵もチクタク鳴り響いてる

使い残した命を賭しても
きっとあなたは還らないわ

使い古した時計の鐘が
嘲笑うように鳴り響いている

はみ出しの色

はみ出しの色

塗り絵を1枚渡されて 色を塗っていた
枠からはみ出すクレヨンは 汚いと嫌われる
綺麗な色をしていても それはダメみたいだ

枠の中で生きていくなんて
そんな器用なこと出来ないよ
ひとりは寂しいなんて誰が言ったの
こんなに素敵な事は無いのに

だからもっと言ってよ 僕の陰口
それさえあれば生きてゆけるから
ちょっとだけ だけど 僕を見ててね
認められなくたっていいのさ

また色を塗ろう 今度は慎重に

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