#小説
音と読む短編小説 ONE/フラチナリズム『4431』より
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すっかり昼夜逆転の生活。
もう何ヶ月経つだろう。
37歳。職業 バンドマン…いや、ボーカル&エンターテイナー。
住まいは八王子。
故郷は高知県。
北海道にも移住経験あり。
子供の頃から歌ばかり歌っていた。
ある日、人前で歌ってその歌声を褒められた。
初めて自分を認められたような感覚が染み付いている。
それから歌っている時だけが 自分が自分らしく胸張れる時間
音と読む短編小説 幽霊/フラチナリズム『4431』より
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雨が降ると思い出す日がある。
数年前、雨だか涙だかわからないままひとりで過ごした1日があった。
それはきっと彼にとっては約束らしい約束ではなかったんだろう。
日常会話の一部のような。
その日を待ちわびていたわたしと
日常の一部でしか無かった彼と。
それまでなんとなく気がついていた気持ちのすれ違いがその一時ではなかったことを知ることになった。
長く時を過
音と読む短編小説 World End Serenade /フラチナリズム 『4431』より
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「ねぇ、5日後に世界が終わるって言われたら何して過ごす?」
無人島にひとつ持っていくなら何にする?と同じレベルの問いを彼女が唐突に投げかけてきた。
「とりあえずめちゃくちゃ美味いもん食うでしょ?
で、やっぱりお前とは一緒に過ごしたいよな?…」
模範解答みたいな会話でやり過ごす。
いま抱えてるあの案件も、将来への漠然とした不安も
世界の終わりと共に
音と読む短編小説 インク/ フラチナリズム 『4431』より
濡れた髪にドライヤーを当てながら
鼻歌を歌っていた。
伏線張り巡らせ 回収していくんだよ
このお話には終わりなどはありません
君を愛してる
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インク/フラチナリズム
その日は私たちの記念日だった。
わたしは「記念日はあなたの作ったビーフシチューが食べたい」とリクエストをしていた。
以前、仕事がクタクタに忙しくて 会う約束をしていても夕飯を作る
音と読む短編小説 Caffeine / フラチナリズム『4431』より
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「あいつからお土産で貰ったんだよ」
部屋には馨しいコーヒーの香りが漂っていた。
豆からコーヒーを淹れるようになるなんて何が変わったんだろう。
家ではインスタントすら飲まなかったこの人が。
柔らかく立ち上る湯気が部屋の空気を動かす。
自らキッチンに立つことも珍しいその背中をただ見つめていた。わたしが大好きな背中。
「ほら」
「ありがと」
渡されたカップは温かく