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しろくまさんと僕(1)

第1話「しろくまさんと銃撃戦」

キュンッ

それた弾丸が倉庫の鉄骨にあたってどこかへ跳ね返る。僕はコンテナの影から身を乗りだして応戦するが、どこに向かって撃てばいいのかわからない。この廃工場の出口は1つしかないことは確認済みだけれど、なにしろ犯人の姿が見えないからだ。

「これじゃらちがあかない。しろくまさん、援護を頼みます!」

一気に倉庫の奥へむかい犯人を捕らえてやろうと思い、通路を挟んで反対側のコンテナに身を潜めていたしろくまさんに向かって僕は叫んだ。

その時、しろくまさんは僕に何かを伝えようとしたあと、こちらに向かってダッシュしてきた。

「犯人は上ですっ!」

しろくまさん大きな声とともに、白くて長い毛が僕の体に覆いかぶさってきた。

ズキューン

銃声が響く。

しろくまさんの頭越しに、2階ほどの、高さのデッキに拳銃を構えた犯人の姿がみえた。しろくまさんに押し倒され、態勢を崩しながら犯人に向かって発砲した。

体のどこかに命中したらしく、犯人はゆっくりみもだえしながらデッキから落下していくのが見えた。ほっとすると同時に身体の力が抜ける。

「しろくまさん犯人確保ですよ。しろくまさん?」

大きなからだのしろくまさんはピクリとも動かない。それどころかぐったりと僕に身体を預けたままでいる。

「うそだろ…しろくまさん?しろくまさーん!」

しろくまさんの真っ白で柔らかい毛に、ゆっくりと赤いシミが広がっていった。

つづく


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