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【僧帽筋と菱形筋の関係を考えた機能解剖学】臨床に活かすための運動療法・ピラティス

今回は、肩関節や頚部などに関係する僧帽筋と菱形筋の機能解剖学的な関係性やそれに対しての運動療法の考え方についてお伝えしていきます。

僧帽筋と菱形筋は肩甲骨にも脊柱にも付着する点では同じような位置にある筋肉ではありますが、作用も違えば起始停止も異なる筋肉になってきますので筋肉の特徴も異なります。

そして、肩関節や頚椎の機能改善をしていく際に、僧帽筋を単独で考えても解決しないことも多く、菱形筋だけで考えても見逃してしまっている部分もあるため統合的に考えてアプローチをすることが必要になってきます。

その点を踏まえて、今回は僧帽筋と菱形筋の関係性や実際の運動療法・ピラティスなど現場レベルでの活かし方まで紹介していきます。

僧帽筋と菱形筋の機能解剖

僧帽筋の機能解剖

【僧帽筋の機能解剖】

起始:外後頭隆起・項靭帯・C7〜Th12棘突起
停止:鎖骨外側1/3・肩峰・肩甲棘
神経:副神経
作用:肩甲骨挙上・上方回旋
頚椎の同側側屈と頚椎の反対側への回旋・(僧帽筋上部線維)
肩甲骨内転・肩甲骨外旋(僧帽筋中部線維)
肩甲骨上方回旋・肩甲骨下制・肩甲骨後傾(僧帽筋下部線維)


大菱形筋の機能解剖

【大菱形筋の機能解剖】

起始:Th2〜Th5棘突起
停止:肩甲骨内側縁
神経:肩甲背神経
作用:肩甲骨内転・肩甲骨下方回旋


僧帽筋と菱形筋の機能解剖としては、上記の様になっております。
具体的には解剖学の参考書などでご確認頂ければと思います。

この様な知識は教科書を読めば理解できることになってきますので、より臨床的な話を下記でしていければと思っています。


僧帽筋と菱形筋の特徴について

僧帽筋と菱形筋の特徴について

ここからが今回の本題に近いですが

僧帽筋と菱形筋を単独して考えるのではなく、統合的に考えることが重要になってきます。僧帽筋と菱形筋の特徴について関係性を解説していきます。


僧帽筋と菱形筋は肩甲骨と脊柱に付着している筋肉であることは変わらないのですが、筋肉の作用が異なるためエクササイズ・運動療法を行う際にも注意しておく必要性があります。

僧帽筋の重要な作用としては

肩甲骨挙上・内転・上方回旋・外旋(僧帽筋上部)
肩甲骨内転・外旋(僧帽筋中部)
肩甲骨下制・上方回旋・外旋(僧帽筋下部)


脊柱の同側への回旋(棘突起を同側に向ける)
(脊柱の反対側への回旋運動を引き起こす)

菱形筋の重要な作用としては

肩甲骨内転・下方回旋

脊柱の同側への回旋(棘突起を同側に回る)
(脊柱の反対側への回旋を引き起こす)

この様な僧帽筋と菱形筋の作用を見て頂ければ分かると思いますが、僧帽筋と菱形筋は同じ肩甲骨内転筋であり、脊柱の回旋筋群であることに関しては共同筋になりますが、 肩甲骨上方回旋に関しては拮抗筋になっているという特徴があります。

そして、僧帽筋が作用する上方回旋に共同する筋肉としては前鋸筋が代表として挙げられますし、菱形筋が作用する下方回旋に共同する筋肉としては小胸筋・肩甲挙筋・上腕二頭筋短頭などが作用します。

そのため、一般的によくある運動療法において肩甲骨内転をさせる場面において僧帽筋と菱形筋はお互いがバランスよく位置していることによって肩甲骨の上方回旋や下方回旋が過度に起きない状態で肩甲骨内転を促すことができます。

ただ上記でも解説した様に、僧帽筋と菱形筋は肩甲骨内転筋としては共同筋ですが、上方回旋と下方回旋においては拮抗筋の関係性になってきますので、肩甲骨内転する際にどちらかが優位になっている場合に上方回旋と下方回旋が生じやすくなります。

上方回旋と下方回旋で言えば、肩関節疾患や頚椎疾患でも問題視されることが多いように肩甲骨は下方回旋になってしまったまま上方回旋を引き出せなくなっている方が非常に多いので、肩甲骨内転運動などをする際に肩甲骨内転と合わせて肩甲骨下方回旋を引き出す様な活性化させる様な運動になってしまっている可能性も考慮した上でプログラムを考える必要があります。

肩甲骨の下方回旋を伴った肩甲骨内転になっているとしたら、肩甲挙筋や小経筋や上腕二頭筋の短頭も活性化させてしまっている可能性があるため、肩関節挙上の制限が生じたり、肩甲骨の前傾も伴いやすくなるため姿勢の問題としても巻き肩のような姿勢パターンに見えてきたり、肩甲挙筋など首こりや肩こり筋と言われる様な筋肉を寧ろ活性してしまっているなどの二次的な問題も考えられます。


僧帽筋・菱形筋の関係性を考慮した運動療法

僧帽筋と菱形筋の機能的な特徴をお伝えした上で
臨床現場で運動療法を行う際の工夫点になってきますが

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