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東京でOLをしながら小説を書いていた頃

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だいすきでだいきらいだった東京。
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#備忘録

渋谷駅で写真を撮っているのなんて、たぶんあの瞬間は私だけだった

渋谷駅で写真を撮っているのなんて、たぶんあの瞬間は私だけだった

To 1年前の私
CC これからの私

お元気ですか。
突然ですが、今から大切な話をします。

1年後の今日あなたは、あなたがこれから通い始める会社を退職致しました。

自分で考えて決めたことです。

今のあなたに話しても、何ひとつ信じられないかもしれません。

だってあなたは今、自分が「普通」のレールにのれたことに心底安堵しているだろうから。
それだけがあなたの自己肯定感をぎりぎり保ってくれてい

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近況 2022.4.3

近況 2022.4.3

 泣き腫らして10時半。

 私に処理できる問題と、処理できない問題は分けて考えなきゃ、と思い至る。 
 
 血縁のこととか、考えるとおかしくなっちゃいそうなこととか、色々悩みはあるけれど、私が泣こうが喚こうが、どうにもならないことはどうにもならない。

 せめて私は私の暮らしをやるしか、ない。
 
 最近は暮らしが崩壊していた。転職と引っ越しを同時に行うことになり、その準備とこれからの不安で息が

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近況 2022.3.26

わたしは、生きていていい人間なんだろうか。

床で動けないままぼんやり考える。

これは、生きている故の罰なんだろうか。

吐き気と動悸とフラッシュバック、先に耐えられなくなるのは、身体だろうか、心だろうか。

*

アマプラで『ずっと独身でいるつもり?』を観た。その勢いで、『東京男子図鑑』を観た。

しんどかった。圧倒的に東京だった。
東京のことそんなに知らないけど、1年も付き合えばわかることも

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タコピーの原罪に関する備忘

ドラえもんやプリキュアといったアニメに出てくる「家庭」は、どうして当たり前のように仲良しなのだろうと思っていた。

幸せな家庭に生まれた子供は、得体のしれない生き物と出会うことで、+アルファの幸せを手に入れていく。基本的な幸せが0になることはない。家に帰れば母がいて、夜は家族で食卓を囲む。

あまりにフィクションじみている、と思っていた。

タコピーの原罪を初めて読んだ時、ああ、こういう地獄こそノ

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近況_2022.3.13

病名不明瞭の精神故障によって毎日とてもくるしいのだけど、支えてくれるひとたちのおかげで何とか生きています、ありがとう。実家に帰れない私にはもうどこにも帰る場所なんてない、死ぬしかない、と思い毎日ホームで葛藤していたけれど、帰ってきていいよと言ってくれるひとたちのおかげで何とか生きています、ありがとう。ベッドから起き上がるのに3、4時間かかり、食事はまともに摂れない状態ですが、何かを書いたり誰かを思

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近況 2022.02.27

ご無沙汰しております。
この文章をつくるまでに、随分時間がかかってしまいました。思考を文字起こしするエネルギーを振り絞り、同時に、文章を綴ることへの恐怖感や不信感と闘いながら書いています。

2月に入ってから、心身に支障をきたしていました。頭の中に砂嵐が流れ続け、いついかなる時も休まることができていませんでした。

去年の4月に社会人になり、大好きだった人や場所と離れひとりで暮らすようになって以来

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ひと

人が好きだと思う、私のことを好きだと言ってくれる人、道端ですれ違ったいい匂いのする人、Twitterでしか話したことのない素敵な感性の人、会おうと言ってくれる人、会いたいと言ってくれる人、会いたいと思わせてくれる人、みんなみんな好きだと思う。みんなみんな幸せで生きてほしいと思う。

人はわからない、人はこわい、人は裏切る、人は離れていく、人とはひとつになれない、人とはわかりあえない、でも人をわかろ

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心臓

この世に掃いて捨てるほど人がいるとして、有り余り食いつぶされるほど会社があるとして、

どうして、ならば何とかなると安心できるだろう?

世の中に人間がいて、会社があって、それとは別の私という人間がいる以上、

世の中の人全員から、世の中の会社すべてから、必要とされない可能性は存在する。

数値化すればとても小さなその確率が、私にはあまりにも眩しく認識できる。その僅かな可能性の光が心を鉛色に染め上

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花になる備忘

死神が見えると言っても、きっと誰も信じない。それは真夜中の天井にいる。三日月型の鎌は夜の色をしている。

きみはもうおしまいだよと笑う。きみは誰とも一緒に生きられないんだよと囁く。きみには僕しかいないんだよと手を引く。

幸せに生きたいと願ったあの日から、歯車がすこしずつ狂っていった。歪な音を立ててすこしずつ。幸せに生きたいと願ったところでそれが叶わない可能性を信じて疑わなかった、あの頃の私は非常

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深夜タクシー処女未遂

深夜、家を飛び出した。おかしくなりそうだったから、先におかしくなっておきたかった。

電車の音は既に途絶え、黒になりきれない空に星は光らない。

ひたすらに走った、走って走って走って逃げた、絶望に追いつかれないように、呑み込まれないように。走って走って走って走り、遠くへ遠くへ遠くへ逃げた。

誰もいない誰もいない誰もいない誰もいない誰もいない、こんなにひとがいるのに誰もいない、何もない何もない何も

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コリドー街

コリドー街という概念は、上司から教えてもらった。

「ここはナンパスポットなんだよ、女の子なら立ってるだけで食事代には困らない」

今度連れてきてあげようか、という誘いを笑って誤魔化しながら、私はそこを、愛憎渦巻く欲望の掃き溜めと名付けた。

東京に来るまで、港区女子なんて概念だと思っていた。実在することを知った時、いつも見ていたドラマの舞台裏を覗いてしまった気がした。

彼女は恋人Aの年収100

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新宿駅の私へ

『携帯を握りしめていても思い出はできない』、この一文で、愚かにも走り出してしまう若さがあの頃の私にはあった。
所持金が5000円しかないのに、何とかなるだろと思い飲みに行けるような楽観性が、かつての私にはあった。
好きなことを好きと言っても、弱音や雑考を書き綴っても、すべてゆるされているような安心感が、確かに私にはあった。

今の私には、それが全部ない。
気づいたらなくなっていた。

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小説なんて書いている場合ではないのはわかっていた。

会社を辞めたいと伝えて2日、次の働き口を探すための準備も住処探しも退去手続きも役所手続きも保険程度の通院も全部何とかしなければならないのに、小説なんて書いている場合ではない。でも同時に、小説を書かなければ生き延びることなど不可能な気がした。

TOHOシネマのレイトショーをいつまでも予約できない。まだ夜の東京タワーを見ていない。この絶望の正体が

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人身事故

月曜日は人身事故が多い。だから遅延しても始業時間に間に合うよう、一本早い電車に乗る。
遅延した時にかなしくなっていたのは4月までだった、「ただいま遅れが発生しており申し訳ありません」というアナウンスに「誰も悪くないよ」と答えていたのは5月までだった。段々「何でいまなの」と思うようになり、「遅延したので遅れます申し訳ありません」とメールをすることに疲れ果て、そして「私だって飛び降りたいのに」と思うよ

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