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時事問題の取り組み~毎週気分はTED Talks~

関連項目:
MIEE, Teams, Forms, ICT活用, 中学校, 高等学校、時事問題、ニュース

導入の背景

中学校や高等学校で時事問題を扱う場は、ほぼない。
私自身も中高生の頃に意識的にニュースをみたりした記憶がない。
そして日本や世界の現状を知らない立派な大学生になりました。

高校生になって学力が高くても、時事問題については何もしらない。
教科で学ぶ知識だけが積み上げられ、現実社会とそれがつながっていない。

ニュースをみて日本や世界の時事を知り、自分の意見を持つ。私はこう思う、クラスメイトはこう思う。自分の考えをまとめ、他者の意見を知る。

「私はこう思うけど、あなたはどう?」
「確かにそういう意見もありだよね」

そんな活動を中高生のうちから行い、時事に対してアンテナを張り、教科で学んでいる知識と現実社会をつなげて欲しい。

そんな気持ちがあり、試行錯誤しながら考えた方法が、今回紹介する取り組み。

ここからは、学校関係者向けに事例紹介として書かせていただきます。
時事問題の導入を検討している学校へ、少しでもヒントとなる情報があれば、幸いです。

概要

時間:週に2回、15分×2
ツール:黒板、Microsoft Teams, Forms, Office 365

本校では土曜日と月曜日の朝の学習時間に設定している。
土曜日 8:25~40 月曜日 8:25~8:40

土曜日が、気になるニュースをまとめる時間。
月曜日が、発表を行い、発表者の問いに答える時間
その後の振り返りは、各自。

土曜日の活動(気になるニュース) 

土曜日に以下のFormsを配信

【ポイント:狙い】
①要約の練習:要約してまとめる力は大事
②キーワードの抜き出し:ポイントの把握
③自分の考えを出す:どう感じたのかの言語化
④他者に聞きたい問い:探究につながる問い出しのトレーニング
⑤語彙:語彙を増やす、また正確な意味を知る
⑥出展/引用の明記:どこからの情報かは大事
⑦行動の振り返り:ポジティブな自分を見つける。

Formsの指示の部分

Formsの内容

月曜日の活動(ニュース+感想+問い)


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毎週、2人の生徒がみんなの前にでて発表
あえてPPT(パワーポイント)は使用しない。
キーワードを黒板に3~4つ書くだけで、あとはその場の「しゃべり」で勝負!!まるで、その場はTED Talksのスピーカー!!

【発表者の活動】
制限時間:1人3~5分 PPTなし
1. 事前にキーワードを板書
2. キーワードを使いながら、分かりやすくニュースを解説
 (小学生に説明するイメージで説明すること)
3. ニュースに対する自分の意見
4. まとめ(ニュースと意見)
5. 質問(では、みなさんは○○についてどう思いますか?)

【発表を聞く生徒】
以下のFormsで発表態度の評価、及び、質問に対して回答。
聞き手となる生徒たちは、発表者の表現力及び、要約や考えを評価し、発表者の問いに対して答える。さらには、その問い自体をも評価する。

探究授業を担当していると、「問い」の質がネックになることがある。
なかなか生徒たちには、立てた問いの良し悪しが分からない。
だからこそ、普段から問いの良し悪しを評価する取り組み。

【ポイント】
1.  姿勢、声量、スピードの評価
2.  ニュースの内容、発表者の意見の評価
3. 発表者の問いに対する回答
4. 発表者の問いの評価

振り返り その① 発表者への評価

そして最終的には、Formsの結果を発表者を含めて、全生徒へバック。

先日、たまたま時間があったので、私自身が発表してきました。そして、生徒から評価されてきました!!以下はその評価。

振り返り その② 発表者自身

発表者自身は、Teamsの課題(まとめがついたword)で、発表を振り返る。

まとめ

取り組みをまとめると、生徒たちは興味のあるニュースをまずは調べて、自分でまとめる。そして、それを板書されたキーワードのみで、TED Talksのように発表し、自分の意見を述べ、クラスへ問いを投げかける。聞き手は、その問いに答えて、発表を評価する。発表者は、クラスメイトからの評価、そしてクラスメイトの考えを知る。

一連の活動を通して養いたい力は、以下の通り。

①時事問題をチェックする習慣。
②言葉の力の養成(読解力、要約、語彙)
③発表の練習
④問い作りの練習
⑤評価の目(発表や問いについて)を養う。
⑥知的好奇心(友人の考えや問いからの気づき)
⑦聞く力(発表を聞かなければ、問いに答えられない)

一見すると、目標が多すぎ!欲張りすぎ!となるかもしれない。
ただ多すぎだとしても、これは毎週の取り組みで通年で行っている。

通年は1年の間という意味ではない。
中学3年、高校3年の間。ずっと繰り返す。

最初はなかなか要約が上手くできない生徒も、学齢があがっていくにつれて、どんどん成長する。成長すれば、内容が濃くなり、また問いも興味深い。

何より、教員としてみんなの成長が見え、そして発表を聞いていて興味深い。中学3年生にもなると、みんなへの問いが大人をもが考えさせられるような内容になってくる。非常に面白い!!

これまで色んな方法で時事ニュースの取り組みを考えてきた。なかなか上手くいく形が見つけられず、試行錯誤してきた。

最初は単にニュースをまとめて、提出するのみだった。次は、それにニュースへの感想を書いて提出。それらは、正直、上手くいかなかった。

理由は明らかで、単にその取り組みが宿題のようで「ただやらされる」課題のようになっていたから。

今は違う。

自分の興味のあるものを選び、ニュースをまとめる。自分で選んだ気になるニュースで発表する。そして、自分が友人たちに聞きたい問いを考えて、伝え、みんなの考えていることを知る。

正直、この形は1人1台のPCがない時代には、できなかった形。今、全員がPCを持ち、TeamsやFormsをさっと使えるからこそ、できる。

時間もさほどかからない。朝の学習の時間の延長でできる。

何より、教員が聞いていて、またクラスが発表者のまとめ&問いを聞いていて楽しい!

楽しく学べるのは大事。

ご参考になれば幸いです。









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