chan desu

ぱらじびんちゃあへ感謝を伝えたい

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びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-3

大きな火山から灰が降ってくるとお店の前は灰だらけになります。 お買い得品を詰め込んだ店先のワゴンは灰をかぶり台無しです。 電気屋のおじさんはため息をついて、黄色の<克灰袋>に掃き集めた灰を入れながら (シンデレラは本当は灰かぶり姫だったんだよなあ)と考えていました。 おじさんの電気屋は駅前通り商店街の真ん中あたり、商店街で一番古い乾物屋と並んでいます。 おじさんのお店は、あまり商品は並んでいません。 おじさんはクーラーの設置やらお得意さんの電器修理の仕事ばかりしています。

    • びんばっちゃまと妖精さんー黒山町編2-2

      さっちゃんは5年生の秋、小学生絵画の部で県知事賞を貰いました。 黒山小学校始まって以来の快挙だと担任の先生が興奮して言っていました。 クラスの同級生も学校中の生徒達も社宅のおじちゃん達おばちゃん達みーんなが スゴイスゴイと褒めてくれました。 担任の先生は感心したようすで 「森山さん こげん芸術作品はどうやって描いたとですか?」 「花壇の花ば見ながら鉛筆で下書きしてから絵の具ば塗りました‥‥」 「それだけね? こん模様はどげんしたと?綺麗な模様たいね」 「こん模様は えーっ

      • びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編2

        子ども達はさっちゃんが大好きです。 さっちゃんが小学校から帰って来るのを社宅の門の前で待っているのです。 「サチコ姉ちゃんはまだかなー」 1街区の真ん中の棟に住んでいるよっこちゃんとあっこちゃんは保育園も幼稚園も行っていないので毎日さっちゃんの帰りを楽しみに待っているのです。 「サチコ姉ちゃんは、どこに行かしたと?」 「がっこうたい 小学校たい オレでん来年は学校いくとぞ。 小学生は忙しかけん ちびとは遊ばれんけんね」来年の春、ヤスくんは黒山小学校の一年生になります。 「え

        • びんばっちゃまと妖精ちゃんー黒山町編ー

          ちょっと昔のお話ね 「海沿いに黒い大きなボタ山が2つ その隣りには、まだ低いボタ山が1つありました。」 びんばっちゃまは静かに話し始めました。 ひなちゃんはキラキラした目をしてびんばっちゃまのお膝に座って聞いています。 石炭を掘り出す時に出る土を「ボタ」と呼んだの。 そのボタを集めて山のように積みあげたものが「ボタ山」なのよ。 ボタ山のある黒山町は炭鉱町です。 海沿いに炭鉱で働く人達が暮らす大きな社宅がありました。 バスに乗って「社宅入り口」のバス停で降りると川を渡る橋

        びんばっちゃまと妖精さん黒山町編2-3

          びんばっちゃまと妖精ちゃん22ー暖かい冬の朝に

          びんばっちゃまの部屋のそばの電線にたくさんの鳥が集まってきました。 ピーピーピーピー チーチーチー びんばっちゃまは驚いて「鳥さーんたーちー」「しー🤫 お家に帰って下さ〜い」 と声をかけてみました バサバサバサ パタパタ ピーピー まあ 何て事でしょう鳥たちはみんな飛びたって行きました。 びんばっちゃま これにもビックリ!! ピンポーン♪ あら 誰かしら? ドアを開けると可愛い小さな女の子が立っていました。 女の子はとても寒そうにしています。 お部屋の中に招き入れました ど

          びんばっちゃまと妖精ちゃん22ー暖かい冬の朝に

          びんばっちゃまと妖精ちゃん21

          マニュちゃんは歩きます 葉っぱ島を出て歩きます 大きな街を過ぎ四角い建物も過ぎて緑の町、青い町を過ぎてどんどん歩きます 大きなトンネルの前で立ち止まりました トンネルの中は暗闇が広がっています 大きく息を吐いてトンネルの中に入って行きます トンネルの向こう側から誰かが歩いて来ました 「ありがとう マニュ」 「ありがとう びんばっちゃま」 マニュちゃんは暗闇の中で小さくなりました そして静かに消えてしまいました するとまーおちゃんの笑顔もだんだん薄くなりました 

          びんばっちゃまと妖精ちゃん21

          びんばっちゃまと妖精ちゃん20

          びんばっちゃまとまーおちゃんは葉っぱの島に行きました 「ばっちゃま ここはとっても暖かいところだね」 まーおちゃんは氷の妖精さんだから溶けてしまわないか心配 星の夜 葉っぱ島の沖に大きな船が錨を降ろしました 葉っぱ島の港に大きな船は入れません マニュちゃん家族はゆらゆら揺れる小舟に乗り換えました “はしけ”といいます 中は薄暗く海のニオイがしました マニュちゃんは少し怖くなってハジメちゃんと手をつなぎました 葉っぱ島は港の灯りがあるだけ あとは真っ暗な闇が広がっていました

          びんばっちゃまと妖精ちゃん20

          びんばっちゃまと妖精ちゃん19

          びんばっちゃまとまーおちゃんは黒い山の町に着きました 「ばっちゃま ここ 黒い山の町だよ 帽子おじさんが言っていたのはここかな?」 ばっちゃまは静かに涙を流しました 黒い山の町の南の方に二里小学校があります マニュちゃんは6年3組 弟のハジメちゃんは1年1組 コマチちゃんの子どもたちは大きくなりました カミ君もすっかり大人になって隣り町で働いています 二里小学校には分校があります 分校は黒山団地の中にあって1年生から3年生の子ども達が通います 4年生からは二里小学校にあ

          びんばっちゃまと妖精ちゃん19

          びんばっちゃまと妖精ちゃん18

          コマチちゃんは自転車の前と後ろに子供を乗せ保育園に預けてから職場に行きます コマチちゃんの頑張りで生活は少し楽になりました 5丁目の家には小さな庭がありました 一人息子は庭にビニールハウスを作りました 女の子はまったく興味がありません 女の子はナスビが嫌いでした 食卓にはいつもナスビが出てきて泣きたい気持ちでした ある時からナスビとトマトが出てこなくなり女の子は喜んでいました その頃、一人息子は静かにビニールハウスを解体しました 女の子は知りませんでした 嫌いなナスビも固いト

          びんばっちゃまと妖精ちゃん18

          びんばっちゃまと妖精ちゃん17

          海岸沿いには黒い山がいくつも並んでいます ここに住んでいる人達は黒い山を ボタ山 と呼んでいます オム川を渡る橋のこっち側に三つ編みの女の子がコマチちゃんと立っています コマチちゃんは少し大きくなった男の子の手をひいて、一人息子を待っていました 「おばちゃん おじさんは いつ来らすと?」 コマチちゃんをおばちゃんと呼ぶ女の子はコマチちゃんのお兄さんの娘でナビちゃん ナビちゃんは初めて会うおじさんに興味津々 「あ 来らしたよ」 際立つ目鼻立ち、とても葉っぱ島から出て来たとは思

          びんばっちゃまと妖精ちゃん17

          びんばっちゃまと妖精ちゃん16

          コマチちゃんは一人息子のお嫁さんになりました 毎日毎日、怖い顔のお父さんと優しい顔であまりしゃべらないお母さんと身体の大きなおばあさんと一人息子と暮らしていました コマチちゃんは赤ちゃんを背負って 牛の世話、畑仕事と働きました 星を見上げると涙がでました  「アンマー 」 ある日、怖い顔のお父さんは蔵の中を指さして「米俵が減っている!」 ギロリとコマチちゃんを睨みました コマチちゃんは赤ちゃんとアンマーを連れて船に乗りました 一人息子は黙って下を向いていました コマ

          びんばっちゃまと妖精ちゃん16

          びんばっちゃまと妖精ちゃん15

          コマチちゃんはとてもおとなしくてお父さんお母さんの仰ることをよく聞いて 真面目な子どもでした 学校では一番前の席で静かに本を読む真面目な子どもでした 後ろの席の男の子たちが騒ぐ声に 小さなため息 (うるさいなあ) コマチちゃんのお姉さんは正反対の性格で男の子が騒ごうものなら先生みたいに言います 「あんた達は 静かにせんね!」 このお姉さんは、あまりお手伝いは好きではありません 明るくてオシャレが大好きでハツラツとしています 明るいお姉さんは遠い大きな島のオシャレなお兄さんの

          びんばっちゃまと妖精ちゃん15

          びんばっちゃまと妖精ちゃん14

          遠い遠い南の海に葉っぱの形をした小さな緑の島がありました 島の真ん中には海に向かって一直線にのびる長い道がありました 古里の一直線 小さな女の子が一直線を走っています ペーク ペーク タッタッタ 二番目のお兄さんが知らない国に行ってしまいます バーオー バーオー  シクシク お兄さんはコマチちゃんの頭を撫でながら言いました 「お国のために行ってきます」 大好きなお兄さんは船に乗って行ってしまいました

          びんばっちゃまと妖精ちゃん14

          びんばっちゃまと妖精ちゃん13

          びんばっちゃまとまーおちゃんは北の町に向かいます 「ばっちゃま ここは四角い建物ばかりだね」 マニュさんは四角い建物の一番下の部屋に住んでいました お部屋には小さなお庭がありました 草ぼうぼうでもマニュさんは平気です マニュさんは専業主婦です マニュさんは専業主婦に憧れていました(専業主婦は洗濯して本読んでソファでウトウトしててもいいのよね) マニュさんの情報源は全てTVです 特にホームドラマ 「マニュさーん 洗濯物 干してないわよー」 1階のいちばん奥に昔から住んで

          びんばっちゃまと妖精ちゃん13

          びんばっちゃまと妖精ちゃん12

          青い町の坂の途中の四角い家には、大きなお鍋でお料理をする山さんが住んでいます 山さんは沢山の本と沢山の服と沢山の食器と沢山の調味器具を大切にしていました ある日、山さんは大切な物をみんなに分けてあげることにしました 「おーい みんな 好きな物を持って行っていーよ」 マニュさんは後悔しました すごく後悔しました 車を持っていないマニュさんは電車で帰ります 「すごく重い 重いわ  何を貰ったんだっけ…」 山さんがもう着ないからあげるとくれた沢山の洋服とタオルと洗剤と洗濯バサ

          びんばっちゃまと妖精ちゃん12

          びんばっちゃまと妖精ちゃん11

          ばっちゃまとまーおちゃんは次の町に行きました この町は青い町でした 町も、吹く風も青い青い冷たい町でした 「ばっちゃま この町 寒いね」 まーおちゃんが言いました キラキラ町から山の方へ少し歩いて行くと青い町に着きました 高い建物がありません 低い建物は古びています 通りを歩く人たちは、みな、下を向いています まるで太陽の日差しを避けるようです キラキラ町に住むのに疲れてしまった人達がこの町の青い風に包まれて暮らしているのでしょうか 青町の薬屋さんの隣には「便利屋さん」

          びんばっちゃまと妖精ちゃん11