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しろくまさんと僕

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しろくまさんの刑事モノです
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【最終回】しろくまさんと僕(7)

【最終回】しろくまさんと僕(7)

最終話「しろくまさんと南極」

「犯人はポーラーストリートを北へ逃走、現在追跡中!応援をたのむ!」

強盗団の一人が乗った車を僕と相棒が見つけたのだ。僕は無線連絡を手短にすませる。応援は車のGPSを追ってくれるはずだ。

「落ち着いて、マニュアルどおりにいこう」

僕は運転席の相棒に声をかける。



少し前、爆弾を持った男たちに街の銀行が襲われた。

通報で駆けつけた警官たちの手により犯人は逮

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しろくまさんと僕(6)

しろくまさんと僕(6)

第6話「しろくまさんと新人」

休暇が終わり、仕事に復帰してからしばらくたった。時どき気配を感じてふり返ることもあったけど、そこにしろくまさんがいることはなかった。



「新人と組んでもらえないだろうか」

という署長の言葉に、僕はだまってうなずいた。そろそよ新しい相棒が必要だと考えていたからだ。それに、しろくまさんが僕にしてくれたように、後輩を教えるのがいまの僕の使命なのかもしれない。

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まもなく最終話?「しろくまさんと僕」出演者インタビュー

まもなく最終話?「しろくまさんと僕」出演者インタビュー

いつも「しろくまさんと僕」を読んでいただき、ありがとうございます。さて今回は、まもなく最終回を迎える「しろくまさんと僕」について、主演のお二人をゲストに迎えてお話を聞きたいと思います。

早速ですがよろしくおねがいします。

僕「よろしく」

しろくまさん「よろしくお願いします」

(※しろくまさん以下「しろ」)

まず、作品についてお聞かせていただきたいと思います。お二人の考える「しろくまさんと

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しろくまさんと僕(5)

しろくまさんと僕(5)

第5話「しろくまさんと休暇」

「行くところもなくてさ。なんか悪いね」

これからどうするつもりなの?と聞くと、悪びれた様子もなくしろくまさんは言った。シロクマという生き物は幽霊になると、少し図々しくなるのかもしれない。

しろくまさんとプライベートを一緒に過ごすことはほとんどなかったけど、僕らは相棒として長い時間を過ごしてきた。そういう意味では、休暇だということを除けば、普段どおりといえなくもな

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しろくまさんと僕(4)

しろくまさんと僕(4)

第4話「しろくまさんと飲みすぎ」

頭が痛い。

カーテンの隙間からもれてくる光で頭が痛む。どうやら飲みすぎてしまったみたいだ。えっと…昨夜はたしか。だんだん記憶も意識もはっきりしてきた。

※※

昨日、署長に休暇届を提出してから、すぐに帰り支度を始めた。相棒のシロクマが殉職したことは、署内のだれもが知っていた。葬式以降、同僚や先輩、上司とは一通り顔を合わせているので、帰る僕に声をかけたり呼び止

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しろくまさんと僕(3)

しろくまさんと僕(3)

第3話「しろくまさんとお葬式」

僕の住んでいるクニでの葬儀はいわゆる土葬が多い。ケイサツカンの葬儀はアメリカ映画に出てくる警察や軍隊のような堅苦しさはなくて、身内の葬儀のようにカジュアルなものだ。僕を含めた関係者は静かに、棺に花をおいていく。

僕はとても悲しかったけど、同時にしろくまさんに怒ってもいた。さらに自分のことも責めてもいた。そんな葛藤を理解してか、同僚も先輩も葬儀では視線を合わせてう

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しろくまさんと僕(2)

しろくまさんと僕(2)

第2話「しろくまさんと刑事」

廃工場での報告書をようやく署長に提出し終わりデスクに戻った僕は、かなりぐったりしてそのまま机の上に突っ伏した。銃撃戦からの3日間はとにかく忙しかった。

応援も待たずにしろくまさんと僕は犯人と銃撃戦をはじめたわけだし、挙句の果て犯人を撃って逮捕した。そのせいで、報告やら始末書に追われてもしかたがなかった。しかもその間に、大事な行事の予定が入ったりもした。それらがよう

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しろくまさんと僕(1)

しろくまさんと僕(1)

第1話「しろくまさんと銃撃戦」

キュンッ

それた弾丸が倉庫の鉄骨にあたってどこかへ跳ね返る。僕はコンテナの影から身を乗りだして応戦するが、どこに向かって撃てばいいのかわからない。この廃工場の出口は1つしかないことは確認済みだけれど、なにしろ犯人の姿が見えないからだ。

「これじゃらちがあかない。しろくまさん、援護を頼みます!」

一気に倉庫の奥へむかい犯人を捕らえてやろうと思い、通路を挟んで反

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