chan desu

ぱらじびんちゃあへ感謝を伝えたい

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記事一覧

びんばっちゃまと妖精さん•••

「あのね、私、びんばっちゃまとお話したくてね。 不思議な出来事があったんです。夢のような出来事でした。 」 40年以上も前のことなんだけど。 炭鉱社宅の中央広場で…

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2週間前
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びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-4

1985年ドクが造ったデロリアンは時速88マイルに達すると、発電装置へ電力が供給され、時速180マイルの高速で1955年の世界へ飛んで行った。 森山ノリユキさんは、この映画…

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3か月前
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びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-3

大きな火山から灰が降ってくるとお店の前は灰だらけになります。 お買い得品を詰め込んだ店先のワゴンは灰をかぶり台無しです。 電気屋のおじさんはため息をついて、黄色…

chan desu
4か月前
9

びんばっちゃまと妖精さんー黒山町編2-2

さっちゃんは5年生の秋、小学生絵画の部で県知事賞を貰いました。 黒山小学校始まって以来の快挙だと担任の先生が興奮して言っていました。 クラスの同級生も学校中の生徒…

chan desu
4か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編2

子ども達はさっちゃんが大好きです。 さっちゃんが小学校から帰って来るのを社宅の門の前で待っているのです。 「サチコ姉ちゃんはまだかなー」 1街区の真ん中の棟に住ん…

chan desu
4か月前
7

びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編ー

ちょっと昔のお話ね 「海沿いに黒い大きなボタ山が2つ その隣りには、まだ低いボタ山が1つありました。」 びんばっちゃまは静かに話し始めました。 ひなちゃんはキラキ…

chan desu
5か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん22ー暖かい冬の朝に

びんばっちゃまの部屋のそばの電線にたくさんの鳥が集まってきました。 ピーピーピーピー チーチーチー びんばっちゃまは驚いて「鳥さーんたーちー」「しー🤫 お家に帰っ…

chan desu
6か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん21

マニュちゃんは歩きます 葉っぱ島を出て歩きます 大きな街を過ぎ四角い建物も過ぎて緑の町、青い町を過ぎてどんどん歩きます 大きなトンネルの前で立ち止まりました ト…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん20

びんばっちゃまとまーおちゃんは葉っぱの島に行きました 「ばっちゃま ここはとっても暖かいところだね」 まーおちゃんは氷の妖精さんだから溶けてしまわないか心配 星の…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん19

びんばっちゃまとまーおちゃんは黒い山の町に着きました 「ばっちゃま ここ 黒い山の町だよ 帽子おじさんが言っていたのはここかな?」 ばっちゃまは静かに涙を流しま…

chan desu
7か月前
9

びんばっちゃまと妖精ちゃん18

コマチちゃんは自転車の前と後ろに子供を乗せ保育園に預けてから職場に行きます コマチちゃんの頑張りで生活は少し楽になりました 5丁目の家には小さな庭がありました 一人…

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7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん17

海岸沿いには黒い山がいくつも並んでいます ここに住んでいる人達は黒い山を ボタ山 と呼んでいます オム川を渡る橋のこっち側に三つ編みの女の子がコマチちゃんと立って…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん16

コマチちゃんは一人息子のお嫁さんになりました 毎日毎日、怖い顔のお父さんと優しい顔であまりしゃべらないお母さんと身体の大きなおばあさんと一人息子と暮らしていまし…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん15

コマチちゃんはとてもおとなしくてお父さんお母さんの仰ることをよく聞いて 真面目な子どもでした 学校では一番前の席で静かに本を読む真面目な子どもでした 後ろの席の男…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん14

遠い遠い南の海に葉っぱの形をした小さな緑の島がありました 島の真ん中には海に向かって一直線にのびる長い道がありました 古里の一直線 小さな女の子が一直線を走ってい…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精ちゃん13

びんばっちゃまとまーおちゃんは北の町に向かいます 「ばっちゃま ここは四角い建物ばかりだね」 マニュさんは四角い建物の一番下の部屋に住んでいました お部屋には小さ…

chan desu
7か月前
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びんばっちゃまと妖精さん•••

びんばっちゃまと妖精さん•••

「あのね、私、びんばっちゃまとお話したくてね。 不思議な出来事があったんです。夢のような出来事でした。 」

40年以上も前のことなんだけど。
炭鉱社宅の中央広場で夏まつりがあったんです。
これは毎年やっていて、それはそれは盛大なお祭りでした。
お祭りには都会で働いている兄弟とか親戚とかも集まってきてね、さながら社宅の同窓会のよう。

その頃私はギター弾きと結婚して別の町で暮らしていました。
懐か

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びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-4

びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-4

1985年ドクが造ったデロリアンは時速88マイルに達すると、発電装置へ電力が供給され、時速180マイルの高速で1955年の世界へ飛んで行った。

森山ノリユキさんは、この映画を何度も何度も繰り返し観てはタイムマシーンの完成を夢見ていました。

その日 森山さんは2人の若者と並んで立っていました。
2キロにも及ぶ参道が玄界灘に向かって真っ直ぐに延びている宮地嶽神社の鳥居の前に。
宮地嶽神社には息長足

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びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-3

びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-3

大きな火山から灰が降ってくるとお店の前は灰だらけになります。
お買い得品を詰め込んだ店先のワゴンは灰をかぶり台無しです。

電気屋のおじさんはため息をついて、黄色の<克灰袋>に掃き集めた灰を入れながら
(シンデレラは本当は灰かぶり姫だったんだよなあ)と考えていました。
おじさんの電気屋は駅前通り商店街の真ん中あたり、商店街で一番古い乾物屋と並んでいます。
おじさんのお店は、あまり商品は並んでいませ

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びんばっちゃまと妖精さんー黒山町編2-2

びんばっちゃまと妖精さんー黒山町編2-2

さっちゃんは5年生の秋、小学生絵画の部で県知事賞を貰いました。
黒山小学校始まって以来の快挙だと担任の先生が興奮して言っていました。
クラスの同級生も学校中の生徒達も社宅のおじちゃん達おばちゃん達みーんなが
スゴイスゴイと褒めてくれました。

担任の先生は感心したようすで
「森山さん こげん芸術作品はどうやって描いたとですか?」
「花壇の花ば見ながら鉛筆で下書きしてから絵の具ば塗りました‥‥」

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びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編2

びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編2

子ども達はさっちゃんが大好きです。 さっちゃんが小学校から帰って来るのを社宅の門の前で待っているのです。
「サチコ姉ちゃんはまだかなー」
1街区の真ん中の棟に住んでいるよっこちゃんとあっこちゃんは保育園も幼稚園も行っていないので毎日さっちゃんの帰りを楽しみに待っているのです。
「サチコ姉ちゃんは、どこに行かしたと?」
「がっこうたい 小学校たい オレでん来年は学校いくとぞ。 小学生は忙しかけん

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びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編ー

びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編ー

ちょっと昔のお話ね

「海沿いに黒い大きなボタ山が2つ その隣りには、まだ低いボタ山が1つありました。」
びんばっちゃまは静かに話し始めました。
ひなちゃんはキラキラした目をしてびんばっちゃまのお膝に座って聞いています。

石炭を掘り出す時に出る土を「ボタ」と呼んだの。
そのボタを集めて山のように積みあげたものが「ボタ山」なのよ。

ボタ山のある黒山町は炭鉱町です。
海沿いに炭鉱で働く人達が暮らす

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びんばっちゃまと妖精ちゃん22ー暖かい冬の朝に

びんばっちゃまの部屋のそばの電線にたくさんの鳥が集まってきました。
ピーピーピーピー チーチーチー
びんばっちゃまは驚いて「鳥さーんたーちー」「しー🤫 お家に帰って下さ〜い」
と声をかけてみました
バサバサバサ パタパタ ピーピー
まあ 何て事でしょう鳥たちはみんな飛びたって行きました。
びんばっちゃま これにもビックリ!!

ピンポーン♪
あら 誰かしら?
ドアを開けると可愛い小さな女の子が立

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びんばっちゃまと妖精ちゃん21

マニュちゃんは歩きます 葉っぱ島を出て歩きます

大きな街を過ぎ四角い建物も過ぎて緑の町、青い町を過ぎてどんどん歩きます

大きなトンネルの前で立ち止まりました

トンネルの中は暗闇が広がっています

大きく息を吐いてトンネルの中に入って行きます

トンネルの向こう側から誰かが歩いて来ました

「ありがとう マニュ」

「ありがとう びんばっちゃま」

マニュちゃんは暗闇の中で小さくなりました そ

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びんばっちゃまと妖精ちゃん20

びんばっちゃまとまーおちゃんは葉っぱの島に行きました
「ばっちゃま ここはとっても暖かいところだね」
まーおちゃんは氷の妖精さんだから溶けてしまわないか心配
星の夜 葉っぱ島の沖に大きな船が錨を降ろしました

葉っぱ島の港に大きな船は入れません
マニュちゃん家族はゆらゆら揺れる小舟に乗り換えました
“はしけ”といいます
中は薄暗く海のニオイがしました
マニュちゃんは少し怖くなってハジメちゃんと手を

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びんばっちゃまと妖精ちゃん19

びんばっちゃまとまーおちゃんは黒い山の町に着きました
「ばっちゃま ここ 黒い山の町だよ 帽子おじさんが言っていたのはここかな?」

ばっちゃまは静かに涙を流しました

黒い山の町の南の方に二里小学校があります
マニュちゃんは6年3組 弟のハジメちゃんは1年1組
コマチちゃんの子どもたちは大きくなりました
カミ君もすっかり大人になって隣り町で働いています

二里小学校には分校があります
分校は黒山

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びんばっちゃまと妖精ちゃん18

コマチちゃんは自転車の前と後ろに子供を乗せ保育園に預けてから職場に行きます
コマチちゃんの頑張りで生活は少し楽になりました
5丁目の家には小さな庭がありました
一人息子は庭にビニールハウスを作りました
女の子はまったく興味がありません
女の子はナスビが嫌いでした
食卓にはいつもナスビが出てきて泣きたい気持ちでした
ある時からナスビとトマトが出てこなくなり女の子は喜んでいました
その頃、一人息子は静

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びんばっちゃまと妖精ちゃん17

海岸沿いには黒い山がいくつも並んでいます
ここに住んでいる人達は黒い山を ボタ山 と呼んでいます
オム川を渡る橋のこっち側に三つ編みの女の子がコマチちゃんと立っています
コマチちゃんは少し大きくなった男の子の手をひいて、一人息子を待っていました
「おばちゃん おじさんは いつ来らすと?」
コマチちゃんをおばちゃんと呼ぶ女の子はコマチちゃんのお兄さんの娘でナビちゃん
ナビちゃんは初めて会うおじさんに

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びんばっちゃまと妖精ちゃん16

コマチちゃんは一人息子のお嫁さんになりました
毎日毎日、怖い顔のお父さんと優しい顔であまりしゃべらないお母さんと身体の大きなおばあさんと一人息子と暮らしていました
コマチちゃんは赤ちゃんを背負って 牛の世話、畑仕事と働きました

星を見上げると涙がでました  「アンマー 」

ある日、怖い顔のお父さんは蔵の中を指さして「米俵が減っている!」
ギロリとコマチちゃんを睨みました

コマチちゃんは赤ちゃ

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びんばっちゃまと妖精ちゃん15

コマチちゃんはとてもおとなしくてお父さんお母さんの仰ることをよく聞いて
真面目な子どもでした
学校では一番前の席で静かに本を読む真面目な子どもでした
後ろの席の男の子たちが騒ぐ声に 小さなため息
(うるさいなあ)
コマチちゃんのお姉さんは正反対の性格で男の子が騒ごうものなら先生みたいに言います
「あんた達は 静かにせんね!」
このお姉さんは、あまりお手伝いは好きではありません
明るくてオシャレが大

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びんばっちゃまと妖精ちゃん14

遠い遠い南の海に葉っぱの形をした小さな緑の島がありました
島の真ん中には海に向かって一直線にのびる長い道がありました
古里の一直線
小さな女の子が一直線を走っています
ペーク ペーク タッタッタ
二番目のお兄さんが知らない国に行ってしまいます
バーオー バーオー  シクシク

お兄さんはコマチちゃんの頭を撫でながら言いました
「お国のために行ってきます」
大好きなお兄さんは船に乗って行ってしまいま

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びんばっちゃまと妖精ちゃん13

びんばっちゃまとまーおちゃんは北の町に向かいます
「ばっちゃま ここは四角い建物ばかりだね」

マニュさんは四角い建物の一番下の部屋に住んでいました
お部屋には小さなお庭がありました
草ぼうぼうでもマニュさんは平気です

マニュさんは専業主婦です
マニュさんは専業主婦に憧れていました(専業主婦は洗濯して本読んでソファでウトウトしててもいいのよね)
マニュさんの情報源は全てTVです 特にホームドラ

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