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大災害を経て考える正覚寺の取り組み

皆さん、こんにちは。
本日は広報に代わり、正覚寺住職の池田が記事を担当いたします。

ここ最近、都内でも地震が頻発している中で、先月は宮城県沖でも大変大きな地震が起こりました。東日本大震災が起こって10年の月日が経った今でも、いつ起こるか分からない地震に安心できない日々を過ごされているのではないでしょうか。
 
2011年3月11日の震災以降、支援活動に伺わせて頂き、今日までご縁の続いている東北のご寺院があります。毎年3月11日には慰霊法要へ参加させて頂いているのですが、今年は新型コロナウィルス感染問題の影響から、自坊で作成した竹灯籠を郵送しご回向させて頂きました。

<竹灯籠の様子>
https://www.youtube.com/watch?v=PDnzeBRtJjk

津波により犠牲となった多くの被災者の皆さまには謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
 
南無妙法蓮華経
 


去る2019年11月、正覚寺は開山400年記念祭を執り行い、当日は支援活動などでご縁を頂いた宮城県女川町のみなさんから、地元のすり身汁や牡蠣など海の恵みを振る舞ってくださいました。檀家や祭に訪れてくださった皆さんと女川の方々が楽しそうに談笑している姿をみて、とても嬉しく思うとともに、慰霊法要・支援活動後に出会った女川の皆さんとの今日に至るまでの日々を鮮明に思い起こしました。

初めて東北へ慰霊法要・支援活動に行った時、私はテレビなどのメディアで得た情報から想定していた光景と、実際に現場に行って目の当たりにする光景が全く違って見えたことに衝撃を受けました。
老若男女が集う各地の避難所では、情報不足で家族の安否やこれからどうなるのか先の見えない状況のもと、多くの不安を抱えた心理状態のなかで起こる人間関係の問題に戸惑ったことも覚えています。
「支援活動に行く」ということは、その場で起こることを全て受け入れ、現地の方々へ一切迷惑をかけないという覚悟を持って行く必要があります。実際に支援に行かれた方でも、現状を目の当たりにして体調を崩されてしまったり、被災者の方と喧嘩をしてしまったりして逆に現場を混乱させてしまう場面もよく目にしました。中には、瓦礫撤去などの支援中、ボランティア仲間で記念撮影した画像をSNSなどに投稿し、その画像を見て心を傷つけられていた被災者の方がいたことも印象に残っています。

今、「支援をする」という行為の使命を考えたとき、思いだけで行動するのはかえって危険だということを改めて実感しています。自らの体力や精神状態を見つめ直すこと、その時その場所の状況、その現場で求められていることを冷静に判断すること、そして今現地の方々が何に困っているかを出来る限り事前に情報を集め、出来る支援は何なのか、すべき行動は何なのかきちんと把握し、臨機応変な対応をすることが必要です。
また、如何にしたら被災された皆さんの心に寄り添うことができるのかを、これからも自問自答し続けなければならないとの思いであります。
その答えは、当寺の開山400年記念祭にご参加くださり、今でも続く女川の皆さんとのご縁の中にもあるのではないかと考えております。

正直申しますと、当初このような記事を投稿するかどうかはとても悩んでいました。
実際、支援活動に参加される方々の思いは大変尊いものに変わりなく、私自身が感じたことを記すことにより、「支援」という行動自体を重く考えすぎてしまうことに繋がらないかと思ったからです。
しかしながら、東日本大震災から10年という月日が経ったいま、もう一度、被災者の想いに応えるには何をすべきかを皆で考えてみたいと思っております。

“これまでの経験を決して忘れずに、今後も起こるであろう災害に対して同じ苦しみを出来る限り少なくすること。”
このことこそが被災者の想いに報いることであると私は思います。正覚寺ではこれからも来たる災害に向けて、万全な防災の準備と啓蒙活動を進めてまいります。
 
またこの度、正覚寺は目黒区と災害発生時にまるわる協定を結びました。首都直下型などの大きな地震が起こり電車やバスといった交通のインフラが止まった際、中目黒駅周辺では最大1万7千人程度の帰宅困難者が出ると想定されております。そこで正覚寺では約300人の帰宅困難者受け入れを行うという協定になります。今後は300人が3日間寝泊まり出来るよう水や食料、毛布といった生活品を備蓄することを粛々と急ぎ進めてまいります。

協定式の様子
https://www.city.meguro.tokyo.jp/smph/gyosei/koho/hodo_news/r02/20210329.html
 
こうした災害に対してお寺や神社が避難者を受け入れるという役割は、東日本大震災だけでなく遙か昔から存在しておりました。
数百年続くお寺や神社は災害から身を守るため安全な場所に建てられていることがよくありますが、正覚寺が皆様のお役に立てるよう今後も一層尽くしてまいります。

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実相山正覚寺 住職 池田真一

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