マガジンのカバー画像

マクロ経済

54
運営しているクリエイター

#日銀

消費者物価の基調は2%割れ

消費者物価の基調は2%割れ

植田和男日銀が「金融政策の枠組みの見直し」を3月19日に行ってから、最初に公表される「消費者物価の基調的な変動」ということもあり、注目していました。

1.消費者物価の基調的な変動結果は、いずれも2%割れです。

2.利上好きな方々ESPフォーキャスト調査(2024年5月14日)によると、2024年の日銀の利上を1回~3回と予想するエコノミストがおられるようです。2024年1-3月期のGDP一次速

もっとみる
日銀の政策転換と物価の展望

日銀の政策転換と物価の展望

日本銀行が、2024.03.19 に金融政策を大きく転換しました。(*1)
この政策転換が妥当だったのか、今後の物価の展望について、有識者の言説などを基に、考えてみます。

僕自身は、物価目標を安定的・持続的に達成する前の金融政策転換は、すべきでないと考えています。賃金上昇が実質消費の拡大につながり、価格転嫁や投資を促す好循環に至っていない、と考えているからです。

1.見切り発車の金融政策転換2

もっとみる
長期国債買入れ予定額の変化

長期国債買入れ予定額の変化

日銀の金融政策が、2024年3月19日に大きく変更されました。
黒田東彦日銀の枠組みからの卒業(テクノクラート側が、政府・日銀の共同宣言以外は、好きにやります宣言)だと受け止めました。

色々と言いたいことはありますが、投資家の方から「上限を随分と減らしている」コメントもらったので、実際の値をチェック。

長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(2024年4~6月)
https://w

もっとみる
日曜討論2024.03.17

日曜討論2024.03.17

日曜討論で日本経済に特に重要だと思われる内容(片岡剛士さんのご発言)をピックアップしてまとめました。

日曜討論:日本経済はいま 成長に何が必要か (2024年3月17日)
ご出演者 ※敬称略
齋藤 健 経済産業大臣
片岡 剛士 PwCコンサルティング チーフエコノミスト
黒澤 元国 埼玉県商工会議所連合会広域指導員
首藤 若菜 立教大学教授
野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

大事なポイント足下の

もっとみる
どうなる?賃上げ

どうなる?賃上げ

2024年春闘の一次速報がでました。なんと、5.28%アップ、だそうです。
賃上げが企業優劣左右 連合1次集計5.28%、持続力競う - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA153WP0V10C24A3000000/

2024年の消費者物価指数(コア)を、2.4%と仮置き、
同じく所定内賃金(一般)を3.1%と仮置きしてグラフを作ってみまし

もっとみる
経済対策2023

経済対策2023

岸田文雄総理大臣が経済対策について検討するよう、指示を出したそうです。

令和5年9月25日 経済対策についての会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0925kaiken.html

令和5年10月の段階で、得られる情報を基に、今必要な経済政策を考えてみます。
政府

もっとみる
日銀のYCC修正前後のYCの変化

日銀のYCC修正前後のYCの変化

2023.07.28 に日本銀行がYCCの運用修正を発表しました。

2022.12.20 にもYCCの修正をしており、約7ヵ月後に再度、修正が行われたことになります。

財務省のサイトから国債の金利情報を取得し、
2022(令和4)年12月のYCC修正前後と、
2023(令和5)年7月の修正前後の国債金利を1~20年ものまで、グラフにしてみました。

イールドカーブ全体が上振れしつつ、10年もの

もっとみる
2023.02.19日曜討論/リフレ派無双

2023.02.19日曜討論/リフレ派無双

日本経済、特に雇用環境に大きな影響を与える金融政策について、リフレ派の岩田規久男さん、片岡剛士さん、旧日銀に在籍されていた河村小百合さん、早川英男さんによる討論がありました。
日本経済に資する部分を文字起こしいたしました。
(内容が良かった、気に入ったなど、ありましたら、スキ、共有、サポートをお願いします)

日曜討論 日銀新体制へ 金融緩和の行方は
https://plus.nhk.jp/wat

もっとみる

日銀の政策変更(2022.12.20)

2022年最後の金融政策決定会合で、日銀が動きました。
"国債買入れ額を大幅に増額しつつ、長期金利の変動幅を、従来の「±0.25% 程度」から「±0.5%程度」に拡大する" (*1)(*2)

この結果が伝わると、マーケットは株安・円高方向へ動く反応を見せました。
また、経済に詳しそうな名前の新聞では
・10年目で事実上の利上げ
・円安など副作用の批判受け
・長期金利急騰、円高も進行
などと報じま

もっとみる
日曜討論の片岡剛士元日銀審議委員

日曜討論の片岡剛士元日銀審議委員

日曜討論を久しぶりにテレビで見ました。その中で、片岡剛士元日銀審議委員が、とても大切なご発言をされていたので、一部を書き起こし。

ポイント (ポイントは筆者の感想から)
1.円安は日米金融政策の差が主因
2.安定的な賃上・物価上昇目指せ
3.経営者・旧日銀出身者のマクロ経済政策議論は残念

日曜討論の番組では充分に語り尽くせなかった部分もあると思われます。
片岡剛士さんの直近のレポートをご一読く

もっとみる
物価高騰をあおる残念な人が増える予感

物価高騰をあおる残念な人が増える予感

2022年5月6日に、消費者物価指数(東京都区部)の4月中旬速報値が総務省統計局で公表されました。(*1)
この統計によると、消費者物価指数(対前年比)は、
+2.5%:総合
+1.9%:生鮮食品を除く総合
+0.8%:生鮮食品及びエネルギーを除く総合
と、大きく伸びました。
東京都区部の消費者物価指数は、今月の5月20日に公表予定である全国の消費者物価指数と近い値をとるだけに、注目していました。

もっとみる
黒田日銀総裁会見での残念な質問

黒田日銀総裁会見での残念な質問

日本銀行の政策決定会合が2022年4月28日に行われました。
結果は、金融政策の方針・政策手段は現状維持、加えて、指値オペを毎営業日実施することを明確に示されました。同日、黒田日銀総裁の会見(*1)が行われましたが、その際の記者の方々のご質問が、余りにも残念でしたので、気になった点をコメントしたいと思います。
※黒田日銀総裁のコメントは、動画(*1)や後日公開されると思われる日銀HPの情報をご参照

もっとみる
黒田東彦日銀総裁の「良い講演」

黒田東彦日銀総裁の「良い講演」

日本銀行総裁の黒田東彦氏が、米国・コロンビア大学において講演(*1)を行いました。2022年4月27日・28日に金融政策決定会合が開催されるため、円安が進む中、金融政策に変更があるのではないか?と注目を集めています。
一部の経済系新聞では「悪い円安」と喧伝し、金融政策引締への圧力を強めている、と僕は見ています。
そのような中、黒田総裁が米国の講演で、次のようにご発言されました。

「悪い円安」や金

もっとみる
「悪い円安」を言う「残念な人たち」

「悪い円安」を言う「残念な人たち」

経済に詳しそうな新聞やニュース番組などで、「悪い円安」という言葉を最近よく耳にします。
この言葉を使う方には似通った点があります。経済に詳しそうな人が「悪い円安」と言ったとしても、鵜呑みにしないようご注意ください。

■ポイント
1. 金融政策は経済安定化に割当てるべきもの
2. 原油や食料品など個別価格高騰には財政政策(減税や補助金など)を割当てるべき
3. 「悪い円安」を主張するメディアや"

もっとみる